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続・夢の中だけ勇者さま?  作者: 菅原よしひろう
夢から夢へ
28/34

僕は夢を見た(84) 行動と代償

僕は夢を見た。


僕の顔を覗き込むように見る最果ての巫女。

周囲の者からは「姫」と呼ばれている。

自身で「現世(うつしよ)の巫女の姉」と言っていた。

この方はどのような人物なのだろうか。

この世界で初めて見る僕の事を不審に感じず集落の内へと導いてくれた存在。

僕を優しく迎え入れ、接してくれた存在。

その「姫」が真剣な眼差しで僕にゆっくりとした口調で語りかけてきた。


最果ての巫女:「そなた、何故この世界に入りこんだのか知るまい?」

最果ての巫女:「そもそもこの世界がどのような場所かも分かるまい?」

最果ての巫女:「このままここに居るとどうなるのかも理解しておるまい?」

よしひろう:「……はい。」


僕の返事にうんうんと頷く最果ての巫女。


最果ての巫女:「先ほど行った川、そなたにはどのように見えた?」

よしひろう:「はい。対岸が見えない程の広い川でした。」

最果ての巫女:「そうか。…そうか。」


胸に手を当てホッとした表情になる巫女。

そしてジト目で一言。


最果ての巫女:「それにしても…。お主、何をしでかした?」

よしひろう:「はい?」


思いもよらぬ言葉に喉を詰まらせる僕。

何かしでかしたっけ?

全く記憶に無いんだが…

料指でこめかみをグリグリさせながら記憶を辿っていく。

う~ん。わからん。

巫女は僕から何かを辿るような仕草をした。

何かを辿り、外へと向かう巫女の視線。

そして、その先には先ほど僕が居たであろう河原へと続く。


最果ての巫女:「(えにし)は切れておらぬようじゃな。」

最果ての巫女:「全く厄介な事じゃ。」


ボソリと呟く巫女。

巫女は僕の方へ向きなおると告げた。


最果ての巫女:「お主が河原で出会った者。あれは死霊じゃ。」

最果ての巫女:「あの死霊との(えにし)を結ぶ糸がお主の体中にグルグルと巻き付いておってな。」

最果ての巫女:「私が断ち切っても構わんのだが…」

最果ての巫女:「本人が(えにし)の由来を知らんのではな。勝手に断ち切る訳にもいくまい?」


だんだんと説教じみた口調になる巫女。

正座して頭を低くする僕。

僕の目線は30cm先の畳の網目に。


最果ての巫女:「現世(うつしよ)で何をしでかした?」

最果ての巫女:「まさか人を殺めたのか!」


フルフルと首を横に振る僕。


最果ての巫女:「ふぅ。そうか、それならば良い。」

最果ての巫女:「もし人を殺めたなら、即刻あの死霊にお前を突き出すところじゃぞ。」


巫女が話し終わった瞬間、ドクンと僕の心臓が高鳴った。

激しい頭痛と胸の痛み。

体中から汗が噴き出してくる。

あまりの痛さに心臓辺りを手で押さえつける。

その瞬間、ある光景が脳裏を過った。

そう、夜だ。あの夜だ。

走る車。

暗闇の中、僕は車の助手席に座っている。

右を見ると楽しそうに僕に話しかける友人の姿。

運転しているのは…大林君…かなり長い付き合いの間柄。


大林:「ちょっと行ってみたい所があるんだけど。」

よしひろう:「ほお?どこ?」

大林:「例の赤い(ニヤリ)

