登場人物まとめ(第三章終了時点) ※ネタバレあり
最終章のスタートに伴い、第三章の内容を忘れてしまった方のために用意しました。以下、各登場人物が第三章終了時点でどのような状況に置かれていたかを簡潔に紹介します。
1.ゼルマンドを討ちし五英雄
■イーシャル(ケンゴー)……教会墓地で相まみえた“英雄殺し”ことゼルマンドに“精神寄生”の術で肉体を乗っ取られたものの、不屈の意志でそれを破る。その後、イクシアーナに下った神託に従って己の心臓を聖剣“ラングレス”で貫き、胸に宿るゼルマンドの思念体を滅するも、生死不明のまま王国政府に身柄を拘束された。
■ガンドレール・カルソッテ……イーシャルに対する偏執的な愛が仇となり、“精神寄生”を用いたゼルマンドに肉体を乗っ取られていた。またイーシャルの密告も、ガンドレールの狂気じみた筋書きの一端だったことが明らかに。教会墓地での決戦後、半ば心神喪失の状態で王国政府に身柄を拘束された。
■イクシアーナ……かつてはゼルマンド討伐を目的に組織された義勇軍に所属しており、イーシャルに危機を救われた過去を持つ。当時のあだ名は“野ねずみ”。かねてよりイーシャルを神聖視しており、処刑場から彼を救い出したのもイクシアーナの計画によるものだった。教会墓地での決戦では、イーシャルの心臓を聖剣で貫くことを拒否し、聖女としての使命よりも個人の感情を優先した。
■リアーヴェル……教会墓地でゼルマンドに戦いを挑むも、為す術なく敗北。全身に重傷を負った。
■ファラルモ……ゼルマンドに殺害されたのち、“屍兵”として復活させられ、大聖堂を内部から襲撃。イクシアーナとリアーヴェルの活躍によって撃退された。
2.聖ギビニア教会
■レジアナス……イクシアーナの警護役として大聖堂に赴いたケンゴーとさらなる交友を結び、のちに彼から己の正体がイーシャルであると打ち明けられる。レジアナスも誠意を以てそれに応え、二人の絆は確かなものとなった。
■ネーメス・バシュトバー……イクシアーナの警護を務める“聖女の盾”の一人。火炎魔術の遣い手。代々優秀な騎士を輩出してきた名門バシュトバー家の三男であり、自身も剣士として卓越した才を持つ。当初はレジアナス及びケンゴーを敵対視していたが、ケンゴーとの決闘に敗れたのち改心した。
■アゼルナ……イクシアーナの警護を務める“聖女の盾”の一人。風操魔術の遣い手。巨大な戦槌を自在に操る怪力の持ち主。イクシアーナに対する尊敬の念は度を過ぎており、もはや狂気じみた様相を呈している。ゼルマンドとの戦いで瀕死の重傷を負うも、ケンゴーの血操術によって命を繋ぎとめた。
■トモンド……イクシアーナの警護を務める“聖女の盾”の一人。地操魔術の遣い手。戦斧と盾で戦う古式ゆかしい戦闘スタイルを好む。明るい性格の常識人で、ケンゴーを「聖者さん」と呼び慕う。
■総主教……聖ギビニア教会の最高指導者。説法に長け、多くの民衆から慕われている。聖光魔術師としても傑出しており、イーシャルがゼルマンドに肉体を乗っ取られた際、自ら戦いに赴き命懸けで侵攻を阻んだ。教会墓地での決戦後、事情聴取の名目で王国政府に身柄を拘束された。
■キトリッシュ枢機卿……総主教を補佐する寡黙な実務家。魔術師としても稀有な才能を有する。教会墓地での決戦時、リアーヴェルと共にゼルマンドに立ち向かうも、為す術なく敗れ重傷を負う。ちなみに枢機卿とは、総主教に次ぐ高位の聖職者に与えられる職位である。
