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続・夢の中だけ勇者さま?  作者: 菅原よしひろう
再始動
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僕は夢を見た(58) 再始動

豪華なベッドで目覚める僕。

エリーの計らいで城の客人用の寝室に泊めてもらったのだった。

ベッドの居心地が良すぎて再び微睡む。

すると部屋の扉をノックする音が聞こえてきた。


よしひろう:「はーい。」

召し使い:「朝食の準備ができました。」

召し使い:「姫様がご一緒にと仰っています。」

よしひろう:「あの、お願いがあるんですが。」

召し使い:「何でございましょうか?」

よしひろう:「服がボロボロなんで、何か着替えを用意してもらえませんか?」

召し使い:「かしこまりました。すぐにお持ちします。」


待つこと数分。

再びノックの音が。


よしひろう:「はい。どうぞ。」

召し使い:「着替えをお持ちしました。」

よしひろう:「ありがとう。着替えるのでちょっと待っててもらえますか?」


そう言っていそいそと着替え始める僕。

召し使いは気を使って後ろ向きになる。

ササッと着替え終わる。

サイズはピッタリだった。

目視でこんなピッタリな着替えを用意できるとは…この召し使いはただ者じゃないな!

等と考えていると、召し使いが「こちらへどうぞ」という仕草をして僕の行く方向を指し示してくれる。

促されるまま召し使いに付いて行く。

食堂か何処かへ連れていかれるのかと思いきや、着いた先は意外にもエリーの部屋だった。


エリー:「おはよう、ヒロ。」

エルマ:「おはよう。似合ってるわよ、その服(笑)」

よしひろう:「似合ってると言いながら笑うのはヤメロ(苦笑)」

エリー:「別に変ではないと思うが?」

エルマ:「首のフリフリがヒロに似合わなくて。つい笑ってしまったの。ごめんね(笑)」

エリー:「あー。言われてみれば…」


召し使いに促され席に着く僕。


よしひろう:「エリー、召し使いに頼んで替えの服を用意してもらいました。」

よしひろう:「ありがとうございます。」

エリー:「そうじゃったか。かまわん。かまわん。」

エリー:「さぁ、揃ったところで朝食にしましょう。」


そう言ってパンを食べ始めるエリー。

僕もパンを手に取り、食べ始めようとした時に、僕の席の斜め右の席に知らない女性が座っている事に気がついた。

年の頃はエリーより少し上といったところか。

薄い紫色がかった長い髪を背中の辺りでリボンで束ねている。

瞳の色はエリーと同じ透き通るような青色。

身に纏う薄い青色のドレスがよく似合っている。

そして一番印象的だったのはその胸!

