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Fortune-teller  作者: marimo
3.プロキオン
14/266

プロキオン5

「俺もお前が分からない。自分の占いなのに、どうして分かった?」

「半分しか分からないよ。自分が見たくないことまで見えないし」

「そうかもしれないな。俺も自分のことや身近な人は占いにくいし。でも、お前は今までで一番占いにくかった」

「そう? 日頃、言いたい放題だから、そうなるかと思ったのに」

「占い結果と照らし合わせても、お前が分からないからな。お前は勘がいいようだけど、それ以外はボロボロだし」

「嫌味な男」

「しかも言葉遣いは悪い。見学させてもらっておきながら、感謝もしないしね」

「ごめん」と謝った。この男だとそういうことが言えなくなる。そういう部分でぶっ飛んでしまうところがある。

「相手によって感謝って言いづらいのかも」

「素直なほうがいいだろ。それで、どうだった?」

「なにが?」

「見学してだよ。プロキオンの占い師のことはどう思った」

「あ、見てなかった」

「呆れるやつ。何しに来たんだか」

「そう言えばそうだったね。観察してないよ」

「お前は一箇所集中型かもな。霊感だけの占い師脱却の道のりは遠いな」

「この辺で止めて」

「何で、家まで送ってやるよ。さすがに女子高生だと襲われると困るだろ。それなりにかわいいからな」

「あなたから言われると途端にうれしくなくなるのはどうしてだろう?」

「失礼なやつ」

「塩掛けられちゃうからね。あなたのお父さんが嫌いだから。うちの母」

「ふーん。売れてるから、やっかみか?」

「さあ、それにしては変だよ。前に売れている有名占い師の人に母と一緒に会ったけど、反応が違ってた。うれしそうに握手を求めてたから、違うと思う」

「じゃあ、いい男コンプレックスか?」

「なにそれ?」

「モテる男が嫌いって女もいるんだよ。お前と同じようにね。でも、興味があるから嫌いと言うことが多いけどね」

「誤解だ。あなたに興味があるのは占い師の部分だけ」

「ふーん」東条さんが変な顔をしていた。

「おかしくないでしょ。好みのタイプじゃないだけだもの」

「俺は好みだけど」と言われて、口をパクパクさせた。

「リアクションが古いな、お前。コメディにするな」

「どういう意味?」

「テレビで見るコントのようだ。もっと、かわいく、『うれしいわ』とにっこり笑え」

「笑えない。うれしくないから」

「ああ言えばこう言うタイプだな。つくづくかわいくないね。友達を見習え。もっとも、彼女も長続きしない恋愛を繰り返しそうだな。後、何年かはね」

「そんなことも分かるの?」と聞いたら、意味深に笑っていて、車を止めてから、

「お前の場合は経験不足に尽きるのは本当のようだ。経験つめよ。お金もらって占えるレベルになってから言え」

「はいはい、送ってくれてありがとうございました。二重人格さん」

「お前は裏表を身につけろよ。お客様に対して不快な態度を取らないように。素人レベルで終わりそうだ」

「うるさいわねえ」と言いながら、車から降りた。あいつはさっさと行ってしまい、

「よく分からないやつ」と思った。

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