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Fortune-teller  作者: marimo
迷惑書留
259/266

毛皮を着た理由3

「このアパートと毛皮が似合わないなあ」

「それはそうだ。毛皮は売ることもできたはずだ。昔、羽振りが良かったときにご主人に買ってもらって、売りたくはなかったんだろう」

「どうして? かさばるだけじゃない」

「見栄のためだ」

「見栄のためにスペースを取るの?」

「お前は見栄を張らないのか?」

「小さいころから、『霊感女。悔しかったら、今年のプロ野球優勝チームを当ててみろ』と言われ続けているのに?」

「なるほどな」

「わざと外してやったけれど」

「わざと?」

「うーん、そう言うのって、優勝チームはともかく、今日、その試合のどっちが勝つかどうかは分かるときもあるし」

「ふーん。そういうものなのか」

「私は野球をほとんど知らないからできるって、お母さんが言ってた」

「下手な先入観がないってことか。ひいきのチームがないほうがいいだろうな。その場合は特に」

「そうだって。あとは『占い屋』とか、そういうことも言われ続けたよ。でもねえ、そういうやつに限って、困った時に『助けてくれ』と泣き付いてくるんだよね」

「泣きつくって?」

「問題を起こしておいて、親に怒られない方法を聞いてくる」東条さんが笑った。

「だから、『できない』って断ってやるけどね。でも、あまりにしつこいと、つい、助けちゃう。それなのに、終わった途端、忘れたかのように、前と同じように馬鹿にする態度に戻っていく。あれは変わらないね」

「そういうものかもしれないな」

「川尻さんって、どうなったの?」

「一時期離れていたけれど、やはり気が合うらしく、今もそれなりにつるんでる。ただ、ポジショニングは変わったらしい」

「え?」

「グループで強く言えなくなっているみたいだな。元木もなぜか俺に何も言ってこなくなった」

「え、そうなの?」

「親にでも注意を受けたんだろう」

「それだけでおとなしくなるもの?」

「今だけおとなしくしているだけだろう。あいつらはそういうやつらだと思うし」

「そう。ねえ、あなたって、女性以外の話はあまりしないね」

「女性の話もしない」

「お友達の話をしないじゃない」

「俺は広く浅くがモットー。それに付き合いがそれなりにあるのは若田ぐらいかな」

「へえ、いるんだ?」

「ただ、あいつは不思議な奴で、本ばかり読んでいるからな」

「ふーん、まじめなお友達もいるのね」

「俺に興味が湧いたのか?」

「違う。ちょっと聞いてみたかっただけ」本当は少し興味があった。この人が二度、宮城に来てくれた時から、なんだか気になった。

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