エリーやエルマには無いその大きさ。

僕の目がそこに釘付けになる。

Cか!?Dか!?気になる気になる。


よしひろう:「こ、こちらの方は?」

エリー:「おぉ!そうか!ヒロは初めて会うのじゃな。」

エリー:「こちらは私の姉様「エカテリーナ」じゃ。」

エカテリーナ:「初めまして。エリーの姉のエカテリーナです。」

エカテリーナ:「あなたがエリーが話していたヒロね?」

エカテリーナ:「私の事はエナと呼んでもらって構いませんわ。私もあなたの事をヒロと呼ばせてもらっていいかしら?。」

よしひろう:「はい!どうぞお好きなようにお呼びください!!」

エナ:「面白い方(笑)」

エナ:「エリーがヒロの話ばかりするものだから気になっていたの。」

エリー:「エナ姉様!」


顔を真っ赤にして話を遮ろうとするエリー。


エナ:「でも、直接会ってみて安心したわ。とても優しそうだし誠実そうに見えるもの。」


エルマが無言で頷き、そして口を開いた。


エルマ:「エナは私と同い年なの。」

よしひろう:「へぇー…ってエルマっていくつだっけ?」

エルマ:「15よ。」

よしひろう:「同い年なのにえらい違いだな…」


見比べながら思わず呟いてしまった。


エルマ:「貴様!今、どこを見て言ってた!?」


今度はエルマが顔を真っ赤にして僕を怒鳴り上げる。


エナ:「アハハハッ」


エルマとの会話が可笑しかったのか豪快に笑うエナ。

朝食が終わり、食後のティータイムになっった。


エナ:「エリー?」

エリー:「何?エナ姉様。」

エナ:「ヒロを貸してもらえるかしら?」

エリー:「いいですけど…?」

よしひろう:「?」


エナに手を引かれ、エリーの部屋のテラスに出る僕。


エナ:「ヒロ、私を空に連れて行って。」


エナ付きのメイドが慌てて止めに入ろうとする。


メイド:「エカテリーナ様!いけ…」


メイドが次の言葉を発っしようとしたのをエナが人差し指をメイドの口に当てて遮った。

一礼し、それ以上は口を挟まないメイド。


エナ:「エリーから空を飛ぶ話を聞いて、私も同じ体験がしたいってずっと思ってたの。」

エナ:「ヒロ、お願い。」

よしひろう:「はい。」


エナに両手を広げさせ、後ろから腕で抱き寄せる。

右手が胸の上に触れ、左手が胸の下辺りに来る感じで。


よしひろう:「行きますよ?」

エナ:「いいわよ!」

よしひろう:「飛翔!」


テラスから飛翔する僕とエナ。

アッという間にエナ付きのメイドの姿が小さくなっていく。

城の頂上の尖塔の周囲を飛行する。


エナ:「エリーの言ってた通りね!」

よしひろう:「エリーは何て言ってました?」

エナ:「最高って言ってたわ!」

エナ:「もっと大きく回って!」

よしひろう:「了解っす。」


王都の外周に沿って飛行する僕とエナ。

眼下では人が豆粒のように小さく見える。

午前の涼しい風がとても心地よい。

右腕からはエナの心臓の鼓動が伝わってくる。

30分くらいで街を一周し終わり、エリーの部屋のテラスに降り立つ僕とエナ。


エナ:「楽しかったわ!ありがとう。」

よしひろう:「飛びたくなったらいつでも仰ってください。」

エナ:「ええ!是非!」


エナは僕の腕を下に引っ張り、顔を僕の耳元に近づけて囁いた。


エナ:「私の胸をわざと触ったでしょ?エッチね。」

よしひろう:「(ギクリ)」


僕の顔が赤くなるのが自身でも分かった。


エナ:「内緒にしといてあげるわ(笑)」


舌をちょっぴり出して悪戯っ子のように微笑むエナ。

僕とエナはテラスから屋内に戻る。


エリー:「おお!帰って来たな。」

エリー:「ヒロ、顔が赤いがどうしたのじゃ?」

よしひろう:「何でもありません!」


直立不動でそう答える僕。


エリー:「で、姉様、どうじゃった?」

エナ:「楽しかったわ!すっごく!!」

エリー:「でしょ?でしょ?エリーの言った通りだったでしょ?」


