意外と優しい2
おじさんの家に戻って、おじさんも出先からもどってきたところで、
「大丈夫だったか?」と聞かれて、警察の人が後から来ると説明した。居間に行って、幸枝さんが浮かない顔をしていたけれど、
「お茶を入れるわ」と言ってくれて、一緒に行こうとしたら、
「そこにいて、真珠ちゃん。疲れているでしょう」
「え、でも」
「真珠、話を聞きたいから」とおじさんに言われて、うなずいた。途中まで私が説明をして、それから東条さんが話してくれて、
「そう言えば、あの犯人さんもあなたもなぜ来たのだろう?」
「向こうは後でもつけていたのかもな」
「え、どこで?」
「あの喫茶店から」
「え、そうなの? 全然気づかなかった」
「そこまで勘は良くなかったのか」と東条さんに言われて、
「違うんだ。真珠は鳥肌が立っていて、怖がっていたのに、私が気晴らしになるからと付き合ってもらって、あんな場所に行かなければ良かった」とおじさんが言ったので、
「違う。行ってよかったんだよ。犯人を捕まえることができたんだもの。もしも、あのまま、あそこに行かずに東京に戻ってしまったら、捕まえることができなかったかもしれない」
「でも、車のナンバーは分かっているのだから」
「しらを切りとおすかもしれないですね」と東条さんが言った。そういうこともあるかもしれないな。
「真珠の勘が正しいとすれば、車で」と言ったので横を向いた。
「ごめん。とにかく、もしもそれだとしても、証拠を見つけることは難しいぞ。あの時点で車を調べることは無理なんじゃないかと思えるし」
「え、どうして?」
「任意で話を聞く程度では、難しいと思うよ。証拠が映像で、しかもお前が轢かれそうになった現場のものではないのなら、怪しい車止まり」
「ああ、そうか」
「だから、車やあいつの持ち物を調べたら何か出るかもしれないけれど、年数がたっているため、証拠が消されている可能性が高い。真珠は気にするな。お前があそこに行ったからこそ、あいつは焦って。でも、おとなしくしていてくれよ。気が気じゃなかった」
「ごめんなさい。まさか、つけられているとは思わなかったの。鳥肌は何度も立っていた。怖すぎて、不安すぎて、そうなると」見えなくなるんだ……。
「恐怖感が強すぎて、却って、危険察知が難しかったってことか」と東条さんに聞かれてうなずいた。
「勘が良すぎるとそういうこともあるんだな」
「そうなのかな。そう言えば、あなたはどうして、ここにいるの?」