厳しい世界2
「占い師として、自分を磨くにはどうしたらいいかな?」
「練習は積んでいるでしょ」
「そうじゃなくて、相談内容に深みがないでしょ。人生経験が少ないし。前にあの男に言われたの。学生がなりたいと思っている職業の実態ぐらい知っていろって」
「確かに高校生では分からないかもしれないわね」
「あの男に言われて、本は読んでみたの。友達が貸してくれたから。でも、あれって、裏のことまで書いてないでしょ」
「裏?」
「テレビ局に行って、そこで見たの。歌手とか芸人とか、テレビで見るのとちょっと印象が違ってたから、驚いて」
「ああ、それはテレビ用に合わせているのよ」
「合わせる?」
「需要に合わせているだけよ。テレビ局のプロデューサーの意見に合わせているの。普段の自分をそのまま出していたって、テレビ画面で通して見ると、印象には残らないし、テンションが合わないのよ。テレビは独特だからね」
「お母さん、良く知ってるね」
「知り合いに聞いたのよ。昔、一時期だけ売れた芸人のお客さんが来ていた占い師がいてね、そこでぼやかれたらしいの。先輩にそういうことを教えてもらったらしいけれど、テレビで売れるにはどうしたらいいかと占い師に相談したの」
「へえ、そういうことを教えてくれる先輩がいるんだね」
「でも、その人は向いてなかったのね。今は時代劇のチョイ役をやりながら、喫茶店をやってると聞いているわ」
「チョイ役?」
「大部屋俳優を多く抱えているプロダクションに登録しているそうよ。時々、知り合いに頼んで、時代劇などに出してもらっているそうだから」
「お母さん、そこ、紹介してもらえないかな」
「あら、どうして?」
「聞いてみたいの。実態を」
「楽しい話ばかりじゃないかもしれないわよ」
「分かってる。できれば、歌手を顧客にしてる占い師も紹介してほしい」
「だったら、秋ちゃんに頼みなさい」といわれてしまった。




