表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

01

「リオン。周りの様子はどうなっている?」


そう問いかけたのは先程平民の少女を虐めていたはずの公爵令嬢、クローチス・ベラドンナである。彼女は虐めていた時とは違い、凛とした光を宿しながら、真逆と言っていいほど口調を変えていた。

その言葉になれたように答えるのは、マグノリア王国第二王子、リオンハルト・マグノリア。彼女の婚約者である。


「一部を除いて、周りは君の演技を疑っている様子はないよ。完全に騙されている。さすがだよ。」


彼女の態度が素なのだろう。


「そうか、それは良かった。」


ホッとしたように息をつく彼女には、微かな笑みが浮かんだ。

その笑みを愛しげに見つめる瞳に彼女は気づいていなかった。


「そうだ!マリアンヌの持っていた菓子、回収してくれたか?」

「もちろん、君が落とすだけならともかく、踏み潰すところまでしたんだしね。何かあると思ってライルに拾わせたよ。調べておくようにいっておいたけど…」


マリアンヌとは、彼女がさっきまで虐めていた少女の名である。


「安心した。あの中には、薬が入っていた。少し判断力を鈍らせるくらいの効果だが、用心するにこしたことはない。」

「そうだね、ありがとう」





そして2人は他愛もない話をし、お茶会を終了させる。


「じゃあまたな、リオン。」

「あっ、待って。クローチス、次の学園での舞踏会だけど……」

「ああ、そんな時期だったか…。」

「ちゃんと覚えててよ、もう。ドレスは僕に任せて欲しいんだけど……」

「…?構わないが…」

「そ、ありがとう。君に似合う最高のものを用意するよ。」


リオンハルトはそう言って、はにかむような笑みを浮かべる。

クローチスの頰に赤みが増した。


リオンハルトはよく甘い笑顔、なるものをよくするが、未だにクローチスは慣れていないのだ。


「あ、ああ。期待している、それじゃあな!」


そう言い残し、クローチスは去っていった。



残されたリオンハルトは、幸せそうに微笑んでいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