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Fortune-teller  作者: marimo
3.プロキオン
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プロキオン2

 東条さんの言うとおりだった。予約表を見せられて、びっしり予定が入っていた。

「料金いくらなの?」

「正規料金の半額。見習いはそこから始めるからな。それで基準人数に達したら試験」

「試験って?」

「この間と同じことだよ。相談者をみんなの目の前で占って、採点する。基準点に達していたら見習いから昇格。その後もアンケート結果や指名などでランクが上がっていく制度。指名が多いとそれだけお給料に反映」

「お給料制なの?」

「いや、固定給は少しだけだよ。後は歩合。あまり指名が少ないと、ここにいられなくなる」

「追い出されるの?」

「違うさ。自分から辞めていくだけ。居づらいからだろ」厳しいんだなと聞いていた。

「そばにいて見学してろ。ただし、横から口は出さないでね」怜奈ちゃんを見たら、

「最初だけいるね。途中で帰るから」と言ったので、東条さんがうなずいた。

「かわいい子だから、特別だからね」怜奈ちゃんにだけ、優しく笑いかけて、「この二重人格男」と言いたかったけど、我慢した。追い出されると困る。こいつの占いに興味があった。


 東条さんはえらそうなことを言うだけのことはあった。占い師として東条カロンと名乗っている。占い師は本名の人のほうが珍しいぐらいだ。カタカナ名の人が多い。私はまだ占い師の名前はもらっていなかった。占いはタロット西洋占星術の両方ができるけど、タロットが多かった。お客さんに了解を得て見学していたけれど、嫌がる人もいたので、そういう人は席をはずしたけれど、ほとんどの人は私など眼中になかった。タロット占いではカードの意味から更に解釈を広げていて、相手は食い入るように聞いていた。相手は何度もうなずいて、しかも質問も多い。その質問にも丁寧に答えている。相手がどういう年齢だろうと、自分より年下だろうと言葉遣いは丁寧だった。親近感をこめた言い方に変えることもあったけれど、相手によって、その辺のバランスを取っていた。確かに私とは違う。こいつが合格したのは当然だったんだなと思ったと同時にかなり落ち込んだ。これでは言われてもしょうがないかも。

「どうだった?」とお客さんが帰った後に、聞かれた。お客さんが帰る合間に話しかけられたけど、何も言えなかった。それで、今度も「えっと」としか言えなかった。怜奈ちゃんは飽きて、さっさと帰ってしまった後で、

「よく見てろよ。お前、他の人の占い方法も知らずにきただろ」

「見てると違うの?」

「参考にできる部分はいくらでもあると思うけど。人によって違ってくるからな。アプローチの仕方も解釈も何もかもね。得意分野もあるだろうし」

「得意分野?」

「恋愛の」と言っていたら、お客様が入ってきて、

「お願いします」と言った声を聞いて、

「お姉ちゃん」と驚いた。

「あ、なんだ。真珠、なんでここに?」と聞かれて、

「見学なんですよ。おとなしくしていますから、許してやってください。それより、おかけください」東条さんが優しく笑いかけた。

「へえ、ここで働く気? ここってお給料いくらなの?」と聞かれて恥ずかしかった。姉はこういうところがある。全部、お金で換算する。

「どうぞ」東条さんが薦めたために、姉は座って、

「どういったご相談ですか?」と東条さんが聞いていた。

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