先生の正体3
「あなたも評判が両極端になりそうだね」
「どういう意味だ?」
「そのままの意味」
「お前は恋愛したこともなさそうだな。俺が鍛えてやるから、楽しみにしておけよ」
「はあ?」と呆れてしまった。
「まだまだ、だからな。色々と改造しないとそのままだと俺とつりあわないし」
「あなたと同等に見られたくないんだけど」
「その言い方はやめろよ。うれしいくせに」駄目だ。どこまで言っても、おめでたい男だ。つける薬がないタイプに違いない。
「自分を改造したほうがいいよ。あなたの場合はいつか、刺される」
「視線が刺さって痛いね」
「あっそ」と言ったら、
「お前は俺をちゃんと見ろよな」
「占い師としてしか興味ないからね」
「子供だ」
「うるさいの」と言い合ってから、ため息をついた。
送ってもらいながら、
「気をつけろよ」と言ったので、
「なにを?」と聞いた。
「色々あると困るからな」
「あなたの友達のことは言わなければいいんでしょ」
「ああ、あいつらも気をつける必要はあるけど、それは一部だけだよ。今度、教えるよ。怒らせるとまずいやつが二人いるけど、それ以外は張り付いているだけだから。そっちじゃなくて、お前の先生のほうだ」と言われて、この間のことを思い出した。先生は辛そうだったので、何も聞けなかった。
「あの人の孫が来たんだろ」
「どうして知ってるの?」
「近所の噂。あの人の場合は噂されやすいからな」
「どうして? 最初は変わった人なのかなと思ったけど、話しやすくて優しい人だよ。相談も親身になって乗ってあげてる。偏屈だと教えてくれた人がいたけど、全然違ったよ」
「偏屈ね。それは言われているさ。あそこに住んでるから、やっかみでそう言うんだよ」
「やっかみ?」と言われて首をひねった。やっかまれるようなことはしそうもなかった。