よしひろう:「霊の赤い橋!!マ・ジ・か!?」

大林:「マジマジっす。本当に出るのか行ってみませんか?」

よしひろう:「どうなっても知らんからな、俺は(笑)」

大林:「うぃっす!じゃ、ほんとに行くよ?」

よしひろう:「おうともー!!」


車で走ること1時間。

周囲には住宅も無く、暗闇に囲まれた山の奥を僕と友人の乗る車だけが前方を明るく照らしていた。


よしひろう:「なんかゾクゾクしてこん?」

大林:「来る来る。そっしって来る~♪、そっと来る~♪きっと来る~♪」


呑気に歌う友人の明るいノリに勇気づけられて、恐怖心は吹き飛んだ。

真っ暗な中を走っていると、前方に灯りが見えてきた。


よしひろう:「お?」

大林:「アレっすか?」

よしひろう:「たぶんアレや。」

大林:「じゃ、ちょっとスピードを落とすわ。」


スピードを落とし、人が歩くくらいの速度で走る車。

だんだんと灯りが近づいて来る。

灯りは橋の側面に付く街灯だった。

橋脚の赤い緩くカーブした橋がはっきりと見えてきた。

そこは地元で有名な心霊スポット。

多くの自殺者を生み出してきた怨念の橋。らしい。

「らしい。」というのは、自殺がニュースになる事が無いからで。

僕自身、「そんな訳ないだろう。」と思っていた。

こんなに街から離れた場所まで、わざわざ死にに行くか?と思っていた。

いよいよ橋を渡り始める車。

どうってことない。普段のドライブと一緒だった。

橋には自殺防止のためのネズミ返しのような柵が付けられていて、容易に登れなくなっている。

ただ、一つ気になったのが、橋の入り口付近に花束が備えてあった事だ。

枯れて朽ちつつある花束が1つ、2つ、3つ…

正直、嫌な予感しかしない。

でも、俺、選ばれし勇者だから!!と心の中で叫びつつ、ビビッていた。

橋の中程まで来たが特に何かが起きそうな気配はない。


大林:「何も起きんな。」


柵の向こう側は深い深い漆黒の世界が広がっている。

助手席の窓から横ばかり眺めていたが、右目の右端、つまり車の前方にチラチラと何かが動くのを感じた。


よしひろう:「は?」


額に脂汗が滲む。

少しずつ顔を前へと向ける。

眼差しはそのチラチラと動く何ものかに釘付け状態になり、自ずと意識もソレに集中する。

何が動いているのか……

よく見ると白い指であることが理解できた。

少しづつだが、確実にその指らしきものが車のフロントにしがみつきつつよじ登ってきていた。

心臓の鼓動が激しくなってくる。

ボンネット上では指から腕の辺りまでがせせり出てくる。

腕の関節ぐらいまでが現れた。

その腕の向こう側には乱れ髪の女らしき頭が徐々に徐々にゆっくりとせり上がってくる。


よしひろう:「(ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ)」


これは見てはならない物だと直観で感じた。

なんとか視線を正面から外そうとするが、何故か固定されたように頭も目も動かない。

恐怖で涙ぐんでくる。

目の前で起きている怪奇現象はどうやら大林には見えていないようだ。

何やら楽し気に話しかけてくるが、僕の耳には入らない。


よしひろう:「(クソッ!)」


なんとか視線と頭を動かそうと意識を集中させる。


よしひろう:「(動け!動け!動け!)」


動いた!!

