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防壁の中、二武隊長のローズは次々に襲いかかってくるスターマンを拳で倒していく。枯草化していくスターマンたち。防壁外でも二武の隊士たちがスターマンと交戦している。異様に数が多い。
「いつもよりも数が多くないか」
「それ俺も思った」
まだ喋れるだけの余裕はある二武隊士たち。第二武隊は六武隊の中で一番強い隊士たちが在籍している。強い者が集まるのではなく、隊長ローズの熱血スパルタ指導によって鍛え上げられているからである。過去に多くの隊士たちを七人衆に輩出している。
爆葉樹に着いたイバラは地上に降ろされ、アネモネは上空から防壁の中を確認する。
「お前は四武の炎」
「イバラです」
「奴を説得できたんだな」
防壁の中では本当にローズが一人で戦っていた。アネモネの存在に気づくローズ。
「やっと来たか」
「この数を一人で相手しようなんて何を考えている」
「囮ってのは弱い奴には務まらない。私は弱くない。適任だと思うだろ?」
この状況の中、平気で笑顔でいられるローズ。彼女の強力な拳がスターマンにヒットする。イバラも防壁内に入ってきてスターマンと戦う。スターマンの数は増えていくばかり。
「だから、俺は組織ってのが嫌いなんだ。組織に従い、組織の為ならなんだってする。簡単に命を捨てるような真似をする」
「お前と私は全く違う。お前が何のために戦っているかは知らない。ただ一つ言わせてもらう」
ローズは次々とスターマンを倒してゆく。
「私は六武隊に入隊した時から命を捨てている。そうでなければ、スターマンを倒すことも、この国で生きる者たちを救うこともできない。生半可な気持ちじゃ簡単に死んでしまう」
アネモネは防壁内から離れていく。イバラは絶え間なく集まり続けるスターマンを不思議に思う。
「今から風を起こしてあんたとイバラを上空に浮かせる。気をつけろよ」
「ダメだ! アネモネさん」
イバラの声は届かなかった。
アネモネは胸の前で両手を合わせ、地面から風を起こす。ローズとイバラだけが上空に浮かぶ。そのままアネモネは強風を起こし、爆葉樹の葉を枝から切り離した。地上に葉が落ちたと同時に爆破してゆく。爆風で周辺に危害が出ないようにアネモネは上空に逃がした。
作戦は成功されたと誰もが思っていた。