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Fortune-teller  作者: marimo
予感
200/266

予感6

「あの人は、俺も親父も到底敵わないよ。それぐらい強いんだ。だから、俺がいくら勉強したって無理だ。ただ、占えない日も多くてね。だから、あの人の場合は有名にはなれないかもな」

「そう?」

「テレビにも出ることはしないだろうし、有名にもなりたがらない。いくら雑誌の紹介があっても、全部断っていた。でも、すごい人だよ」

「そう」

「お前を遠くから見て、危ないってさ。何か起こるといけないと言われて、心配になって」

「え?」

「ああ、大丈夫だよ。そばにいるから。今は弱っているからな。お前、そういうときは無理しなくてもいい」

「ごめん」

「いいよ、俺だって心細くなったことがあるからな。母親が出て行った日にね」

「え?」

「気にするな」と頭をなでられてしまった。


 母は広大おじさんと話しがあるからと、さっきまで別行動していたけれど、待っていたら、やがてやってきて、

「悪いわね、わざわざ来てもらって良かったわ。真珠のそばについていてもらって。本当なら輝子がするべきなのにね」

「意外と優しいね。来てくれるとは思わなかった」東条さんに言ったら、

「お前はこういうときにも憎まれ口か」と呆れていた。広大おじさんとは結局、それほど話せなかった。母がなんだか深刻そうにおじさんに相談していて、

「お父さんはもういないんだね」と思わず言ってしまってから、「ごめん」と謝った。

「輝子が来ないから、おじさんが呆れていたわ。あの子は駄目ね。合コンの約束より父親を優先しないのね。困った子」と言ったので、

「仕事じゃないの?」と聞いた。そう聞いていたからだ。

「仕事だと言ったけれど、その後、合コンだと思うわ。私に嘘をついても無理よ」母も勘がいいのでそういう嘘は見抜いてしまうところがある。

「親子、似てますね」と、東条さんに言われてしまい、

「髪をもう少し伸ばして、お化粧したら似ているだろうな」と言われてしまい、

「真珠もそろそろ髪型を変えてもいいかもしれないわね」と、母に言われてしまい、東条さんが、

「それは」とさっきのことを思い出したのか心配そうに見ていて、

「お父さんに許可を取ってから」とだけ言って目をつぶった。

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