なんとか足元に視線と頭を動かした。

が、そこには青白い顔で血管の赤と青の色が浮き出たおぞましい女の顔が有った。

死んだ魚のような濁った眼。

その女は僕と目を合わすなり、ニターっと笑う。

恐怖のあまり、ヒュッと息を吸い込んで意識が遠のいていく僕。

叫びはしなかった。

声を発する事さえできなかった。

そしてブラックアウト。

僕の記憶はここで止まっている。

その後どうなったのか、皆目見当もつかない。

次に記憶があるのがこの世界に現界したという事実。


よしひろう:「(こんな事を巫女に話したら、信じてもらえるだろうか?)」

よしひろう:「(この体験そのものが夢かもしれない。)」


最果ての巫女が怪訝な顔をしながら問いかけてくる。


最果ての巫女:「どうしたんじゃ?顔色が悪いぞ?」


しばらく沈黙が流れた。


よしひろう:「…」

最果ての巫女:「…」

よしひろう:「…」

最果ての巫女:「何故何も言わぬのじゃ?」

よしひろう:「あの…」

最果ての巫女:「ん?」

よしひろう:「現世(うつしよ)では何もしていません。(棒)」


最果ての巫女が肩をガックリと落とし深い深いため息をつく。


最果ての巫女:「何も言いたくないと、そういう事か。」

最果ての巫女:「今のお主の挙動で、「何かしでかした」というのがバレバレじゃぞ。」

最果ての巫女:「というか、お主の今思い出した記憶はコレで覗かせてもろうたわ。」


と巫女は傍らに置かれた鏡を指さす。


最果ての巫女:「念じれば、人の考えている事、想像している事を映し出す神代の鏡。」

最果ての巫女:「お主が今思い出した記憶、全部見せてもろうたわ。」

最果ての巫女:「隠し事はできぬと知れ?(笑)」

よしひろう:「う……ズルイです!」

最果ての巫女:「アホか、お主は。」


あきれ顔をしたかと思えば、次に腕を組んで考え込む巫女。


最果ての巫女:「とんだ厄介ごとに首を突っ込んだものじゃ。」


傍らに置かれた姫箪笥を開き、折り紙を取り出した。

裏側の白いところに筆で何やら書き始める。

書き終えると綺麗に折りたたむ…というより何かを折り始めた。

みるみる内に形が表れてくる。

それは「ツバメ」だった。

完成した折り紙のツバメに巫女が印を結びながら息を吹きかける。

ただの折り紙だったツバメが動き出す。

羽ばたいて巫女の肩に留まると頬ずりをした。

巫女がツバメに指示を下す。


最果ての巫女:「「天」の所に行ってきてくれ。」


そう言うと障子を開け、指に留まったツバメを掲げた。


ツバメは「ジー」と一声鳴くと飛んで行った。


最果ての巫女:「頼んだぞ…」


障子を閉め、自らの居場所へと戻ると、重い口調で話し始めた。


最果ての巫女:「よしひろう。」

よしひろう:「はい。」

最果ての巫女;「心して聞け。」

よしひろう:「はい。」

最果ての巫女:「そなたには現世(うつしよ)で苦悩し、自らの命を絶った怨念とも言える死霊が憑りついている。」

最果ての巫女:「この死霊に呼ばれて幾人もの人が自死、もしくは呪い殺されたであろうな…」

よしひろう:「…」

最果ての巫女:「そなたもこのままではいずれ自死、呪殺のいずれかの運命を辿るであろう。」

よしひろう;「はい…」

最果ての巫女:「そなたと結ばれた死霊との(えにし)を今ここでワシが絶ったとしてもな…」

最果ての巫女:「呪いを解呪できるか否か、そもそも解呪が間に合うのか、それが分からぬ。」

最果ての巫女:「なので、ツバメでワシの部下に指図した。」

よしひろう:「…」

最果ての巫女:「お主の現世(うつしよ)での実態に憑りついた死霊を排除できれば、呪いも解呪されるであろう。」

最果ての巫女:「ここからは時間との勝負じゃ。」

最果ての巫女:「川の向こう岸が近づけば近づくほど、お主の寿命が迫っている証じゃからな。」

よしひろう:「はい。」

最果ての巫女:「うかつに屋敷の外へは出ぬように。」

最果ての巫女:「万が一が有ってはならぬゆえ、警護を付ける。」

よしひろう:「はい。」

最果ての巫女:「「入道」頼めるか?」

入道:「御意!」

よしひろう:「え?入道さんですか?」

最果ての巫女:「不服か?軟派に見えはするが、頼もしいヤツじゃぞ。」

最果ての巫女:「大丈夫、たぶん何とかなる。」


確かに一度助けてもらった実績はある。

ただ、その助け方が回し蹴り一発というのが何やら不安を誘うというか…

痛いのは嫌だな。


最果ての巫女:「それよりもお主!ちっとは反省したか!?」

最果ての巫女:「アホウにも程がある!迂闊に肝試しなどしよってからに!!(ぷんすか!!)」


ここから僕の三食昼寝付きの籠城戦が始まるのであった?


