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お人よし悪魔と駄女神さま  作者: 瑞沢ゆう
一章 クビになった悪魔
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ルーキー狩り② 回想編

ブックマーク及び評価、ありがとうございます! 多くの皆様に読んでいただいて大変嬉しく思います。これからも宜しくお願い致します!

──グギァ」」


 一層を順調に進んでいた一団、このまま魔物に遭遇することなく二層目に降りれるかと安心していると、耳障りな声が聞こえてくる。


「現れたな」


 ゼマンの言葉に続くように「グギァ、グギァ」と、二体のゴブリンが曲がり角から現れた。


「ヨシュア、一体は俺がやる。残った一体と戦ってみてくれないか?」

「えっ? いや、サポートだけって……」


「ああいや、別に倒せって言ってる訳じゃないんだ。実力を見たいだけだ、サポートしてもらうにしても、サポート役の力量で戦い方も変わるしな」

「はあ、そういう事なら」


「おう、じゃあサクッと一体殺ってくるわ」


 ゼマンはそう言うと、二体のゴブリンへと駆け寄っていく。

 

 二体のゴブリンのうち一体は丸腰だがもう一体は棍棒を装備している。さすがのゼマンでも武器を持っている方に行くかと思いきや──丸腰かつ後方にいたゴブリンの背後に回ったゼマンは、ゴブリンの背中めがけナイフを突き刺す。


「グギァッー!!」


 心臓を背中側から突かれたゴブリンは断末魔をあげると、息も絶え絶えに地にふせる。おそらく絶命も間近だろう、だがゼマンの行動はとても良くやったとは言えない。


 この場合なら最初に殺るべきは、丸腰のゴブリンではなく武器を装備しているゴブリン。取り残され、死の恐怖が迫った者がおこすのは混乱。


 それが逃げ惑う、戦意を喪失するなら良いのだが、魔物の場合は真逆。怒りと混乱に身を任せ襲ってくるのだ、その行動パターンは混乱状態になっている所為で読みずらく、魔物自体の危険度を押し上げる。


 そんな狂乱状態の魔物を相手にするなら勿論、丸腰の方が良いに決まっている。それは、危険な職業の冒険者なら誰でも認識する事なのだが、


「殺ってきたぜ!」と、悠々と戻ってくるゼマンには理解出来ない。これが、言動と行動が釣り合っていない口だけのハッタリ野郎と言われる所以である。


 そんなゼマンをヨシュアは「凄いです! 一撃じゃないですか!」と、太鼓持ちのように褒め称えて迎えいれた。まあ、素直なヨシュアは心から称賛を送っただけなのだが。


「ま、まあな! じゃあ、次はヨシュアの番だぜ、相手の攻撃を良く見て動けよ」と、ヨシュアに褒められた事で気を良くしたゼマンは、先輩風を吹かして要らないアドバイスをヨシュアに送る。


 これが中堅以上の冒険者だったら「お前こそ状況を見て動け馬鹿野郎!!」と、一蹴されてしまうだろう。


 しかしヨシュアは、それを素直に「分かりました!」と、受け入れ、狂乱しているであろ棍棒を構えたゴブリンに向かって駆けていく──


「グギァッ!!」

 

 やはりと言うべきか、仲間を殺られ狂乱に陥ったゴブリンは怒りにを表すようにヨシュアに叫ぶと、棍棒を振り回し突撃してきた。


 その光景を後方から確認するゼマンは(さて、お手並み拝見だな。さすがにここで死ぬなよ)と、ヨシュアを品定めするように一瞥する。


 一方、ヨシュアは、


(どうしよう……あんまり力を見せると悪い事にも知らずに手を貸してしまいそうだから、必要な時以外は使いたくない……ここは弱いけど死なない程度に動いた方が良いかな?)


