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スターライト  作者: 土方新
爆葉樹編
5/21

5

 ホープ。それは特殊能力者のことを意味する。

 各地に咲いている特殊な花はホープの花と呼ばれ、正式名称はわかっていない。その花を食べると特殊能力を得ることができる。

 学者スターライトの書物によると、それは人間のみならずスターマンにも該当するとある。


 枯草化していったスターマンだったが、一体だけ残っていた。爆葉樹の爆破から逃れたスターマン。


「見たんです。あの場所にホープの花が咲いていた」

「ホープの花が咲いていた……? 私は見ていないぞ」

「学者スターライトによると、ホープの能力者が死んだ場合、どこかにその能力を宿した球根が誕生する。人間にはわからないけど、スターマンはその球根の在り処がわかるとも」


 今、防壁の中にいるスターマンはおそらくホープの花を食べた。見た目も変わっている。頭は爆弾の様に丸く、体は茶色。猫背のような態勢でじっと立ち止まっている。

 最悪の状況が起きた。ホープの力を得たスターマンは非能力者の人間の力では到底及ばない。防壁内にいるスターマンの存在に気づいた二武隊士が倒しにいく。


「お前たち! 逃げろ」


 二武隊士は上空にいたローズに顔を向けた。その瞬間、スターマンが放った爆弾によって死亡する。

 地上に降りたイバラとローズ。


「学者スターライトが残したスターマン全集によると、あのスターマンは『ボムテッポウ』です」

「ボムテッポウ?」

「はい。残念ながら、ローズさんでは倒せません」


 ボムテッポウの体に触れると爆弾が発射される。拳で戦うローズとの相性が悪い。


「おそらく僕の炎でも難しいかと。爆弾が炎に反応して大きな被害が生む可能性があります」

「なら、どうすれば奴を倒せる?」

「爆弾処理のホープを持つ能力者なら倒せます。けど、僕はそのホープを持った人を知りません」


 ボムテッポウは体から爆弾を生み出し、イバラとローズにめがけて投げてくる。アネモネが爆弾を風で吹き飛ばした。その爆弾はボムテッポウに直撃するが無傷だった。


「奴を倒すには奴の体内にある爆弾を処理するホープの所持者が必要ってことか」

「そういうことです」


 ボムテッポウは体から直接爆弾を乱射していく。イバラの炎で爆弾の攻撃を回避する。


「ボムテッポウの体にはおそらく無数の爆弾が仕込まれています。体の中で生成されているんだと思います。仮定ですが」


 上空にいたアネモネがイバラの隣にやってくる。


「なら、イバラの炎と俺の風で上空で倒すのはどうだ?」

「やってみますか?」


 アネモネは胸の前で両手を合わせ、風を起こしてボムテッポウを上空に浮かせる。上空に浮かんだボムテッポウに炎を放出するイバラ。同時に上空で大きな爆破が起きるが、ボムテッポウは地上に戻ってくる。無傷だ。

 アネモネは再び上空へと浮かぶ。


「炎の少年、どうする? 私の拳で奴など一発で倒せるのだがな」

「だから、触れることができないんですよ」

「わかっている」


 イバラは手を顎に当てて考える。たどり着いた答えは捕獲だった。


「捕獲? 触れることができないんだろ?」

「大丈夫です。触れずに捕獲できる方法があります」

「あいつのことか」


 そこに遅れて到着したシクラメン。


「作戦は無事成功したみたいだね」

「これのどこか成功だ」


 ローズはボムテッポウを指さした。シクラメンは相変わらずの能天気さを見せる。


「僕の炎でも難しそうなので、シクラメンさんの能力で捕まえてください」

「仕方ないね」


 シクラメンは地面に両手をつけた。目を瞑って集中する。ボムテッポウが襲いかかってくる。ローズとアネモネが構える中、ボムテッポウの動きが止まる。突如現れた鎖によって縛られている。


「危なかったね」


 額の汗を手で拭うシクラメン。

 捕獲したボムテッポウは地下牢で管理することになった。


「このまま四武の隊士になったら、どうですか?」

「俺は誰にも従わない。誰も……」

「従えない! ですよね」


 任務を終えたアネモネは村へと帰る。その道中、一人の七人衆と出会う。一つ結びの髪に腰に刀を差している。


「お前たちに協力したわけではない。自分の意思でやったことだ」

「どちらにしろ、これで救われた命があることに変わりはない」


 彼は話を続ける。


「現在、七人衆の席が一つ空いている。彼女の為にもお前が座るべきではないか?」

「俺は誰にも従わない。誰も従えない」


 風のホープでその場から一瞬にして去っていたアネモネ。

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