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スターライト  作者: 土方新
選抜試験編
6/21

1

 世界には人間を襲う生物がいた。学者スターライトはその生物について研究を行っていた。スターマンは比較的女性を襲っていることが研究でわかっている。学者スターライトは自身の名前をとって生物の名前をスターマンと名づけた。

 人間とスターマンの戦いは今も続いている。


 アルプラント・ブルーム。

 イバラたちが暮らす場所である。四武のアジトではシクラメンの能力が話題になっていた。


「まさか隊長がホープだったとは」

「でも、鎖のホープってなんか弱くない?」


 今までホープの存在を隠していたシクラメン。彼は鎖のホープで戦闘向きではなかった。イバラは学者スターライトが残したスターマン全集を読んでいる。


「隊長も隠したかったんだろうな。イバラの炎のホープが断然強いからな」


 その隊士の背後に迫る影。シクラメンは彼の頭を掴んだ。


「そうだよ。俺の鎖はイバラの炎よりも弱いよ」


 般若のように恐ろしい顔を見せるシクラメン。他の隊士たちが必死に弁解してシクラメンの機嫌を取る。


「で、そこの俺より強いイバラ君。何かわかったのかい?」

「いえ。やっぱりスターマン全集だけじゃ物足りないです。空中都市マサにある図書館に行けば、学者スターライトの資料がたんまりとあると思うのですが……」

「おお。それはちょうどいい。そんな君たちにいい知らせがある」


 シクラメンの話に耳を傾ける隊士たち。


「七人衆の席が一つ、空いていることは存じているね」


 頷く隊士たち。


「今回、新たな試みとして七人衆の選抜試験が行われる!」


 今まで七人衆は六武隊各隊長の推薦者の中から選ばれていた。毎回のように二武隊長のローズが推薦した者が選ばれていたが今回は違った。爆葉樹作戦を踏まえて六武隊に属していない者でも志願すれば、七人衆になれるチャンスが設けられた。もちろんイバラたち六武隊の隊士たちも含まれる。


「七人衆になれば、イバラ君! 君の望みも叶うのではないかい?」

「空中都市マサに行ける!」


 空中都市マサは限られた人間しか行くことができず、イバラは今まで行ったことがない。夢の場所であり、そこには世界中の書物を集めた大きな図書館もある。空中都市マサは世界を統括する中央政府でもある。そして、イバラの父親がいる場所でもあった。


「まあでも、選抜試験に突破すればの話だけどね」


 他の隊士たちは選抜試験に志願するつもりはなかった。


「七人衆が求めている人材はホープを持つ者でしょ?」

「そんなことはない。だって、人気のあるエニシダ君はホープじゃない」

「あの人は特別なんですよ。昔から姫と交流のある人だし、刀の腕もあるし」


 選抜試験に積極的ではない四武隊士たち。イバラは手を挙げて志願する。


「お前らもイバラを見習え。あるしあるしって、もうちょっと俺の顔を立てても」

「今更、顔を立てたところで、ですよ」


 シクラメンにまた頭を掴まれる隊士。


「第一試験は観戦できると聞いたがお前たちはどうする?」


 隊士たちは揃って「行きません」と答える。


「なんでですか!」

「どうせお前が七人衆になるだろ。炎のホープってだけで」

「そんなのわからないじゃないですか」


 隊士たちは外へ行く支度をする。


「わかるよ。俺たちは六武の連中の助っ人に行ってくるよ。例の盗人に手こずっているみたいだからな」

「たしか、その盗人の特徴って口が臭いだけだっけ? 隠密エリートの六武は何やってんだよ」


 文句を言いながらアジトを出る隊士たち。部屋に残ったのはイバラとシクラメン。


「隊長は来ますよね?」

「俺も仕事があるな」


 シクラメンもアジトをあとにした。


 大勢の者たちが会場に集い、七人衆の六人が選抜試験を見届ける。真ん中に座る七人衆の一人、エニシダが志願者たちに告げる。髪を一つに結んでおり、侍のような男性。


「七人衆は姫を守るために結成された精鋭の集まりである。その意味を忘れないように」


 大勢の志願者たちを絞るためにサバイバルが行われる。制限時間は三十分。それまでに倒れなければ、第二試験へと進める。


「この選抜試験を開催したのはアネモネを七人衆に入れるためだろ? 肝心の奴がいないじゃないか」


 大柄の男が発言する。


「ゲロゲーロ。でも、面白い奴が集まってんじゃないの」


 口癖が特徴の彼は会場にいる志願者たち一人一人を指さして発言する。隣には酒を飲んでいる男、その隣にはリズムを刻んでいる男、さらに隣には目を輝かせている男。


「ローズ隊長が言っていた。炎のホープを持った少年が志願していると」


 七人衆は会場にいるイバラに注目する。爆葉樹の作戦で活躍したと彼らの耳に入っていた。


「にしても、ライ。酒の飲みすぎだ。ここまで臭うぞ」

「俺じゃないっすよ。俺はいつも消臭してるんで」


 酒飲みのライは大きく息を吐いた後、大きく息を吸うことでその場に漂っていた臭いを消した。

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