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続・夢の中だけ勇者さま?  作者: 菅原よしひろう
王都攻防戦
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僕は夢を見た(67) 奪われた秘宝

エルマを腕に抱き、講堂へと戻る僕。

そこには既にレンジャー四人が到着していた。

気を失ったガンホークを後ろ手に縛りあげる。

僕とエルマを見つけたエリー、エナ、ジアが駆け寄ってきた。

そして三人が皆、僕に抱きついてくる。

涙ながらに訴えかける三人の姫様。


エリー:「ヒロ!怖かったのじゃ!!」

エナ:「ありがとう!ヒロ!」

ジア:「あの…その…ありがとう(モジモジ)」

よしひろう:「そ、そんなに引っ付かなくても…」

よしひろう:「エ、エナもジアも胸が見えてるって!」


その姿をにこやかに見つめる王妃フローラ。


フローラ:「あらあら、ウフフ。」


しばらくすると、皆に落ち着きが戻った。

エナが暴風のガンホークに目をやる。


エナ:「ヒロ、こいつが「暴風のガンホーク」よ。」

エナ:「王家を皆殺しにすると言ってたわ。」


そう言うやガンホークの頭をおもいっきり蹴りつけた。

目を覚ますガンホーク。


ガンホーク:「チッ。ペッ(唾棄)」

エナ:「誰に頼まれた?」


とガンホークを見下しながら問いかける。

ガンホークは顔を反らしエナの問いかけを無視する。

その無礼な振る舞いに怒りをあらわにするエナ。


エナ:「何としても首謀者の名を吐かせなさい!」

レンジャー:「かしこまりました!」


そういうとレンジャーがガンホークを立たせどこかへ連れていく。

離れる間際にガンホークが一言話した。


ガンホーク:「いいオッパイだったぜ。」


前を隠すのを忘れていたエナとジアの顔が赤くなり咄嗟に前を隠す。


エナ:「どこまでも無礼なヤツ!」

ジア:「ヒロにまで見られて…お嫁に行けませんわ…(モジモジ)」

エリー:「私は見られていないが…これはどうしたものか?(汗)」

エリー付きの召し使い:「あのような下賎の者の言うことなど放っておかれませ。」


どうやらエリーは自分の胸が姉達より小さい事を気にしているようだった。

ヤレヤレという仕草をするエルマ。

そしてある事に気がついた。

瞬間的に空手チョップの構えをするエルマ。

その視線の先にはレギオナがいた。


エルマ:「な、な、な、なんであんたがここに!?」


レギオナは僕の横に立つと僕の腕を抱き締め腰をくねらせながら言った。


レギオナ:「私はヒロに身も心も捧げましたの。」

よしひろう:「へ?」

エルマ:「え?」

エリー、エナ、ジア:「えぇ!?」

よしひろう:「ご、ご、誤解です。」


エルマの掌が僕の頬をバチーンと打つ。

エルマにひっぱたかれ涙目になる。


エルマ:「不潔よっ!」


よしひろう:「(コホン)レギオナ、黒い魔封石の在処を探して来てくれ。」

レギオナ:「御意!」


レギオナは白い梟の姿に身を変え羽ばたき去った。


よしひろう:「誤解です!身も心もって、そんなやましい事はしてません!」

よしひろう:「使い魔になりたいと言うので了承しただけです!」


跪き姫様達とエルマに身の潔白を必死に釈明する。


エルマがジーっと僕の顔を覗き込む。

目を反らしたら負けだ。

すると僕の額にキスをするエルマ。


エルマ:「今度だけは信じてあげる。」


今度はこのキスに姫様達が騒ぎ始めた。


エリー:「わ、私もヒロを信じるのじゃ。」


そういうとエリーが僕の額にキスをする。


エナ:「ふぅーん。そういう事か…負けられないわね。」


と、エナまで僕の額にキスをした。

自分の姿をすぐに忘れてしまうのか、胸をあらわにしたままで僕にキスをするエナ。

