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Fortune-teller  作者: marimo
勘の強い人
211/266

勘の強い人1

  東条さんから電話があり、一緒に出掛けようと誘われて、

「あまり出かけたくない」と言ったら、

「一緒に来てほしいところがあってね。連絡があったから」

「え?」と驚いた。

「迎えに行くから」と言われて、それ以上は言わなかった。

 車に乗ってから、

「あの人のところに行くの?」と聞いた。

「あの人って?」

「灰野さん」とぼんやりしながら言ったら、ちょっと息を飲んでいるように見えたけれど、かなり経ってから、

「お前は似てるのかもな」とゆっくり言われてしまった。

「誰に?」

「彼女にだよ。何も言わなかったのに、そうやって、まるで見えているかのように言ってくる。そういう部分が似てる」

「はあ」言っている言葉をぼんやり考えてしまった。あれ以来、頭の回転が鈍くなる時が多い。呼ばれても気づかない時があって、「真珠? 呼んでるのに」と何度か怒られてしまった。

「そういう部分は面白くないけど」

「はあ」

「ま、いいや。あの人が東京に来てるから、一緒に行こうと思ってね」

「どこに?」

「今は別の占い師の元でやってる。親父は面白くないかもな」

「どういう意味?」

「あの人の才能が怖いんだろ。でも、認めたくないってことだろ。だから、追い出した」

「追い出したの?」

「弟子のほうが優れているのを親父は認めたくないんだろうな。俺は違うけど」

「え、なんで?」

「霊感の強い人のそばにいたほうが俺も刺激されて、占いの勘がよくなるかもしれないだろ」

「あいかわらずだね、あなた」

「ああいう人には敬服するしかないよ。逆立ちしたって敵いっこない。そういう人だ。あの人の霊感が落ちるぐらいじゃないと、俺や親父には追いつけないレベル。そういう人だ」

「そんなに素晴らしいのなら、そのままプロキオンに」

「ああ、ダメだよ。今、言っただろ。親父が苦手なんだよ。怖いんだと思う。しかも、怖がっているのを認めたくないし、表に出さないように気を付けている。そういう状態でプロキオンに置いておいたら、辛くなるだけだ」

「そういうものなんだ。へえ、よくわからない。霊感が強い人がいたほうが、ほかの占い師にも刺激になっていいと思うけど」

「それはおおらかなお前だから言えることだ。親父は上昇志向が強いタイプだからな。自分よりも出来がいい占い師がそばにいてみろよ。うっとうしくてしょうがないんだろうな。だから、『今日は占えません』そういう日がある灰野さんは、わがままだという形で追い出したんだから。俺には灰野さんのほうが普通だと思うけど」

「え?」

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