そう言うとハイタッチをする姉妹。


エルマ:「空から夕日を見るとすごく綺麗なのよね。」

エリー:「そう。夕焼け空はまた格別なのじゃ。」

エナ:「じゃ、次は夕焼け空を飛びたいわね。」

エリー:「私も飛びたいのう…」

エリー付きのメイド:「勉強のお時間ですよ。」

エリー:「うー…」


残念そうなエリー。


エリー:「また今度なのじゃ。」

よしひろう:「いつでもお呼びください。」

エリー:「うむ。」


エナ付きのメイド:「エカテリーナ様も勉強のお時間ですよ?」


エナ:「はーい。」


エリーの部屋を後にするエリーとエナ。

僕とエルマも部屋を出た。

荷物を持ち、城を出る僕とエルマと子猫。


エルマ:「この子の事は心配しないで。」

よしひろう:「ああ、頼んだよ。」

エルマ:「それじゃあ私は実家に戻るわ。」

よしひろう:「僕は防具屋に行って装備を整えてからエアリスに戻るよ。」

よしひろう:「何かあったら手紙でも寄越してくれ。」

よしひろう:「エアリスの騎士団宛に出せば俺に届くからさ。」


エルマが実家のある場所を記した地図を渡してきた。


エルマ:「何かあったら訪ねて来てね。」

よしひろう:「うん、分かった。それじゃ、またな。」


手を振って別れる二人。

僕は一路防具屋を目指した。

防具屋に入ると店の主人が挨拶をしてきた。


防具屋の主:「いらしゃい。」

防具屋の主:「お?前に籠手を買ってくれた兄ちゃんじゃねえか?どうした?」

よしひろう:「覚えていてくれたんですね。」


僕は防具屋の主にボロボロになった装備を見せた。


防具屋の主:「こりゃまたひでえな。」

防具屋の主:「修理か?」

よしひろう:「いや、買い換えたいと思ってるんですよ。似たような装備は無いですか?」

防具屋の主:「あるよ。ちょっと待ってな。」


そう言って店の奥から取り出して来たのは、今までのより金の縁取りやモールドが多い厳つい忍者スーツだった。


防具屋の主:「最新のレンジャースーツだ。」

防具屋の主:「これなら今のより数段防御力が増すぞ。俺が保証する。」

よしひろう:「これに合う籠手と胴を守るプレートと脛当て、ブーツも欲しいですね。」


防具屋の主が漆黒の胸当て、脛当てとブーツを奥の倉庫から取り出して来た。


よしひろう:「これにも金のモールドを付けて欲しいんだけど、出来ます?」

防具屋の主:「2、3時間もあればできるよ」

防具屋の主:「っていうか、あんた金の指輪持ちか!?」


照れながら頷く僕。


防具屋の主:「金の指輪持ちなんて初めて見たよ。こりゃたまげた。」

よしひろう:「で、全部でいくらになります?」

防具屋の主:「500万Gって言いたいところだが、その指輪に免じて480万Gに負けといてやるよ。」

防具屋の主:「その代わり今後ともご贔屓に頼むよ。」

よしひろう:「はい。ありがとうござます。」

よしひろう:「(そうは言っても高い買い物だ(苦笑))」


さっそく、装備の丈を僕に合わせ始める防具屋の主。

身長や肩幅、股下を計り終えると職人達が手直しを始めた。

無地だった胸当てや籠手、脛当てに美しい金の装飾が施されていく。

こういう作業は見ていて飽きない。

あっという間に時間が過ぎ、装備が完成した。

試着をしてみる。

前の装備より可動範囲が広く動きやすい。


よしひろう:「これはいいですね!」

防具屋の主:「価格相応ってヤツだ(笑)」

防具屋の主:「これはオマケで付けてやるよ。」


そう言って持ってきたのは全身を覆い隠せる黒いマントだった。


よしひろう:「いいんですか?」

防具屋の主:「いいってことよ!よく似合ってる!」

よしひろう:「ありがとう。また来ます。」


そう言って店を出る。

これでエアリスに戻る準備が整った。


よしひろう:「飛翔!」


大空へ舞い上がりエアリスに向けて飛行を開始する。

セナやリズは元気だろうか?

