黒い車の人1
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警察から電話があった。確認してほしいと言う。
「なにを?」おじさんに聞いた。
「カメラの映像がどうとか言ってるぞ」
「カメラ映像?」
「車が映っていたらしい」
「え?」さすがに驚いた。
「それで確認にしてほしいそうだ」
「調べていたんだ? てっきり、調べないかと思っていたのに」
「お前の父親のこともあるからじゃないか? 不審な点がいくつかあるから」
「ああ、それで」
「とにかく、用意をしなさい」と言われてうなずいた。
警察に行って、映像を見せられたけれど、
「わかりません」としか言えなかった。猛スピードで走る不審な車が付近の監視カメラに映っていたようで、
「目撃した人にも連絡を取ったけれど、忙しいので、もう少しかかるそうだから。ただ、車のナンバーが映っているので、それでわかるかもしれない」と言われて、驚いた。
「父を殺した犯人ですか?」
「え、ああ、あれは、まだ、殺人と決まったわけでは」
「事故だとしてもおかしな場所じゃないですか」
「えっと、まあ、そうなんだけれどね」割と若い警察官の人が困っていて、
「あれは、今調べているから」
「私のひき逃げ未遂も、父のことがあったからですか?」
「うん。まあ、手掛かりがほとんどないからね」と困った顔をしていた。
結局、それ以上は分からないと言うことで帰ることにしたけれど、
「おじさん。お父さんの死因って、なんだろうね?」
「調べても、まだ、わからないようだから。任せるしかないだろうね」
「お父さんが守ってくれたのかもしれないね。駐車場でいきなり電話が掛かってきて、さすがに怖かった。とっさに動けないものだね」
「私が真珠を一人にしたから」
「違うよ。安全なところに移動してから出たらよかったんだよ。急ぎじゃないし」
「だとしても気を付けるしかないな」
「そうだね」としか言えなかった。