■エジリオ……聖ギビニア騎士団の元副団長。レジアナスの贖罪の旅にて同伴役を務めた。国家の命運を賭けた“ゼルマンド奇襲作戦”に召集され、命を落とす。
■聖人フラタル……200年以上前に存在した聖ギビニア教会の司祭。南方の大帝国ジャーガンディアがレヴァニア王国に侵攻した際、死者を蘇らせる暗黒魔術“奇跡の兵”を用いて撃退するという英雄的偉業を成し遂げ、聖人に列せられた。
3.王国政府&王国騎士団
■ディダレイ・バシュトバー……名門バシュトバー家の次男。剣技と魔術の腕前は一級品。失踪したガンドレールに代わって王国騎士団団長の座に就いた。弟のネーメスとは何かにつけ対立する間柄。教会墓地での決戦時、一度は絶命したかのように思われたが、全身に施した“加護の入れ墨”のお陰で命拾いした。
■ジャンデル・ムルバンク……両頬に刻まれた髭のような創傷から“山猫”の二つ名で呼ばれる。傭兵から王国騎士団参与に成り上がった経歴を持ち、ディダレイの右腕役を務めた。ケンゴーの正体がイーシャルだと見抜き、一度は追い詰めるも、イーシャルの剣に屈した。その後、蘇ったファラルモの槍に貫かれて絶命。
■ゴグリガン・グレベル……総長として王国騎士団の頂点に君臨する壮年の大男。獅子さながらの勇猛果敢な戦ぶり、鬣を思わせる黄金色の長髪を持つことから“レヴァニアの金獅子”の二つ名を持つ。ゼルマンドとの決戦後、イーシャルと総主教、ガンドレールの拘留を命じた張本人。
■レイニエラ・ファランギス……王国騎士団参与で二つ名は“剣姫”。“社交界の華”といった雰囲気を醸す美女だが、剣の腕はガンドレールやディダレイに匹敵するという。
■エインズメリー・ドローデール……宮廷魔術師団の長。国防の要である“結界魔術”に精通している。リアーヴェルとは因縁浅からぬ関係の様子。
4.イーシャルの過去に関わる人々
■にんじん……赤髪の少年義勇兵。イーシャルにとって無二の親友と呼べる存在だった。錯乱した少年義勇兵の凶刃からイーシャルを庇って最期を遂げる。
■いなご……イーシャルを慕う少年義勇兵。暗黒魔術を目の前で使ったイーシャルの殺害を試みるも、図らずもその盾となった“にんじん”の命を奪った。
■ながぐつ……イーシャルを慕う少年義勇兵。“にんじん”の命を奪った親友“いなご”を殺害するという悲劇的な運命を背負った。ゼルマンド配下の奇襲により絶命。
■料理人……小太りの少年義勇兵。やたらと美味い煮込み料理を作る。本物の料理人を夢見、イーシャルの手引きで脱軍した。
■メローサ……娼館で暮らしていたころのイーシャルが好意を抱いていた年若き娼婦。蠱惑的な美貌の持ち主。自らを慕うイーシャルを、狂気的なサディストかつ小児性愛者の“男爵”に紹介することで、立身出世の足掛かりを掴もうとした。
5.王都で暮らす人々
■ケンゴー少年……大聖堂の中庭に設けられた難民キャンプで暮らしていた身寄りのない少年。マダムの営む宿に盗み食い目的で忍び込んだことで、自らと同じ名の“傷跡の聖者”ケンゴーと出会い、慕うようになる。
■マダム……王都の郊外でうらぶれた宿屋を営む矍鑠とした老女。偏屈でゼルマンド戦役に関わった人間を毛嫌いしている。ケンゴーが“英雄殺し”と対峙するために宿を発とうとした際、必死で止めるという意外な素顔を見せた。
■ミス・ミーゴ……マダムを補佐する気立ての良い中年女性。
6.その他
■ウイユベリ辺境伯……強大な軍事力を有し、国境地帯の警備を担う名門貴族。聖ギビニア教会の有力なパトロンで、意中のイクシアーナと結ばれる日を夢見ている。




