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Fortune-teller  作者: marimo
2.落ちた理由
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落ちた理由1

*あらすじを考えたのがかなり前なので、時代設定が古くなっています。


*この話は、フィクションです。名称が多数出てきますが、架空のものです。占い内容や占い方法などが出てくる場面もありますが、全て作者の想像ですので、実際のものとは異なります。

 秋子さんに教えてもらった占い専門店「ルーカス」で、本を調べていた。すっかりなじみになっているため、

「何を調べてるんだ?」店のおじさんに聞かれた。おじさんは趣味が高じて、こうやって占い関係のお店を開いているけれど、元々は違う職業だったらしくて、占いは好きだけど、占い師をしていたわけじゃなく、見習いの私のことも心配してくれていた。今日、来た理由を教えたら、

「あそこは難しいだろうねえ。何人か受けた人の話は聞いたよ。受かった人は女性が多いそうだ」

「女性?」

「そう、しかも美人でかわいい子だそうだ。若い人が多いと聞いているよ」完全に自分の趣味じゃない。そう考えていたら、お店に誰か入って来た。

「あ?」と思わず声が出た。その声に気づいて、相手がこちらを見た。

「何だ、お前か」お前呼ばわりされて、むっとなり。

「コネ合格者が何か言ってる」とつい、言ってしまったら、

「コネじゃない。実力だ」

「ふーん、女性が多い職場に今年は男性が一人だけ合格って、コネでしょ」

「誤解だ。俺は実力で合格したんだよ」

「嘘ばっかり。コネで就職して、そうやって女性と知り合う機会を増やそうとして」この間とは違う女性が隣にいたので、つい、そう言ってしまった。今度もなれなれしい態度でそばに寄り添っていて、どう見ても恋人同士に見えた。いったい、何人の女と付き合ってるか分かったものじゃないな。学校にいる、評判が両極端の男子、大村君を思い出した。彼は女に手が早くて有名だった。ポイ捨てばかりしているために、私はあまり好きじゃなかった。

「逆だ」逆?「何が、逆よ」と言いたかったけれど、関わりたくなくて、

「話しかけないで」とおじさんのほうに顔を戻した。

「あそこに合格しなくて良かった。こんなやつと顔を合わせなくて済んだから」

「お前では無理」勝手に口を挟んできて、相手にしたくなくて無視していたら、

「真珠ちゃん、この人?」おじさんに聞かれて、

「東条圭吾の息子。サバトのコネ合格者」

「コネじゃない」と言い合っていたら、

「失礼な人ねえ。ほっといて行きましょうよ」そばの女性が甘えていて、

「ああ、あの有名な人か」おじさんはごく普通にしていた。


「お前、自分が落ちたからって、おれにやっかむな」

「そんな理由じゃない。あなたみたいな人が嫌いなだけ」

「表面だけ見る女だから落ちるんだよ」

「あなただって、同じでしょ」

「俺の占いしていたところは見てないだろ」

「軽く見た」多分、人だかりになっていたところだろうと検討をつけてそう言った。そこまで確信はなかった。

「見てないな。そばにいなかったはずだから」

「何で知ってるのよ?」

「商売柄、顔を覚えるのは基本」

「ふーん」

「お前が落ちた理由、教えてやろうか」

「何が分かるっていうのよ」

「お前は基本が全部なってない」

「基本って?」

「接客態度がまず駄目。言葉遣いが丁寧じゃない。ため口で話してどうするんだよ。友達じゃないんだしね。それから、相手のことが全然分かってないな。あれじゃあ、気落ちして帰ってしまう。だから、落ちた」自分でも落ち込んでいたのに、こいつに指摘されて面白くなくて、

「ふん」と横を向いた。

「相手の立場も分かってないし、望みも分かってない。しかも、世間知らずもいいところ。相手に見当違いな事を聞いて、どうするんだよ」自分でもそこは未熟だったなと反省はしていたけれど、こいつにだけは言われたくなかったので、

「あ、そう」とそっけなく横を向いていた。

「最後のもおかしいだろ。何が20パーセントだ。他の占い師は誰もそんな結果は言わないぞ。数字で表せるような内容じゃなかった」

「だって、それはそう思ったから」

「思った?」

「カードじゃなくて、彼女を見て、そう思ったの」と言ったら、相手が黙った。

「相談者を見てそう思ったんだから、いいじゃない。カード結果をどう膨らませるかは、占い師が考えることでしょう」

「経験不足のお前には言われたくないな。もっと、よく考えろよ。あれでは合格基準が90だとすると、20も行けばいいところだ。あれで、よく受ける気になったよな」

「コネの人に言われたくない」

「コネじゃないさ。しょうがないな。教えてやるよ。お前の未熟さをね」と言われて、驚いていたら、いきなり腕をつかんできて、

「行くぞ」と言ったので、

「え、わたしは?」隣にいた女性が怒り出して、

「悪いけど、また、連絡するよ。急用ができたから」優しく声をかけていた。二重人格に違いないなと思った。

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