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街灯
夜、街灯と外との間の道を歩く時は、立ち止まってはいけないよ。
街灯と街灯の間を歩くと、影が伸びたり縮んだりするよね。
思わず影を見つめてしまう事もあると思うけど、歩きながら見るだけにしておくんだよ。
伸びる影、縮む影、自分の体に重なる影・・・面白いとは思うけれどね。
影が一番短い時、影と体が重なった時に立ち止まると、影の中に吸い込まれてしまうんだよ。
明かりと闇、命と意識、肉体と残滓、魂と執念、全部のモノが重なる時は気をつけてね。
ほんの少しの油断が、平凡な時間を手放す事になるんだからね。
できれば夜はひとりで出歩かない方がいいけれど、仕方がないときは急いで家に帰りなさいね。
影に気を取られずに、周りをよく見ながら一目散に帰るんだよ。
早くお家に帰って、お母さんの美味しいご飯を食べて大きくなるんだよ・・・。