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Fortune-teller  作者: marimo
父の足跡
222/266

父の足跡2

「お姉ちゃん、お父さんのことも、私のことも、家族としては認めてないんだね。結婚するとしても、家族として紹介するのは綺麗なお母さんだけってことなのかな?」

「あの子はそこばかり気にしているのが駄目だな。相手のご両親には気に入られたとしても最初だけだろう。取り繕うのも下手な子だし」

「え?」

「近所の人が誰も、あの子をかわいいと言わないのもそれが理由だ」

「え、なんで?」

「性格の悪い子を、大人はほめないところがあるからね」

「え、そうなんだ?」

「容姿だけでほめるような人は、うわべだけ取り繕うことに抵抗がない人かもしれないなあ」

「なるほどね」

「真珠は気にしなくてもいいから。幸枝のことも気にしなくてもいい。話題にも気を遣わなくてもいいさ。あの子は、藍子よりも年上なのだから」

「あ、そうなんだ」年齢は聞いてはいけない気がして聞いていなかった。

「お姉ちゃんには言わないほうがいいね。幸枝さんとおじさんが出会った場所とか」

「聞いたのか?」と言われてうなずいた。

「そうか。あの子と出会ったのは、近所のスナックだ。苦労していたようで、何度か相談には乗っていた」

「そうなんだ」

「ただ、男女の仲ではなかったから。ずっと」

「え?」

「輝子に聞かれても、言わなくてもいい」

「お姉ちゃん、嫌がりそうだものね」

「あの子も、今度のことで家を出るかもしれないな」

「家事ができないのに?」

「それがあったな」おじさんが笑った。

「不思議だった。あの家が嫌いなのに、出て行かないのって、やっぱり、自由に使えるお金が減るのが嫌なのと、家事をしたくないってことなんだよね、きっと」

「お前はあの子のことは世話しなくてもいいぞ。少しは家事をやらせないと」

「お母さんが言っても聞いてないよ」

「それはそうだろう。その前に自分がやったらと言い返すだろうな」

「なるほど」

「困ったものだなあ。結婚するまで我慢してやりなさい」

「見つかるといいね、結婚相手」

「違う。お前が結婚するまでだ」

「え、なんで?」

「あの子が結婚できるわけがない。できたとしても、すぐに戻ってくる。そうだな、3か月もしないうちに、離婚するだろう」

「おじさん、恐ろしいことを言わないで」

「そういう子だよ。輝子は」

「おじさん、預言めいたことを言わないで」

「だから、真珠が結婚するほうが先だな。彼氏はいないのか?」思わず、なぜか、東条さんの顔が浮かんだ。慌てて、首を振って、

「なんだ、いるのか?」とからかうような顔をした。

「違う。あの人じゃない。だって、私は」と雪人さんを思い出した。

「そうか、良かった、良かった」

「相手にもしてもらえない状態なの。素敵な人、すごく素敵な人だから」

「そうか、良かった、良かった。家事と占いだけではだめだぞ。真珠も恋をしないと」

「そう言われても。お母さんとお父さんって、どういう恋愛だったんだろうね」

「幸せそうだったよ。勝友君はとても優しいからね。藍子は気が強いところがあるから。勝気なところもあって。恋愛で何度か失敗していたし」と言われて、思い出した。

「ねえ、東条圭吾って人、知ってる?」と聞いたら、困った顔をしていて、

「ああ、テレビで何度か見かけるな」

「そうじゃなくて、お母さん、あの人と何かあったみたいで」おじさんが黙っていた。

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