三回転: パニックの向こう側は自分の意志とは関係なく吐き気がしてきます
『すッすまんゾナ~ 寝過ごしたぁ』
急にひょうきんな声が聞こえたと思ったら
時が止まった
今まで聞こえてた騒めきや せわしなく
動いていた人がピタッと目の前で動かなくなった
え 怖っ。
レオナルドもメイドさんも止まってる
今度は何ィ~
私の前にポンッと音と共に小さい生き物が現れた
『ワシは付喪神の ルカルカ
お前が愛用していたゲーム機に宿っていたのだがーーー
私はいきなり現れた変な生き物に驚き勢い良くソレをはたいた
『ピギャアアアアッ』
ソレはボールみたいに跳ねた
『命の恩人に対してなんて罰当たりナッ!!!』
「命の恩人?」
『うむ。もう一度やり直すゾ ゴッホン
ワシは付喪神の ルカルカ
お前が愛用していたゲーム機に宿っていたのだが お前の今わの際の執念が
爆発してワシにとんでもない神力を授けたノダ』
えっへんと偉そうにふんぞり返ってる
『そのおかげで付喪の御霊が具現化でき次元を操作できるほどになったノダ
礼もかねてお前の執念深い欲望をフルパワー全開で祈願成就してやったのだが、、、
フルパワーしすぎて疲れてしまってノ!つい先ほどまで眠りこけていたノダ
いやぁぁ 挨拶が遅れてすまなんだの!
まぁ とりあえず 敬え!讃えよ!』
「待って 待って!じゃぁ私は アンタのせいでこんな大変な事になってるって事?」
『アンタとは無礼な!お前が常日頃から「二次元いきてぇ!」とか
「このキャラになりたい!!」とか言っておったのをワシが叶えてやったのに!!
なんという恩知らずナッ!!』
効果音を付けるならプンプンという感じでルカルカが
そっぽを向いた
私はちっさい その生き物を揉みくちゃにしてやった
「違うううううう
違うううううううううううう!!!
私がなりたかったのはヒロイン!!推しメンになってどないすんじゃああ」
『にょみゃぶにぶににょきょきょッ』
揉みくちゃにしているせいで何言ってるか分からない
「私を元に戻せぇぇぇぇ!!!」
私も必至にルカルカに詰め寄った
ルカルカが私から逃げる事に成功したが思いっきり揉みくちゃに
したせいか頬っぺたが、かなりビロンビロンになっていた
『なっ何で怒る!?お前の死に方があまりにも
哀れでワシ頑張ったノニ!!』
クリッとした眼をウルウルさせながらルカルカがのびた
頬っぺたをさすってる
「私、ヒロインのカナリアになりたかったんですけども!!!!
転生させるキャラ間違えてるんだよ!!!」
『え? ワシ 間違えた?ありゃりゃ~ワシてっきり
いつもそのキャラに悶えてたから折角だし一番好きなキャラに転生
させてやろうかナト、、、』
「違うううううううううううう!!!」
私は、あまりにも残念展開に膝から崩れ落ちた
「うぅ、、、まさか性転換するなんて、、、
私、カナリアになりたかったよぅ、、、」
折角、折角、、、大好きなゲームの世界に転生できたのにぃ
アル様に口説かれたい!!!
「こんな事になるなんて、、、ねぇ私を元の世界に
戻してようぅぅぅぅ」
『、、、元の世界だとお前はすでに死んでおるゾ?』
死んでたああああああああ
そういえば私、階段から落ちたんだったぁぁ
やっぱり あのまま死んじゃったんだぁぁ
女子高生で事故死しちゃって
まさかの転生を経験しちゃって
目の前には妖怪がいて、、、
そして性転換。
うわあああああああああああああああ!!!
もう無理ィ!キャパオーバーだよう
もうさっきから ずっとパニックだけど
もっとパニックになっていた私の後ろからルカルカの甲高い悲鳴が
聞こえた
『ピギャァァアアァ!!!』
ゆらりと禍々しいダークなオーラを放出させ
ルカルカを鷲掴みにして握り潰しているのは、、、
ヒロインのカナリアだった。