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Fortune-teller  作者: marimo
広大おじさん
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広大おじさん2

 おじさんと一緒に住んでいるという、幸枝さんが料理を作って待ってくれていた。思ったより若い。おじさんより一回り以上は若く見える。おじさんと付き合っているのを私は知らなかった。ただ、こちらに住むことを教えてくれた時におじさんが一緒に住むことを話してくれて、ちょっと複雑だった。おじさん夫婦には子供はできなくて、母の親代わりになっていたけれど、おじさんの奥さんは病気で亡くなっている。だから、籍を入れても問題がないはずなのに、入れていないらしい。姉が根掘り葉掘り聞いていて、知ってしまった。姉がどうしてそこまで聞いたのかは、たぶん、財産分与などの問題ではないかと母が言っていた。と言っても、財産なんて、さほど残ってないだろう。父も母もそこまで裕福ではない。おじさんはそれなりに羽振りが良かった時期もあったようには思えたけれど、今の暮らしはそこまでじゃなさそうに見えた。

「いいところだね」幸枝さんの手伝いを断られたので、おじさんのそばに行った。

「雪が思ったより少ないので、驚いたけど」

「ここは豪雪地帯じゃないよ」

「そう言われても、雪がいっぱい積もっているイメージがあるから」

「年によって違うよ。今年はこれでも多いほうだ。もう少し北に行けば、かなり積もっているところもあるだろうな」

「そうなんだ」

「雪かき、雪下ろしをしないといけないところもあるからね」

「雪かき?」

「家の周りの雪をどけておくんだよ。屋根のほうもやるからね。東京だとしないんだったな」

「だって、積もらないことのほうが多いよ。積るとニュースになるぐらいだもの」

「そうだったな。こちらではこれが普通だ」

「東北の人ってすごいね。こういうところで暮らしてるんだもの」

「そうだな。辛抱強くなるよ」

「え、そうなの?」

「まじめで辛抱強く、実直な人が多いよ」思わず雪人さんを思い出した。そうか、それで、あんなにまじめに勉強しているんだ。東条さんと差が出るはずだ。こういう気候で育ち、こういう風土で暮らしているのだから。

「寒さに強くなりそうだね?」

「どうだろうなあ。腰痛は出やすいけれど」

「おじさんはまだまだ若いじゃない」

「そうでもないぞ。今は幸枝にお世話になりっぱなしだ」

「優しそうな人だね」

「そうだな。あの子もいろいろあった口だから」と言ったので驚いた。

「おじさん」

「なんだ?」

「お父さんって」と言いかけたら、幸枝さんに、

「食事の用意ができたから」と呼ばれたので、二人で立ち上がった。

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