頼む子2
紹介を頼まれてもそれほど知らない子で、違うクラスの子だし、そのまま流そうと思っていたら、更にしつこく言ってきたので、仕方なく、東条さんに電話したら、
「いいよ、でも、かわいくないと俺が怒られるから、その辺はどうだ?」と聞かれて、
「さあねえ。自分で確かめたら」と言ったら、
「紹介するならそれなりの子じゃないと怒るやつらもいるからな。制約が厳しくないのでもいいならいいけど、条件が下がるぞ」と言われて、驚いた。
「どうして?」
「条件がいいやつはそれなりにプライドが高いのも多いからね。とにかく出会いたいって心境のやつでもいいなら、いいけど」
「それだと怒られちゃうよ」
「じゃあ、それなりのランクにしておくよ」
「やけに慣れてるね」
「紹介したことが何度かあるからだよ。頼まれることも多くてね」
「合コンにも行くんだ?」
「それなりにしか行かない。営業を兼ねていく場合もあるけど、それを出すと必ずその場で『占って』とか言い出す子がいるから、うるさくてね」
「いいじゃない、占ってあげれば」
「ただで『占って』としつこく言う子は苦手でね。そういう子に限って文句を言う確率が高いから、適当に逃げてる」そう言われて、割と気軽に頼んでくるけど、「そのうちお礼するね」と言って、未だに何もない子がいたのを思い出した。こちらが用事を頼んだら逃げられたことがある。しかも、占い結果が気に入らなくて裏で文句を言っていたらしくて、それ以来、その子に何度頼まれても占えなくなった。そういうのが分かると途端にしらけて、相手のことが見えなくなるから占いもできない。でも、かなりしつこくて、怜奈ちゃんが怒ってくれた。
「お互い色々あるんだね」
「お前もどうせ頼まれる口だろ。これからは全部お店に来てもらえよ。それでも来るなら占ってやれよ。文句を言うような子はお金を払ってまで来ないからな」
「そういう人がいたんだ?」
「当たり。それから、お前も少しはおしゃれしろよ。バイト代は入っただろ」
「ははは」と笑ってごまかしたら、
「ほらな。来ないだろ。お金払ってまで来るなら本物。奢ってもらう程度なら素人なんだよ」
「はいはい。十分分かったから」
「まだまだ、俺のライバルにはなれそうもないね」
「ライバルになる気も恋人になる気もないからね」と怒ったけれど笑って電話を切っていた。