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Fortune-teller  作者: marimo
迷惑書留
252/266

迷惑書留1

 雪人さんにおかずを持って行ったら、家に居て、

「秋田に帰ってしまったかと思ってました」

「夏に帰ったからね」

「え、でも、さみしくないですか?」

「それに嫁をもらえとうるさく言われてしまって」

「え? もうですか?」

「真澄ちゃんはどうかと言われて、断ったから」

「断ったんですか?」

「結婚する気はないから。多分、あと、10年、いや、15年ぐらいはないかもしれない」長いかも……。でも、雪人さんなら、ありえるかもしれないなと思っていたら、

「コーヒーでも入れるよ」と言ってくれて驚いた。

「え、でも、いいんですか?」

「話したいこともあるしね」と言ってくれて、中に上がった。本がいくつも積まれていた。

「すごいですね。これだけ読んだんですか?」雪人さんがやかんでお湯を沸かしてくれて、

「ああ、やりますよ」と言ったけれど、

「散らかってるから、いいよ。真珠ちゃんは座っていて」

「雪人さんは熱心ですね。同じ大学生なのに、あの人と大違い」

「あの人?」

「東条さん。やはり、将来の職業の差でしょうか? それとも私立の宝陽と国立の大学の違いでしょうか」

「そう?」と言いながら、雪人さんが用意をしてくれていて、そのあと、コーヒーを入れて戻ってきた。

 コーヒーを飲みながら、

「彼と話をしたよ」と言われて驚いた。真珠ちゃんが大変な目に遭ったと聞いたから」

「いえ、大丈夫ですから」

「知らなかったから、ごめんね」

「え?」知らなかったのか。ご近所の人には興味本位な質問をする人も多かった。そう言う人はどこに住んでいる人なのかも分からないぐらいだ。顔見知りの人のほとんどが、慰めてくれる人ばかりだった。

「このところ、図書館通いや実験で忙しくて、新聞も目を通してないぐらいで」うーん、かなり真面目かも。

「いいんです。雪人さんはお勉強をがんばってください」

「僕は研究に没頭したり、本ばかり読んで、友達と約束できないぐらいだから」

「え?」

「だから、真珠ちゃんの気持ちはとてもうれしかったけれど、真珠ちゃんとお付き合いということはできないかもしれない」と言われて、驚いた。

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