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Fortune-teller  作者: marimo
縛り
204/266

縛り4

「お前は似てるんだよ、俺に」

「そう?」

「だから、ほっとけないんだろうな」

「わざわざ来てくれると思わなかった」

「泣いているように思ったから」

「え?」

「お前が泣いている気がして、居ても立っても居られなくてね。だから、行った」

「そう」

「呼んでいる気がしたからな。行ってよかったよ。そばにいるだけで違うと思うからね」

そう言えば、東条さんが来てくれて、なんだかほっとしたのを思い出した。誰かに聞いてもらいたかったことを、母にも神宮寺にも言えなかったけれど、東条さんにだけは素直に話せて、なんだか不思議だなと思った。

「あなたって、不思議」

「ん?」

「あなたになら話しやすいのかもしれないね。そういう雰囲気を持ってる」

「よく言われるよ」

「そう言うから駄目なんでしょ。うぬぼれや」

「本当に言われるから言ってるというのにね」

「あえて口に出さなくてもいいというのに。何で、うちのクラスの男子といい、あなたといい、よけいなことまで口にするんだろう?」

「無理だよ。つい、言ってしまってるんだからね。中々直らないだろうな。いくら注意されてもね」

「そういうものなの?」

「性格とか考え方のくせって、中々直らないと思うけど。だから、毎回同じところで失敗したりして、行動パターンが予想がつくタイプがいるだろ」

「高津がそう。毎回、女の子ともめる、浮気する気持ちが分からない」

「浮気じゃないかもな」

「どういう意味?」

「全部本気」

「呆れるなあ」

「目の前にかわいい子、好みの子が座ったら、つい、声を掛けたくなるタイプなんじゃないか。彼女がいても」

「えー!」

「そういうタイプもいるさ」

「あなたも?」

「気軽に話しかけはするけど、彼女まで昇格はないかもしれないな。せいぜいデートどまり」

「勘違いされちゃうわけだ」

「想像してみろよ。合コン会場に呼ばれる。『彼女、いますか?』とそばのかわいい女の子に聞かれるとする。大概の男は、正直に言わない。その場の雰囲気に合わせて答えを変える。はぐらかしたり、いないと言ったりするかもな」

「え、なんで?」

「その場に彼女がいないやつが多いと気を使うこともあるだろ? それに、目の前の子とうまく行くかもしれないのに、彼女がいるとわざわざ教えないかもね」

「えー、それって不誠実じゃない」

「絶えず違う女性に目が行くタイプはそうだよ。その場がしらけても、『彼女がいるから』と言えるのは少ないだろうな。せいぜい、どっちか分からないように返事をしなかったりする程度でね」

「ふーん」

「女の子も同じだと思うけど。お前、自分があこがれている男性に、『君、好みだなあ、彼氏いるの?』と聞かれて、彼氏がいたとしても、どう答えるんだよ」

「さあ、そのときになってみないと」

「だから、そういうことがあるからね。友達として会っていても、女の人ってやきもちを焼く人も時々いるからなあ」

「違うでしょ。あなたはどっちつかずすぎる。怪しまれるあなたが悪い」

「そうか? 俺は中々彼女はできないかもしれないな」

「なんで?」意外なことを言うので驚いた。

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