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第2話
クローチスはいつも通り剣の特訓をしてから湯浴みをしてから着替える。
そして艶やかな金髪の髪を巻き、学園へ向かう。
「さあ、今日も悪役に徹するとしようか。」
「お嬢様、口調がまだ変わっておりませんよ。」
「!助かるよ、すっかり忘れていた………ごほん、行きますわよ!今日もあの小娘に身の程をわからせてやりますわ!」
照れていた顔を消し、口元を意地悪くつり上げるクローチス。
その様を見ている侍女たちは満足げに見ていたのだった。
クローチスがこの演技を始めたのは約5年前。それまでの茶会では素を出していて、ほかの貴公子たちに引けを取らないほど若き淑女たちに囲まれていた。もともと彼女は面倒見がよく、紳士的という言葉がとても似合う性格をしている。人はそう簡単に変われない。まだ「女性に乱暴をするのは難しいな…」と呟いているところを見られている。
彼女は気付いていないが昔からのファンは彼女の演技に気付いている。
リオンが言っていたのは全くの嘘ではないが、真実でもないのだ。
そして彼らが彼女の努力を暖かく見守っていることも彼女は知らない。