早く会いたいという気持ちを抑えつつエアリスへと急ぐ。

途中、雨が降り始めたがマントのお陰でずぶ濡れにならずに済んだ。

エアリスに到着した頃には雨も上がり美しい夕焼け空が広がっていた。

騎士宿舎の守衛の居る門の手前に舞い降りる。

急に僕が現れたので驚く守衛。


守衛:「よしひろうさん!お久しぶりです!」

よしひろう:「お久しぶりです。元気してました?」

守衛:「ここは相変わらず平和でしたよ(笑)」

よしひろう:「中に入りますね。」

守衛:「どうぞ。」


ロッカールームで普段着のTシャツ、半パンに着替える。

この普段着に着替える事で戻って来た事がやっと実感できた。

まずはセナに会いに行く。

セナの部屋の扉をノックする。


セナ:「はい。どなた?」

よしひろう:「よしひろうです。」


扉が開かれセナが顔を出した。


セナ:「久しぶりじゃない!」

セナ:「中に入って。」


部屋の中へ入らせてもらう。


セナ:「どこに行ってたの?」

よしひろう:「エリーの依頼でエルマって子とラクサーシャの地下迷宮に行ってたんだよ。」

セナ:「冒険者になってたのね!」


僕の首から下げている金の指輪を見てさらに驚くセナ。


セナ:「それ、金の指輪じゃない!?」

よしひろう:「うん。」

セナ:「冒険者の中の冒険者ってことよね!?すごいじゃない!」


セナに誉められて有頂天になる僕。

セナにラクサーシャでの出来事を話し聞かせる僕。


セナ:「ヴァンパイア相手に勝ったなんて、信じられないわ!」

よしひろう:「これが戦利品。」


と言ってレギオナのダガーをセナに手渡す。


セナ:「一目見ただけで凄いって感じられるわね。」

セナ:「魔法が掛かってるの?」

よしひろう:「武器破壊の効果があるらしいよ。10段階評価で10だって言ってた。」

セナ:「本物のお宝じゃない!」

セナ:「刀身を見ているだけで魅入られそうだわ。」

よしひろう:「吸い込まれるみたいだろ?」

セナ:「ええ。危険な香りがするわ。」


そう言って柄の方を僕に向けてダガーを返すセナ。


セナ:「確かに凄いけど、運に頼るような戦いはもう止めてね。」

セナ:「あなたに何かあったら、私だけじゃなく皆が悲しむから…ね?」


黙って頷く僕。

アスター隊長にも用事があるのでセナと別れて部隊長室に向かう。

部隊長室の扉をノックする。

中から返事が返ってきた。


アスター隊長:「誰か?」

よしひろう:「よしひろうです。」

アスター隊長:「入れ。」


扉を開け、部屋の中へと入る僕。


アスター隊長:「久しぶりだな。」

アスター隊長:「しばらく見ないから心配してたんだぞ。」

よしひろう:「エリザベート様の依頼でラクサーシャの地下迷宮に行ってきました。」

アスター隊長:「エリザベート様からの直接の依頼か!?」

よしひろう:「王立魔法学校の生徒と二人で魔封石探しの冒険をしてきたんです(笑)」

アスター隊長:「そうか、それは大変だったな…」


僕の首に下げられている金の指輪を見てアスター隊長が呟いた。


アスター隊長:「ああ、なるほど、その胸の金の指輪はそういう事か!」

アスター隊長:「よくやったな!」

アスター隊長:「ここでの訓練が役に立ったか?」

よしひろう:「もちろんですよ!ありがとうございました。」


僕の返事に笑顔を見せるアスター隊長。


よしひろう:「隊長にお願いがあって来ました。」

アスター隊長:「お願い?何だ?」

よしひろう:「猫の飼える借家を紹介してもらえませんか?」

アスター隊長:「猫!?…それは構わないが…」

アスター隊長:「知り合いを当たってみるから少し時間をくれ。」

よしひろう:「はい。よろしくお願いします。」


その後、アスター隊長と地下迷宮での出来事を話し聞かせて盛り上がったため部隊長室を出たのは夜も更けた頃だった。

騎士宿舎を出て、エアリスの城門の脇にあるいつも座る石に座る。

一週間くらいしか経っていないのに無性に懐かしく感じるのは何故だろう?

座ってぼんやり夜空を眺めていると意識が遠退いてきた…

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