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Fortune-teller  作者: marimo
父の足跡
223/266

父の足跡3

「聞いても教えてくれない」

「そっとしておきなさい」

「分かってる。その人の息子のことも、会うことを反対してるし」

「息子?」

「ああ、そう言えば、この間、会ってると思う。来てくれた人」おじさんが驚いていた。

「そうか、彼が」しばらく黙った後、

「あの人が好きなのか?」と聞かれて、

「とんでもない。あの人はちょっと困る」と慌てて訂正した。

「あれ、そうなのか? てっきり、好きなのかと思っていたが」

「ただの同業者の子供で、占い師の見習いとして、ライバルって位置関係なだけ。ただ、向こうは勝手に、私を気に入っているみたいだけれど」

「そうか、血は争えないな」

「え、どういう意味?」おじさんが困った顔をしていて、

「やっぱり、お母さんとあの人、恋人同士だったんだね」

「それは昔の話だから。言いたくないんだろう」

「気持ちは分かる。お父さんの圭吾さんのほうは良く知らないけれど、息子のほうは、女性とのデートで忙しそう。よくわからない人だしね。価値観が違いすぎるから」

「そうなのか」

「お父さん、どこを歩いたのかな? こっちに来たら、わかるかもしれないと思ったけれど」おじさんに頭をなでられた。


 お父さんの手帳に書かれた、地名を案内してもらうことにした。本当は、松島に行きたかったけれど、それだと遠回りになるからと、後にしようと言われた。

 道に迷って、違う道に入ってしまい、かなり経ってから気づいて、

「戻らないといけないな」とおじさんが言ったけれど、

「ここは来た気がする」

「そうなのか?」

「そう思えるの」

「それなら、もう少し先まで行ってみようか」

「この道はバスは通らないのかな?」

「通るかもしれないが、聞いてみないと」

「真珠はお母さんに似ているんだろうな。感受性が強くて」

「お母さんもこうだった?」

「良く怒っていたよ。男性が違う人とデートしていたのが分かるって」お母さん、すごいかも。

「あの子は良く電話が掛かってきていた。男性から誘われて」

「お姉ちゃんと同じだね」

「見た目が派手だからかもしれないな。真珠もお化粧をしたら違ってくるさ」

「お母さんに目が似てるって、何度か言われた。そうかな?」

「お父さんよりは似ているな。性格はお父さんにもお母さんにも似ている。適当に流すところとか」

「おじさんも似たようなところがあるでしょう?」

「そうだったな」と笑った。

「あ、待って」と止めてもらった。

「どうした?」

「この辺り」窓の外を見た。なんだかとても気になった。車を降りて、あたりを見回した。なんてことはない風景だった。近くに林があり、人は誰もいない。辺りは薄暗くて、民家が遠くにある程度で、

「どうかしたのか?」と聞かれて、

「なんだか、気になって、不思議だね」おじさんがあたりを見回していて、

「お父さんもここを通ったのかもしれないな」と言われてうなずいた。

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