一方、現世(うつしよ)では…


天:「よしひろうとやらの居場所は分かったか?」

鼻:「はい。こちらから強い臭いがしておりますな。」


そういうと大きな病院の一室を指さす。

カーテンの隙間から人がベッドに横たわっているのが見えた。


耳:「何やら声が聞こえますな。」


耳以外の者が耳に手で触れる。

耳を通して他の者も話を聞くことができるのだ。


看護師:「先生、この患者、もう2日も意識が戻っていません。」

医師:「一見、健康体なんだけどねぇ。」

医師:「脳に異常があるとは思えないし。」

医師:「引き続き点滴で水分と栄養を与えるしかないな。」

看護師:「はい。」


天:「ふむふむ。」

天:「で、皆は気づいておるか?この腐った卵のような臭い。」

鼻:「もちろんですとも。鼻だけに「鼻が曲がる~♪」」


と、バナナのような格好をする鼻。


「口」がプッっと笑いを堪えた。


目:「この臭いの主はアレですかな?」


目の指さした場所、ベッドの傍らに立つ灰色の肌をした不気味な女が立っていた。


天:「アレは厄介じゃぞ。我らとて迂闊に手は出せぬ。」

目:「はい。現世と常世との盟約がありますから。」

天:「それもあるが、アレは強力な怨念の塊、何百年にわたり積もりに積もった邪念そのもの。」

天:「「触らぬ神に祟り無し」だ。くわばらくわばら。」


背筋を震わせる天。

だが、天は理解していた。

このまま放置すると、よしひろうの命は長くはないと。

そして思った。なんとか助ける方法はないものかと。


天:「今朝出会った黒い武者姿の娘なら、なんとかならぬかの?」

目:「あの娘、現世(うつしよ)の巫女により選定された者なのは確実。」

口:「現世(うつしよ)に現生できるほどの力の持ち主ならば。」

鼻:「あの怪異に立ち向かえるかもしれませんな。」

耳:「ただ、人の話を聞こうともしないアホなれば。」


全員:「はぁ~…(ため息)」


天:「仕方が無い。もう一度話を持ちかけてみるか。」


天が嫌そうに提案した。


他の一同:「全て「天」様にお任せします。」


横一列に並び、「どうぞ、どうぞ」と手を斜めに差し出す。


天:「お前らってヤツは…ほんと上司思いだよ…ワシは嬉しい!」


時間が過ぎるのは早いもので。

あっという間に日が暮れて、闇が街を覆う。


天:「何の策も出せぬとは!!もう夜になってしもうたぞ!!」

目:「仕方がございません。相手は話が通じぬ相手。」

口:「動けぬほどにボコってはいかがでしょうか?」

天:「馬鹿か!動けんくしたら、誰があの怨霊とやり合うんじゃ!!」

耳:「では、皆で取り押さえまするか?」

鼻:「だが相手の間合いに入り込むと、瞬く間に切り殺されますぞ?」

口:「だから動けなくして…」


話しが堂々巡りしていた。

そうこうしていると、夜も更けてきて、家々の灯りも少なくなってきた。

深夜になりつつある。

暗闇に一つの灯りが生まれた。

ボォーっとした淡く黄色い光。

それをいち早く見つけた「目」が呟いた。


目:「おいでなすった。」


全員に緊張が走る。


天:「どこだ?」


「目」が無言で指さしたその先に光がひとつ。

その光も徐々に薄れて消えていく。

現界が完了したのだ。

黒き鎧が闇へと溶け込んで、居場所が分かり辛くなるが、「目」にはハッキリと見えるらしくその場所から視線を外さない。

「天」の手が「目」に触れ、「目」の見る光景を共有する。


天:「正にあやつだ。」

天:「向こうはまだ我らの居場所に気づいていないようだな…」

目:「はい。そのようで。」

天:「お前ら、気取られるなよ。」

一同:「はっ」


黒き鎧の女はキョロキョロと周囲を見渡した後、「天」達が潜む病院に向かってゆっくりと飛行して来た。


天:「何故にこちらへ来るのだ!?」


驚きを隠せない「天」と一同。


目:「隠れましょう!」

