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Fortune-teller  作者: marimo
10.バイトの理由
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バイトの理由1

 東条さんから提案されたことを親に相談した。見習い料金で占いを始めるように言われたからだ。

「学校でもお金を取る気なの?」

「それは無理でしょ。問題になるから。お客さんとしてここに来てもらって、練習代として払ってもらうようにと言われて」

「誰に」母がにらんだ。仕方なく事情を説明した。東条さんの大学の学祭で占いでの協力を頼まれたこと、そのために練習が必要なことも。

「駄目よ。あの男に関わっては駄目」と怒られたけれど、宣伝のために必要だと説明した。

「あの男がそう言ったの?」と聞かれて、

「確かに癪に障るような男だけど。背に腹は変えられない。宣伝になりそうなことならやってみたいし。練習も積んでおきたいから」

「学校を卒業してからでもいいでしょ」

「お金を貯めたいの。一日でも早く」

「なら、ちゃんと就職して」

「お父さんを探したいから」と言ったら母が黙った。

「お金を貯めて時間を作って、ちゃんと探したいの。だから」とうつむいた。

「真珠」母が名前を呼んだ後、黙ってしまった。

「ここにお客さんを増やす必要があるし、私も経験を積みたいの。だから、お願いします」

「真珠。お父さんがいなくなって、もう、何年も経ってるのよ」

「分かってるけど、でも、気にするなと言われても気になるの。お父さんがいないままなんて耐えられない」

「真珠、あなた」と言ってから、

「しょうがないわね」と母が言ってくれて頭を下げた。


 学校には先生に相談して、先生は渋々了解してくれた。今までのは家での手伝いをするという報告しかしていなかった。

「そこに行く生徒が増えるのはどうかと思いますが」と女の年配の先生が目くじらを立てていたけれど、先生が事情を説明してくれた。父を探すためにバイトをしていることを。学校にはやむを得ず本当のことを話しておいた。

「そう、そうだったわね」とその先生もそれ以上言えなくなっていた。


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