先生の正体2
「ふーん、洋服代を先にしろ。それから、メイク道具も揃えておけ」
「え、なんで?」
「まさか、お前、そのままの格好で出るつもりじゃないだろうな」
「いけないの?」
「却下。ちゃんとした美容室に行って、服装もそれなりに揃えろ。それから、メイクもしてもらう。俺と一緒に出るなら、そうじゃないと恥ずかしいだろ」
「あなたと出ることがすでに恥ずかしい」と言ったら、パコッと叩かれた。
「痛いなあ、もう」
「お前だけだよな。俺にその扱いは」
「占い雑誌に写真つきで掲載されて、人気が出てるからって天狗になってるでしょ」と聞いた。この間発売されていた占い雑誌にプロキオンの期待の星として掲載されていた。
「中々良かっただろ。あれでお客さんが増えたんだよな。予約が中々取れない占い師として格が上がったから」
「見習いからも昇格なの?」
「まだだよ。卒業してからだよ。そう言われているからな」
「ふーん。だったら、卒業間近の受験でも良かったじゃない。プロキオンは年2回受験できることになっている。
「早めに受けたかっただけ。前から占い見習いとして時々やらせてもらっていたからな。でも、形としてちゃんと受験しておいただけだよ。早めにね」
「コネと言って、悪かったわね」
「やっと認めたんだな」
「占い師としてはね。男としてはアウト」
「何でだよ。いい男だろ、俺」
「自分で言い切るところがアウト」
「周りにも言われるよ」
「あっそ」
「お前は子供だから、俺のよさが分からないんだろうな」と言ったのでにらんだ。ここまでうぬぼれが強いと何も言えなくなるな。学校の先輩で一人いた。勉強ができて、それなりに人気があった。でも、過剰の自信満々さで一部にしか人気はなかった。大村も一部の女の子には人気があるけど、それは顔がいいからだ。スカウトされたことは何度もあると自慢していた。話す内容と言ったら、そういうことばかりらしいと聞いたこともある。私はそういうのは苦手だった。