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Fortune-teller  作者: marimo
7.勘違い
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勘違い4

 無理やり連れて行かれて、大学に制服で入っていくのは初めてだったので、ちょっと緊張したけれど、何度か挨拶されていて、

「あなたって、顔が広いね」

「営業もしておかないと.将来の顧客候補」

「商売上手ね」

「当たり前だろ。俺はそれを仕事にするつもりだから、今から準備しておかないと。あいつらは、いつか仕事などで成功するかもしれないしね」

「成功しなかったら?」

「してもしなくても、相談に来る人はいるだろうな。誰でも、何かがあるだろうから。親、恋人、結婚相手に、子供ができたら、それで色々」

「ふーん」としか言えなかった。私はそこまで考えている余裕がなかった。かなり歩かされて、たどり着いた場所では何人か人がいて、あちこち話し合ったり、うるさかった。学園祭の実行委員会ではそれなりに資料を作っていて、絵コンテなのか紙に説明文が書かれたものがいくつか机に散らばっていた。男性が寄って来て、

「今度の目玉にするからね。占いの企画に花を添えたかったけど、東条さんの好みにしては珍しいね」と言われてしまい、

「地味ね」そばにいた女性がこっちを見ながらどこか馬鹿にするような雰囲気で、ちょっと嫌だった。そこまで言わなくてもいいのに。

「制服だから、いいよなあ」細い目の男性がじろじろ見ていて、ちょっと気持ち悪かったけど逃げるようにして、東条さんのそばに行った。

「あれはなに?」と聞いた。

「占いの企画で、俺の意見を聞きたいって言うからな。それで、お前にも参加してほしいだけ」

「やだ」

「そういうことを言うな。ここまで来ておいて」

「無理やり連れてきたのは、誰?」と言い合っていたら、

「あら、珍しいね。いつもはフェミニストなのに言い合いして」優しそうな綺麗な女性がそばに来たので頭を下げた。

「かわいらしい人ね。珍しいわね。今までで一番若いんじゃないの?」相手に言われて、東条さんを見たら、

「小学生もいたから」と答えていた。

「全滅だったんでしょ。推薦してくるなら、よほど気に入ってるのね」と言われて、東条さんをにらんだ。いったい、何人、連れてきたんだ。東条さんは笑っているだけだった。


 帰る途中で、「お前には珍しい子を連れているな」と、男性が寄ってきて、私をじろじろ見ていて、

「お、また、女連れ」男性のグループが近寄ってきて、東条さんの友達らしく、何か言い合っていた。

「お前も懲りないね。今度で何人目だ?」

「彼女は違うよ。お客さんじゃなくてね」

「ふーん、それで冴えないんだな」とはっきり言われてにらんでしまった。

「気は強そうだ」相手はひるむことなく、笑っていて感じが悪かった。お金持ちの家の出なんだろうなと言う服装や持ち物で固めていて、好きになれないタイプが多かった。

「じゃあな。今度も報告しろよ」と、行ってしまった。

「私が落ちたら報告するの?」と思わず聞いたら、

「良く分かったな」と笑っていた。前にクラスメイトがやられたことがある。大学生で落とした女の数を競いあっていたそうで、相手が本気になったら捨てておしまい。大村よりも性質が悪かった。

「ああいうのはちょっと駄目」

「はっきり口に出さないほうがいい。あれでも親が力を持ってるから。うらまれたら、お前の店なんてひとたまりもないぞ」

「気に入らない相手に、そういうことをするような人たちと付き合ってるの?」と驚いたけど答えなかった。

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