リサーチ1
エッグシェルの帰りに本屋に寄ったり、買い物をして帰ったら、家の前に見慣れた車が見えた。うーん、困った。母が怒り出しそう。車をトントンと叩いて、車で寝ていた東条さんが起きて、運転席の窓は開いていたので、
「ああ、何だ。今帰ったのか? 今日は遅いな」が言ったのが聞こえた。
「ちょっと寄るところがあって。それより、何か用? さすがに困るんだけど」
「なんで?」
「説明したでしょ。あなたは我が家では出入り禁止だから」
「ふーん。親とは関係ないだろ。俺たちの問題だし」
「坊主も袈裟も苦手なんでしょ」
「俺は袈裟なのか? まあ、いいや。確認しに来ただけだから」
「なにを?」
「お前の相手」
「何で、そんなことを確認する必要があるのよ」
「一応、見ておきたかっただけ。強い女が好きになるタイプをね」
「強い?」
「ひょっとして、あれか?」と聞かれて、東条さんが見たほうを見てみたら、雪人さんが歩いてこちらにくるところで、勘がいいやつと思いながら、
「別にいいでしょ。さっさと帰ってよ」と言ったら、
「ふーん」と言って、わざわざ車から降りてきた。
「呆れるなあ。早く帰ってよ」
「あれだけ言われて面白くないし。俺とどこが違うと言うのか見ておかないと」
「見なくていい。雪人さんが穢れる」
「雪人さんねえ。あれじゃあ、無理かもな」と言っていたら、雪人さんがそばに来てしまい、
「ああ、真珠ちゃん」と挨拶してくれて、頭を下げた。東条さんもなぜか頭を下げていて、
「お前は子供だ。憧れと恋を間違えてるタイプだね」と、意味深に笑って、
「失礼な」と怒ったら、
「なんだ。まだまだだね。いつまで経っても進展しそうもないな。占いは当たったな」
「当たらないわよ」と怒っていたら、雪人さんが不思議そうな顔をしていて、
「じゃあ、自分の目で確かめて見ろよ」と意味不明なことを言っていて、思わず雪人さんを見たら、東条さんがそばに寄ってきて、いきなり首の後ろを持たれて、
「きゃあ」と言い終える前に、勝手に唇を重ねてきた。さすがに驚いたけど、東条さんを突き飛ばし、
「威勢はいいよな。でも、まだまだ子供だけどな。恋愛するにはまだ早いね」
「信じられない。何するのよ」
「じゃあな。後で反応を見たら分かるさ」東条さんが雪人さんを意味深に見てから、さっさと車に乗ってしまい、
「え?」と考えている間に、
「じゃあ、頑張れよ」と言い残して行ってしまった。
「真珠。あれは何?」母がすごい勢いでお店から出てきたけど、それどころじゃなくて、思わず雪人さんに抱きついて、その後、泣いていた。母がその後ろで、「塩をまくわ」と怒っていたけれど、それどころじゃなかった。
朝、お弁当をつめ終えて、出かける用意をしていたら、姉が二階から降りてきて、
「お姉ちゃん、ゆっくりだね」と言ったけど、元気が出なくて、
「お母さんから聞いたよ。東条圭吾の息子とできたんだって? お金持ちなんだから、せいぜい貢がせなさいね」とすごいことを言っていて、
「朝ごはんは?」と聞いた。
「いらない。ダイエット中」
「また、振られたね?」と聞いたら、
「振ったのよ」と言ったので、やはりうまくいかなかったらしい。東条さんが言ったとおりになりそうだ。中々結婚できないかもしれないなあとぼんやりした後、首を振って、あいつだけは許さないとまた思った。