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その世界には人間を襲う「スターマン」という生物が存在する。その生物を倒すために誕生したのが六武隊。
森の中、炎を腕に纏いスターマンを倒していくその少年もまた六武隊の隊士である。
「よーくやった、イバラ」
スターマンを次々と倒すイバラを褒めるのは隊長のシクラメン。無気力でだらしない姿をしているが実力はある。
「しかし……」
倒したスターマンは「枯草化」という枯れた植物のようにしぼんでいく。多くの研究者がいる中で未だスターマンの生態がわかっていないのはこの現象が原因である。そして、イバラは学者を目指していた。炎の能力を手にするまでは。
新たな任務が隊長シクラメンから告げられる。
「年々、スターマンの数が膨れ上がっており、アルプラントが危機的状況に陥っている。そこで七人衆が爆葉樹を利用してスターマンの一掃を命じてきた」
「ちょっと待ってください! 七人衆がなんで六武隊の活動に首突っ込むんですか? あの人たちは姫を守るのが仕事でしょ。それに爆葉樹って正気ですか、あの人たち」
一人の隊士は躍起になる。イバラもその隊士の発言に頷き、爆葉樹の危険性についてシクラメンに説明し始める。
「爆葉樹は葉っぱが爆弾のようなもので、地面に落ちるとともに爆発します。爆葉樹の葉は丈夫なのでよっぽどの強風が来ない限りは落葉しません。それほど被害は大きいということですよ」
「わかっている。話を最後まで聞け」
シクラメンは話を続ける。
「俺たち四武の任務はこの作戦に欠かせない人物を連れてくることだ」
「欠かせない人物とは?」
「イバラと同じホープの所持者。風を操る『アネモネ』だ」
頭を抱える隊士たち。イバラもその名を知っている。六武隊に所属する者なら誰しも聞いたことのある名前である。アルプラントの姫を守るために結成された七人衆には現在、席が一つ空いており、アネモネはその候補の一人に挙がっている。
「シクラメン隊長もご存じですよね? 奴の口癖」
シクラメンは目を瞑って困っている様子を隊士たちに見せる。イバラも人づてに彼の口癖を聞いたことがある。
「奴の口癖は『誰にも従わない。誰も従えない』ですよ。協力するとは思えないです。なので、時間の無駄では?」
しかし、これは七人衆からの命令である。命令だったとしても納得のできない隊士たち。
「他の隊もすでに作戦の実行に動いている。俺たちも動き始めるぞ」