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スターライト  作者: 土方新
選抜試験編
8/21

3

 第一試験が終わった夜、エニシダは七人衆を屯所に招集する。


「試験内容を変更する」


 事前に何も聞かされていなかった他のメンバーは驚く。


「で、変更って内容は?」


 大柄の男が発言する。


「アルプラントの森を抜けた先にあるウォールフォレストの到着。グループ制であることは変わりない」

「ちょっと待て! ウォールフォレストに続く森には多くのスターマンがいる」

「承知の上だ」


 ウォールフォレストに向かう道中の森には多数のスターマンが確認されており、とても危険な場所である。噂によると、一度森の中に入れば戻ってくることは難しいといわれている。消息不明者も出ている。


「安全ルートもある。しかし、一グループには危険なルートを突破してもらう」

「お前は志願者たちを殺す気か!」

「七人衆は姫を守る精鋭の集まり――ここで死ぬのなら姫を守ることはできない」


 大柄の男以外のメンバーはエニシダの試験内容に口出ししなかった。


 第二試験を受けるイバラは集合場所に到着した。自分を含む十五人がすでに集まっていた。背後に気配を感じるイバラ。


「お前で最後だよ。遅い」

「急に後ろに来ないでもらえるかな?」


 七人衆の三人も集合場所へ到着する。エニシダが第二試験の説明を始める。


「第二試験は三人一組のグループで行う。メンバー編成はこちらで行っている」


 イバラたちに渡された用紙にグループを組むことになるメンバーが書かれてあった。イバラは潔癖症のキザンとヨウという人物がグループのメンバーだった。


「君たちにはゴールである『ウォールフォレスト』に向かってもらう。早く辿り着いた三グループの九名が最終試験へ進める。時間制限はない」


 ウォールフォレストに続く森の噂を知る者たちはざわつき始める。


「それと各グループ一名ずつ出発地点が違う。グループのメンバーが全員ゴールして合格となる。一人が早く着いても、他のメンバーが遅ければ不合格になる場合がある」


 第二試験の説明が終わり、イバラはキザンとヨウという人物を探す。第一試験でキザンの顔を知っていたイバラはすぐに見つけたが、ヨウという人物が誰なのかわからなかった。


「イバラってのはお前だろ?」


 ヨウを探していたところ、彼から声をかけてきた。男性でイバラよりも身長が高く、おっさんだった。指先が出ている手袋に汚れが目立っている服を着ている。髪の毛がボサボサで全体的に不衛生。


「あなたがヨウさんですか」

「ああ。そうだ」


 潔癖症のキザンはヨウの姿を見ると悲鳴を上げた。


「んだよ、こいつは」

「キザンは潔癖症なんです。ちなみにヨウさん、口臭が……」

「初対面の人に向かってなんてこと言ってんだ」


 ヨウは自身の臭いに全く気付いていない様子だった。


「あああ! この臭い、おっさんが犯人だったのか」

「指をさすな!」


 キザンはすぐに持ち歩いている消臭スプレーで自分の体に吹きかける。第一試験の会場で漂っていた臭いの正体はヨウだった。


「でも、ヨウさん。第一試験の時いました?」

「いたよ。だから今、ここにいんだろ」

「いたら、すぐに気づきますけど」


 消臭スプレーをヨウにもするキザン。


「イバラ君! 実はカラスノ君と一緒のグループになったんだ」


 カマツカが声をかけてくる。彼はカラスノと一緒のグループになった。


「なんでこいつとグループを組まないといけないんだ」

「影のホープとグループなんて心強い。君は隠れて動くことができるからね」


 第一試験でやられたことを忘れていないカラスノは不機嫌だった。

 七人衆が各メンバーを出発地点に案内する。イバラは一旦、キザンとヨウと分かれた。二人が無事到着することを祈る。

 イバラの出発地点には第一試験で出会ったカマツカがいた。


「イバラ君! まさか君と同じ出発地点だとは」

「よろしく。カマツカ」

「どっちが先に到着するか競争しようか」


 七人衆の合図で出発する志願者たち。ウォールフォレストに続く森の中へ入ってゆく。

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