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Fortune-teller  作者: marimo
松島
227/266

松島2

設定を考えたのは、かなり昔になります

 警察に届けたほうがいいだろうと言われて、おじさんと二人で警察に行った。目撃者の人の連絡先を教えてもらって、警察に教えて、

「せめてナンバーが分からないと、難しいかもしれないですよ」と言われてしまった。

 家に帰ってから、

「大丈夫だった?」幸枝さんに聞かれて、うなずくしかできなかった。


 ノックがあり、雪人さんがドアを開けたら、

「聞きたいことがあったから」と、東条さんがドアの外に立っていた。

 部屋に入ってから、

「本ばかりだな。片づけに来る女性もいなさそうだ」と東条さんが見回していた。

「女性?」雪人さんが驚いていた。

「この間の女性」

「この間?」

「同郷の女性」

「ああ、真澄ちゃんか」と笑っていたので、

「真珠は傷ついてた。お前、気づいてないのか? あいつの気持ち」雪人さんが困った顔をしていた。

「その顔は知ってるんだな。それで、どうする? 同郷の子と戻って結婚でもするのか?」

「いや、それは……」

「煮え切らないな」

「しない」

「ふーん」

「できないと断った。正月に戻るように言われたけれど、今年は戻れそうにないから。断ったけれど、結婚の話もしていたから、はっきり断ったよ」

「なんで?」雪人さんが窓の外を見て、

「真珠の気持ちを知って、どう思った?」と聞かれて、

「うれしかったけれど」

「そうじゃなくて、付き合う気があるかどうかを聞いている」

「付き合うって言うのは、きっと、彼女のほうが困ると思うから」

「どうして?」

「それは……」

「どう思ってるんだ? 真珠のこと。好きなのか?」と聞かれて、困った顔をした後、

「かわいいと思う。ひたむきで優しくて」

「気にはなっているみたいだな」

「彼女の気持ちはとてもうれしかったから」

「だったら、どうしてはっきり言ってやらない?」

「僕はもうすぐ東京を離れる。それに、向こうでも忙しいだろうから、彼女と会う時間は」

「デートするぐらいの時間作れよ」

「無理だよ。そういうところで、無理というか。友達と約束していても、忘れてしまうぐらい没頭してしまうときがあって、何度か約束を守れないことがあった。彼女と約束しても、同じことをしてしまうだろうから。真珠ちゃんは身近な誰かと楽しんだほうが」

「あいつの気持ちはどうなるんだよ? お前のことをずっと憧れていたんだぞ。はっきり、答えを出さないまま、このまま別れるって言うのか?」と聞かれて、困った顔をした後、

「僕はそばにいないほうがいいと思うから」

「卑怯だよな。女性に決めてもらいたいってスタンスか? 相手の女性は困るだろうな。真珠の気持ちぐらいは応えたらいいと思うけど。どう思っているのかだけでも告げたらいいだろうに。あいつ、ずっと、篝里さんにあこがれていたみたいだ。気持ちを伝えなかったのも。ああ、知ってるだろ。あいつの父親のこと。遠慮があったから。ああいうことがあって、きっと、言わないかもしれないから。俺がよけいな口出しをしていると思っているだろう?」

「いや、それは……」

「俺から教えないと、あいつ、お前には言わないと思うからね。だから言っている。おせっかいなんて焼くのは、俺はしたことはない。でも、一言言わせてもらいたいから、そうしないと、篝里さんは何も答えを出さないまま、ここからいなくなるだけだろう?」雪人さんは何も答えなかった。

「それでは、思いを残したままになる。せめて、あいつがこっちに戻ってきたら、言ってやれよ。あいつのことをどう思っているのか。真珠がどうするかは知らないけど。気持ちぐらいは応えろよ。たとえ、デートする時間がなかったとしてもね」雪人さんが黙ってうなずいていた。

「真珠は今、支えがいるんだ。どうしても」

「支え?」

「狙われたんだよ」

「狙われた?」

「事情は詳しくは言えない。父親の失踪のことに関係があるのかもしれないけれど、支えにぐらいなってやれよ。あいつは篝里さんに憧れ続けていたからな。せめて、優しい言葉ぐらいはかけてやれよ。そういうこともしなさそうに見えるからね」

「君がいるだろう?」

「あいつが好きなのは、篝里さんの方だから」雪人さんは黙っていた。


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