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Fortune-teller  作者: marimo
8.神宮寺
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神宮寺1

 神宮寺には電話はしたけど、怒っていて、なだめるのは大変だったけど、学校で会ったときに、

「あいつ、やめておいたほうがいいぞ」と言ってくれて、ため息をついた。私もそう思うけど、向こうはそういうのでしつこそうだ。よほど、振られたくないのかもしれない。武勇伝に泥を塗りたくないだけかもしれないな。

「俺が追い払ってやるから」

「いいよ」

「恋人として追い払ってやれば」

「その手は使えないんだよね。この間のもバレちゃってて」

「本当にすればいいだろ」と言ったので驚いた。

「どういう意味?」聞いてから後悔した。真面目な顔をしていたからだ。それで目をそらした。

「お前、俺のこと、どう思ってる?」と聞かれて、考えてしまった。そんなことは考えたこともなかった。

「ごめん、友達」

「それ以上は?」と聞かれて、

「ごめん」と謝った。雪人さんのことばかり見ていたから、神宮寺が言ってくるとは夢にも思わなくて、考えられなかった。

「一度考えてみてくれよ」と言われて神宮寺を見た。

「だって、神宮寺は何度かほかの子とデートしてたから、私は好みじゃないんだと思ってたし」

「言えなかっただけだよ。そういう顔をするだろうと思ってたし」と言われて驚いた。

「え、どうして?」

「鈍すぎる。俺が告白したら、お前は困るだろうと思ってたからな。お前、大学生で好きなやつがいるだろ」

「どうして知ってるの?」

「クラスの女子に聞いた。お前と澤井が話していたのを聞いていたみたいだぞ」怜奈ちゃん以外には教えてないから、誰かに聞かれてしまったのかもしれない。

「ごめん」

「その人と付き合うつもりか?」と聞かれて首を振った。

「無理。あの人は私のことなんて、見てくれてないらしい……から」態度の違い、確かにあるかもしれない。神宮寺のあのときの態度は雪人さんと明らかに違っていた。

「そうか。だったら、考えてくれよ」

「そう言われても」

「嫌なのか?」

「違う。神宮寺とは友達として見てたから、いきなり言われても、どう考えていいか」

「じゃあ、今から考えろよ」そう言われても、苦手だなあ。こういうのってどうしたらいいんだろ。


「やっぱりそうだったじゃない」帰るときに怜奈ちゃんに相談したら、呆れられてしまった。

「どうしたらいいと思う?」

「自分で決めなさい」

「それは分かってるよ。占いでも人にはそういうことは言ってるけど、いざ、自分のこととなると困る」

「東条さんはどうするのよ? 噂にはなってたよ」それは嫌というほど聞かれたから分かっている。神宮寺とのやり取りを見かけた子が好き勝手付け足して噂を流してくれたらしい。

「無理。あいつだけはありえないよ。一番苦手だから」

「そう? 意外と向こうは本気かもしれないよ」

「そう思えないよ。とっかえひっかえの現場を見た後に誘われても、うれしくもなんともないよ」

「それでもめげないかもしれないね。あの人、慣れてはいるだろうしね。強引だし」

「ほっとく。関わりたくない」

「雪人さんに告白したら」

「振られるの怖い」

「振られるかどうかは分からないでしょ」

「毎日、会うからね。それになんだか悪くて」

「どうして?」と聞かれて黙った。

「ひょっとしてお父さんのこと?」と聞かれてうなずいた。

「真珠の恋愛音痴ってそこから来てるかもね。ファザコンなんじゃないの」

「違うよ。お父さんにちゃんと紹介したいの。今はそれができないから」

「そう」怜奈ちゃんがこちらを見ていた。

「雪人さんに何度も告白しようと思ったけど、でも、なんだかできなくて。お父さんがいてくれたら、どう言ってくれただろうなあ」

「真珠のことを一番考えてくれると思うけど。真珠が笑顔でいることが一番だと言いそうだね」

「笑顔か。確かにそれは何度も言われた」

「好きだったら、言ってみたら、卒業されちゃったら困るでしょ」と言われて考えていた。


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