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「………まさか、お前から話しかけてくるなんて思わなかった。」


「そうね、あまりに貴方達がうるさかったから、注意しようと思って」


「それは悪かったな、こんな所で会うなんて奇遇だから」


「私は、ただの気まぐれでこの喫茶店に入ったから」


 気まぐれねぇ、まぁ、こいつは静かに本を読めればどこでもいいんだろうな、こいつ、人の多そうな所に来ないイメージだから、そう考えればここは夕方は人が少ないから、来てもおかしくはない、


「隣の彼女は、部員かしら?」


「あっ、はい、初めまして玉木白です。」


「初めまして、椎名巴よ」


 こいつの方から挨拶するなんて珍しい、と言うより、こいつが人に話しかけるのも珍しい、人には興味が無いと思ってた、某有名アニメみたいに『ただの人間には興味ありません』みたいな感じで、常に孤高の存在のようなイメージだったから、


「お前が挨拶するのも珍しいな」


「あら、いけない?挨拶をするには貴方の許可がいるのかしら?」


 こいつ、口を開けば相当めんどくさい性格してるな、

 なんだよ僕の許可って、


「まぁ、いいわ、邪魔して悪かったわね」


「いえ、邪魔だなんてそんな、騒いでいた私たちが悪いんですから」


「それじゃ、また学校でね、玉木さん」


「はい、椎名さん」


 軽く別れの挨拶をして、椎名はレジに向かっていった、


 ………あれ?僕は?


 僕のことは無視ですか、何?そんなに俺の事気に食わなかったか?


「……先輩やっぱり何かしたんじゃないですか?」


「…………かもしれないな」


 それからしばらくして、僕たちはコーヒーを飲み終え喫茶店を出て家に帰った。

 



 --柊家-


「ただいま」


 僕は姉と二人暮しの家に帰り、リビングに向かい置き手紙をみた、どうやら今日は、姉が帰って来ないようだ、


『我が愛しの弟へ、

今日は用事があるのでお家に帰れません。

本当にごめんね、

ここにお金を置いとくのでこれで好きな物を食べてね、


P.S.お土産買って帰るから期待しててね』


手紙を読み終え手元にあったお金が入っているであろう封筒の中身を見た、中には3万ほど入っていた、


姉ちゃん、こんなにお金いらないよ……


 父と母は、僕が小学生の頃離婚して、その時、何故か高校生だった姉が僕を引き取った、なので僕は、姉と二人暮しをしている、まぁ、僕は両親から嫌われているから、誰も引き取ろうとしなかった、何せ僕には『生まれつき変わった体質』があるから、両親は、それを気味悪がっていた、姉は、それを知っていて僕を引き取ってくれた、姉が僕を引き取ると言った時、両親は、「毎月仕送りを送ってやるからな」と笑顔で言っていた、姉はその時、

「これからはお姉ちゃんが泰斗を育てるからね」と僕に言った、それから数年後、姉は、高校を卒業して、大学に進学せず、就職を選び、姉が就職をしてから、ぱったりと両親からの仕送りが途絶えた、疑問に思った僕は、姉に聞くと、


 両親が死んだと告げられた、


 姉は「気にしなくてもいい、全てお姉ちゃんに任せなさい」と微笑みながら言ってくれた、僕は両親が死んだ事を悲しまなかった僕を嫌った、姉ちゃんがいる姉ちゃんだけが僕を支えてくれる等と考えるボクを嫌った、なにせボクは、両親の死を喜んでいたのだから…………



 --自室-


 僕は、部屋に入り、鏡を見ながら今日のことを話す、部活の事、椎名巴が話しかけて来たことを、その後、リビングに行き姉が置き手紙と一緒に置いていくお金を持って、コンビニにむかった。



 --コンビニ-


 コンビニに入り弁当を選んでいると、またまた彼女を見かけた、


「よう、また会ったな椎名」


「……あら、偶然ね、柊くん、それとも私をストーカーしてたの?」


「そんなわけあるか!ボクは、弁当を買いに来ただけだ」


「………へぇ、そうなの、てっきり、別れの挨拶がなくて寂しくて着いて来たのかと思ったわ」


 ボクをなんだと思ってんだ、こいつは、確かにあの時ちょっと寂しかったけど、


「…それよりお前は、何しに来たんだ」


「私?私は、飲み物を買いに来ただけよ」


 そう言う彼女のカゴを見ると大量のイチゴサイダーが入っていた、軽く20本は入ってる、どんだけ好きなんだよイチゴサイダー


「………私これ好きなの、文句ある?」


「何も言ってねぇだろ!!」


 俺が疑問に思ったことを先に答えやがった、こいつ人の心でも覗いてんのか?


「………それより柊くん、貴方に聞きたいことがあるの」


 俺に?


「すぐそこの公園で話さない?」


「別にいいけど」


 僕達は、レジで会計を済まし、公園に移動した、俺に話ってなんだろう?

 



 --公園-



 公園に着いて椎名は先程20本買ったイチゴサイダーの1本を、開け口にし、溜息をしながら呟いた、


「貴方どうして私を誘ったの?」


「誘ったって部活にか?」


「そうよ、それ以外ないでしょ?」


「別に、ただ本が好きそうだなって思っただけだよ」


「……どうして私が本が好きだって思ったの?」


「お前授業中も本読んでたよな、だからだよ、他に理由なんて無い」


「あら、やけに私の事見てるのね、もしかして私に気があるの?」


 どんだけ自意識過剰なんだよ、別に下心なんてねぇよ、たまたまお前が本読んでたの見ただけだってのに、


「それよりお前は何であの時蹴ったんだよ」


「知らない人に話しかけられたら蹴りなさいって教わったから」


「蹴りなさい!!どんだけ暴力的なんだ、てか知らない人ってクラスメイトだろ!!」


「まぁ、嘘なんだけどね」


「嘘かよ!!」


 こいつ真顔でとんでもないこと言いやがる。


「……貴方に聞きたいこともう1つあるの」


「何だよ今度は?」


 その瞬間、彼女は微笑みながら言った



「…………貴方は何?」






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