黒い車の人2
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おじさんの家で、すごしていたら、電話があり、ナンバーから車の持ち主が分かって、調べていると言う。
「埼玉の人でね。調べているようだけれど」
「え、埼玉? 観光客なの?」
「さあ、そこまでは」
「観光客だったら、難しいね」
「どうなんだろうな。とりあえず、気を付けてくださいって」
「お父さんのほうは?」
「調べているそうだから」調べられるんだろうか?
「おじさん」
「なんだ?」
「ごめんね。私が来てしまったばかりに」おじさんはしばらくしてから、
「違うだろう。それは真珠のせいではないよ。お父さんの供養になるから、気にしなくてもいい」
「お父さん、どこをどう歩いたんだろうね。おじさんのところには来てなかったんでしょう?」
「連絡もなかったから」
「そうだよね。お父さんがおじさんのところにいくのなら、まず電話をしそうだね」
「いや、勝友君なら、いきなり来るかもしれないぞ」
「え、なんで?」
「そう言う部分で忘れっぽいから。電話をするのを忘れてスケッチしていたのかもしれない」
「え、そう?」
「そういうところがあるし」お父さんは絵を描くと没頭しすぎて、電話が鳴っているのも気づかない時がある。お店が終わってから描いていたけれど、そう言われたら、そういう部分があった」
「お父さん、抜けている部分があったものね」
「藍子も同じで、おおらかだったからなあ」
「私も似てるのかな?」
「そうだろう。私も細かくないからなあ」
「ははは」と笑うしかできなかった。おじさんはお母さんよりおおざっぱなところがあった。
「お姉ちゃん以外は抜けてるんだ」
「あの子も抜けているだろう。だって、まだ、男を連れてきてないのだから」
「お姉ちゃんに怒られそう」
「怒るだろうが、ここからなら遠いから聞こえないだろう」
「おじさんらしい」と笑った。