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Fortune-teller  作者: marimo
広大おじさん
218/266

広大おじさん1

 駅に降り立った。おじさんが迎えに来てくれているはずだけど、と見回した。父親代わりのような存在であるおじさんだけれど、実際には母のおじに当たり年齢はいっている。見回していたら、おじさんらしき人が近づいてきて、手を挙げていた。そちらに寄っていったら、

「良かった。ちゃんと着いて」

「そこまで子供じゃないから」

「でも、心配だよ。藍子もそそっかしいところがあるから」

「お母さんに似てるかな、私?」

「似てるだろ。顔もそっくりになってきたな」

「え、そう?」

「お前もモテるようになるぞ。もう少ししたら」

「え、なんで?」

「そう思える」

「そうかな? お姉ちゃんのほうが」

「あの子はどんどん下がってくるかもなあ」

「え、そういうものなの?」

「寒くないか?」と言いながら、荷物を持ってくれて、

「大丈夫だよ。持てるよ」と言ったけれど、

「お前は輝子と違うな。だから、あの子はモテなくなる。もしくはすぐにダメになる」

「え、そう?」

「男に荷物を持たせて、お礼も言わないようなのは、付き合っていくうちに疲れるだろうし」

「え、そうなのかな? よくわからなくて」

「綺麗なだけでモテるとしても、難しいだろうな。あの子が結婚したいと思っている相手には。今のうちに見つけておかないと難しいかもしれない」と笑っていた。

「え、なんで?」

「若いのが一番だろ」

「え、やだ、それ」

「お前は大丈夫だ。輝子はそれぐらいぐらいしか取り柄がない」

「おじさん、言い過ぎ」

「でも、そうだろう。私や勝友君、お前に家事をやらせて、長電話しているような娘では」

「そうなのかな? 綺麗ならいいじゃないって、お姉ちゃんなら言いそう」

「あの子に合わせるのはやめておきなさい。これからは」と言われて驚いた。

「どういう意味?」

「真珠は良い子すぎるから」と頭をなでられた。

「全然よい子じゃないって。勉強だって、それなりで、容姿だって」

「そうか? かわいいと思うぞ」ともう一度なでられた。

「お姉ちゃんのほうがかわいいと思うけどな」

「年寄りには真珠のほうがかわいいと言われるだろ」

「そうかもしれないけどね」近所のおじいちゃん、知り合いのおじさん。ほとんどが、私には「かわいい子だね」と言う。お姉ちゃんにはなぜか言わない。ときどき、「綺麗な子だね」と言っている人もいるけれど、そう言われたら、少ないかもしれない。

「どうしてなの? お姉ちゃんのほうが綺麗だよ」

「はは、どうしてだろうな?」とおじさんが笑っていた。


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