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Fortune-teller  作者: marimo
1.サバト
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サバト4

「落ち込む」友達の怜奈ちゃんに笑われた。

「多分、無理だと言われてたんでしょ」秋さんにそう忠告はされていた。それぐらい、入る人数は少ない。毎年、一人か二人。その一人があの嫌味な男だと思うと面白くない。親のコネ男。

「いいじゃないの。どうせ、世の中そんなものだって。親のコネ、有力者とのつながり。有名大学に進学したって、そこでもコネだって。いとこの医学生が言ってたよ」

「雪人さんは違うもの」

「はいはい、あこがれの大学生でしょ。はやくデートに誘いなさいよ」

「無理だよ。勉強でいそがしそうで」

「それでもデートはできるでしょ。それだから進展しないのよ。自分から行かないと」

「でも、真面目な人だから、どう誘ったらいいか」

「迷っているうちに卒業しちゃうよ」

「そう言われても」

「ちゃんと告白しないとね。好きだったら」

「言えないよ」

「男子の友達だって何人かいるでしょ。それと同じよ。みんな、かぼちゃかジャガイモと思えば緊張しないよ」

「怜奈ちゃん。かわいい顔をしてそういうことを言わないで」怜奈ちゃんはかわいいのでモテるけど、実態を知られるとうまくいかなくなる。

「いいなあ、恋愛遍歴が派手で」

「それはしょうがないって、真珠は誘えない」

「どうして?」

「見透かされそうで怖いってさ。男子が言ってた」

「なんで?」

「抜け抜けな性格なのに、妙に勘がいいから。しかも占い師の娘。それで、さすがに誘えないって。浮気がバレるだろうしってさ」

「抜け抜けの性格って何よ」と言い合っていたら、神宮寺に背中を叩かれて、

「遅刻するなよ」と言われて、先に歩いて行ってしまった。

「痛いなあ。あいつ、乱暴」

「気があるみたいだよ。そう聞いたから」

「まさかあ」

「真珠はそういうのを信じないねえ。ガードが固い」

「固くない」

「好きな人にはガードを低くしておくものだよ。それ以外は高めに設定」

「そんなに器用なことはできない」

「全部に低くしてたら、変なのまで来ちゃうからね」

「かわいいからって、余裕だね」

「いいじゃない。本当のことだし」怜奈ちゃんはさっぱりしてるけど、はっきり言ってしまうところがある。

「あいつ、A組のかわいい子と付き合ってたじゃない」

「短期でね」

「振られたんだ?」

「逆。振ったらしいよ」

「もったいない」

「いいじゃない、付き合っちゃえば」

「何で、そう安易に薦めてくるの?」

「免疫つけてから本命に行くのも悪くないと思うよ。いきなり本命だと緊張しすぎて失敗しそうに思えるんだよね。真珠の場合」

「そう言われても」

「真珠って、結構ドジだし、鈍いところもあるしねえ。それだと男に幻滅されるよ。だから、慣れておかないと。一回目のデートの印象で決まるんだからね」

「え、そうなの?」

「これだから、デートしたこともない子は困るね。中学のときに免疫をつけておけば良かったね」

「そう言われても」

「数こなせば、本命のときに楽だよ」

「怜奈ちゃん。こなれすぎ」

「その分だと、まだまだ先になりそうだね」

「なにが?」

「恋愛成就。人のことを占ってる場合じゃないでしょ」

「そう言われてもねえ」

「第一希望に振られたからって、次を探せばいいでしょ」

「第一希望?」

「就職先」

「違うよ。修行先。知り合いの占い師の子供があそこを受けるって聞いたから、行ってみただけ。受かると思ってなかったし。でも、厳しかった。みんな、上手だった」

「感心してる場合じゃないでしょ。高校卒業したら、占い師として身を立てるんでしょ」

「そこまでは。ただ、みんなに向いてるって言われたし」

「安易だね。自分で決めたんじゃないの?」

「成績だって、いまいちだしねえ。進学するにはお金がなさそうなんだよね、うち」

「占い師って、よほどもうからないんだ?」

「ピンきりらしいよ。儲かる人もいれば、貧乏な人もいるって」

「真珠のお母さんって、そこそこ売れてるんでしょ」

「ちょっと前までね。東条圭吾がテレビに出だしてから、お客が減ったとぼやいていたから」

「私も名前を知ってるぐらいだしねえ。クラスメイトも何人かあそこに遊びに行ったらしいよ」

「占いは遊びじゃないよ」

「それぐらい気楽に行ってるってことでしょ」

「でもねえ」

「どうして落ちたのかは考えておいたほうがいいよ。それから、新しい就職先を決めたら」

「修行先だってば」と言いながらためいきをついた。

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