鼻:「散れ、散れ」


各々、近くの茂みや小屋の中へと姿を隠す。

しばらくすると、黒き鎧の女は先程まで「天」達のいた場所までやってきて、病院の一室をじっと見つめた。

その眼差しは少し悲しげで、思い詰めたような感じだった。


黒き鎧の女:「よしひろう様…」


天:「(あの者、よしひろうの事を知っているのか!?)」


驚いた表情の「天」。

黒き鎧の女が無言で刀をさらりと抜いた。


天:「(あやつ、何をする気だ!?)」


左腕で刀身を支え、刀を持つ右腕を顔の右側まで持って行き、突撃するように身構えた。

次の瞬間。


黒き鎧の女:「キェーーー!!」


よしひろうの居る部屋へ向けて一直線に突っ込む。


「バチン!!」という音が鳴り、切っ先からドス黒い血の色の文様が浮かび上がる。

その文様、空間が突撃の威力で少し凹んではいるものの、威力が足りないせいか突破できずに拮抗していた。


黒き鎧の女:「くっ!!うぉぉぉぉ!!」


少しでも前進しようと力を込めるが、何かが足りていないのか、それ以上は進めない。

徐々に押し戻される女。


天:「(結界!?あの怨霊、結界を張っているのか!?)」


黒き鎧の女は結界に大きく押し戻されて体勢を崩し後方へと吹き飛ぶ。


黒き鎧の女:「きゃっ」


女は宙をクルクルと回転する体をなんとか制御した。

再び刀を構える黒き鎧。

その表情には悔しさと焦りが表れている。


黒き鎧の女:「(私の世界ではこの位の結界を破る事など造作もないのに!)」


黒き鎧の女が嗚咽交じりに叫ぶ。


黒き鎧の女:「なぜ!なぜ出来ぬ!!」

黒き鎧の女:「(私は、この方を、この方だけは救いたい!この命を懸けてでも!!!)」

黒き鎧の女:「キェーーー!!」


そして結界を破るべく突進をする。

何度も、何度も。

その姿をただただ見守る「天」達。


天:「…」


何度目の突進の後だろうか。黒き鎧の女が前屈みになり息を整えていた。


天:「無茶をする女だ。見ておれぬわ…」

耳:「どうなさるおつもりで?」

口:「我らが手出し、禁じられておりますれば。」

天:「重々承知!」

天:「責任はワシ一人が被る。故にお主らも手を貸せ。」

目:「何を水臭い事を仰るのかと思えば(笑)」

天:「まずはあやつの動きを止めるぞ。全力でしがみ付け!」

一同:「承知!」


一同が一斉に黒き鎧の女に飛び掛かった。


黒き鎧の女:「な!?」


「天」は女の背中を覆い被さるように抱きついた。

その他一同も女の四肢に抱き着き、動きを完全に封じた。


黒き鎧の女:「貴様ら!!やはり貴様らも仲間だったか!!」

天:「聞け!」

黒き鎧の女:「やはりあの時に仕留めておくべきだった!!」

天:「聞け!!」


黒き鎧の女の内から、凄まじい力が沸き上がって来るのを「天」は感じ取っていた。


目:「(おさ)!これは不味い展開ですぞ!!」

天:「くっ!女!あの者を助けたくはないのか!!」

黒き鎧の女:「お前ら化け物共の言うことが信じられるか!!」

天:「我らもあの者を助けに来たのだぞ!!」

黒き鎧の女:「信じられるかーーーーーー!!!!」


黒き鎧の女の内からの力によって引き?がされそうになる「天」達。


鼻:「もう保てませぬぞ!(おさ)!!」

天:「(いかずち)!!」


バリバリという音とともに黒き鎧の女、そして「天」達一同に雷が落ちた。

黒き鎧の女は「あ、あぁ、ぁぁ」と小さく呟きながらその場に倒れ込む。

「天」以外の一同もカエルがひっくり返ったような格好でその場に倒れた。

体からは何やら白い煙がたっている。


目:「(おさ)…」

鼻:「この扱いは…」

口:「あまりにも…」

耳:「酷い…」


「天」は倒れた一同に向けて手を合わせて一言。


天:「すまぬ。」

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