ACTION!
レビュー執筆日:2022/5/5
●「ベタさ」と手数の多いロックサウンドが上手く噛み合ってきたような印象が。
【収録曲】
1.宴はヨイヨイ恋しぐれ
2.サンライズ
3.大脱走
4.ラグエモーション
5.FACTION
6.流線ノスタルジック
7.もういっちょ
8.不死鳥
9.Orion
10.あなたは十六夜
11.愛文
12.照れ隠し
KEYTALKというバンドに対しては、「フェス等で演奏されるような代表曲に関しては素直に良いと思えるものもあるけれど、その一方で、『ベタ』過ぎたり印象に残り辛い曲もあったりして、アルバム単位で見るといまいちに感じてしまう」といった印象がありました(MAN WITH A MISSIONのアルバムのレビューでも似たようなことを書いた記憶がありますが)。ただ、今作に関しては、そういった点がある程度緩和されたように感じられます。
まあ、今作においても「ベタ」な点は否定できません。『宴はヨイヨイ恋しぐれ』はコテコテの歌謡曲メロディといった感じですし、『ラグエモーション』はまるでアイドルポップのよう。ただ、全体的に手数の多いサウンドからはロック色を強く感じ取ることができ、そういったサウンドと前述の「ベタさ」が従来と比べて上手く噛み合っているような雰囲気があり、全体的に聴いていて「楽しさ」を感じられるような出来になっているように思えます。2ビートのリズムで突っ走る『サンライズ』やファンキーな演奏を聴かせる『FACTION』に『不死鳥』、EDM調のクリスマスソングの『Orion』のように様々な音楽性を取り入れていることもそういった「楽しさ」を後押ししていると言えるでしょう。
ただ、バンドとしての「個性」はそこまで強くはないかな、と思うところもあります。全体的に手数が多めとはいえ圧倒するほどのサウンドを鳴らしているという印象は受けませんし、『あなたは十六夜』や『照れ隠し』のようなバンドサウンドを抑えた曲になると面白みが欠けた感じになってしまうのも気になります。個人的には、先程挙げたような「楽しさ」をさらに追及していけばもっと面白いバンドになっていきそうな感じがするのですが。
評価:★★★★