そして最後にはジアまでも意を決したかのように僕の額にキスをする。


ジア:「ワァー」


顔を真っ赤にしてエナの後ろに隠れるジア。


フローラ:「あらあら、ウフフ。」

よしひろう:「???」

リズ:「???」

セナ:「(苦笑)」


丁度その頃。

王都の地下水道にて。


ローブを着た男達が集まって何やら儀式を行おうとしていた。

ローブを着た男:「これが黒い魔封石でございます。」

司教:「うむ。漆黒の指輪は?」

ローブを着た男:「これにございます。」


指輪を受けとると右手の中指にはめる司教。


司教:「これで我々の念願を成就する事ができる!!」

司教:「儀式を始めるぞ!」


別の場所。

とある屋敷内。


男A:「失敗したとな!?」

男B:「はい。」

男B:「ガンホークは捕らえられました。」

男A:「ヤツが自白する前に始末するのだ!!」

男B:「それには及びません。ガンホークは誰に頼まれたかすら知りませんので。」

男A:「そ、そうか?それならば良いのだが…」


講堂にて。


エリー:「今日はとんでもない一日じゃったの…」

エナ:「まさか、こんな事に巻き込まれるとはね。」


腰に手を当て胸を張って周囲を見渡すエナ。

当然、胸がはだけて丸見えとなる。

僕の視線が自然とそこに釘付けとなるのをエルマは見過ごさなかった。


エルマ:「ヒロ!」


と僕の耳をギュッと捻りながら視線をずらす。


エルマ:「エナ様、前が丸見えですよ!」

エナ:「あー、忘れてた…」


慌てて前を隠すエナ。

そうこうしているとレギオナが戻って来た。

人の姿に身を変える。


レギオナ:「ダメでした。気配すら感じません。」

よしひろう:「そうか…」


陛下に報告をすることに。

傍らにレギオナを呼び、陛下の前に跪く僕とレギオナ。


よしひろう:「申し訳ございません。魔封石と指輪ですが、取り逃がしてしまいました。」

国王陛下:「そうか…残念だが仕方がない。また何かあれば頼むとしよう。」

よしひろう:「はい。いつでもお申し付けください!」


陛下がレギオナの方に視線を向けた。


国王陛下:「それと、此度の手柄、必ず報いようぞ。」

よしひろう:「ありがたき幸せ。」

国王陛下:「これからも娘達の事を頼む。守ってやってくれ。」

よしひろう:「はい!」


僕の返事を聞くと安心したのか笑顔になる陛下。

召し使いの一人が口を開いた。


召し使い:「夜も更けてまいりました。そろそろご退室されてはいかがでしょうか?」


その言葉に従うように城へと戻る国王一家と護衛の騎士達。

エリーがバイバイの仕草をしながら城へと戻って行く。

僕とエルマも笑顔で姫様達にバイバイをする。


よしひろう:「僕らも帰るか?」

エルマ:「そうね。帰りましょう。」


エルマをお姫様抱っこをし、講堂から空へと飛び立つ。

レギオナも梟に変身し、僕の後に続く。

花火やら盗賊やらで気がつかなかったけど、今夜は満月だった。

下方の街明かりと天空を照らす蒼白い月明かりとでとても綺麗な景色が広がっている。

先程までの争乱が嘘のようだ。


よしひろう:「エルマ、ほら、見て。満月。」

エルマ:「ほんとだ。綺麗…」


程なくしてエルマの屋敷の前に着く。

お互い手を振って別れた。


よしひろう:「(レギオナ、エルマの事を頼む。)」

レギオナ:「(御意。)」


子猫の姿に変身し、エルマの後を追うように駆けっていくレギオナもといレナ。

僕は一人、屋敷の中に入り自室へと向かう。

窓から月明かりが入り、蝋燭が無くても廊下が見える。

ずっと眺めていたいと思える程に大きく綺麗な満月だった。

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