 魔界で利用され、好きでもない戦いを散々してきたヨシュアは、折角逃げてきた人間界でまた戦いの日々に身を置くのが嫌だった。

 

 だから討伐依頼やダンジョン攻略にも目もくれなかったのだ。今回はゼマンの頼みでしょうがなく来たものの、実際の戦闘をどうするかが悩みどころ。


 しかし、そうは言っても時間は待ってくれない。縦横無尽に棍棒を振り回すゴブリンが迫まる中、ヨシュアは覚悟を決め立ち向かう。


 まあ覚悟と言ってもゴブリンを殺ると決めた訳ではない、痛いのも嫌いなヨシュアは、相手の攻撃に決して当たる事はないが、攻撃力も皆無という役を演じる事を決めた。今回の覚悟はそんな覚悟だ。


 その覚悟通り、ゴブリンの振り回す棍棒はヨシュアに当たる事はない。狂乱状態と言っても魔物の中では弱小のゴブリンの攻撃など、亀の歩みのように遅く感じるのだから避けるなど容易い。


 そして、ゴブリンの攻撃を避け続けるヨシュアはタイミングを見て、力を抜いた蚊も殺せないようなヘロヘロとした拳をゴブリンに当てる。


 そんな行動を何回か繰り返したヨシュアは頃合いかな、とゼマンにギブアップ宣言を出した。


「すいませーん! やっぱり俺じゃ無理みたいです、今のうちに後ろからお願いします!」


 ヨシュアの言葉を聞いたゼマンは軽く舌打する。


「ああ、わかった。少し待ってろ」


 ゼマンはそう言うと、ゴブリンの背後へ駆け寄りナイフで背中を刺した。


「グギァッー!!」


 絶命した二体のゴブリン。それを見たヨシュアは胸糞が悪くなる。


(ハァー。だからやりたくなかったんだ……痛かっただろうな、ゴメンよ)


「おい、大丈夫か?」

「ああ、はい。すいません、やっぱり俺じゃ殺れませんでした……避けるの得意なんですけど、なにぶん攻撃力がなくて」


「あ、ああ……まあ、まだルーキーなんだししょうがないさ」ゼマンはそう言うが腹の中では別の事を考えていた。


(ゴブリン一体も倒せねえとか、クソ使えねえ野郎だ! クソ!! 声を掛けるヤツを間違ったぜ……まあいい、囮ぐらいには使えるだろ。さっさと稼いで、殺るか)


「おい、ラバウル魔石回収頼む」

 

 ゼマンの声にラバウルは生き生きとした目で「任せて」と、答え、まだ息が少しあるゴブリンの元へ向かう。


 猟師の息子として幼い頃から父を手伝ってきたラバウルにとって生き物の解体などお手の物、しかしそれだけでラバウルが生き生きとしている訳ではない──単純に嬉しいのだ、死の淵に立たされ苦痛に歪む顔を見ながらその体を捌いていくのが、ラバウルにとって性行為などとは比べものにならないぐらい快感なのだ。


 そして、早くヨシュアの苦痛な顔もみたいと思いながら手際良くゴブリン胸をナイフで開くと、心臓を一掴みしナイフで開く。

 すると、心臓の中から無色の小さな石の欠片を取り出しゼマンに渡す。


「相変わらずしょっぱいサイズだな、もう少しデカければ値段も跳ね上がるってのに。まあ、ゴブリンごときなら精々こんなもんか」


 小さな石の欠片を手に取って見つめるゼマンはそう呟いた。


 その後、同じようにもう一体のゴブリンから魔石を回収したラバウルは、ゴブリンの尖った耳の先を二つ切り取った(討伐した証、ただし依頼にない魔物の討伐料は依頼があった場合の半分)


「これで魔石と討伐料で銀貨二枚って所か、まだまだ全然足りやしねえ。行くぞお前ら」


──二階層目へと歩みを進めるヨシュア達、しかしヨシュアの足取りは重い。ゴブリンの苦痛に歪む顔もそうだが解体される姿など、とてもじゃないが見れたものではなかったのだ。


(俺には討伐依頼もダンジョンもやっぱり無理だ……細々と採取依頼で生活しよう)そう、心に誓ったヨシュアだった。


しかし、日刊ランキングの恩恵は凄まじいですね……。PVがあんなに増えるとは思いませんでした(; ゜ ロ゜)


これも読んでくれた読者様のお陰です、重ね重ねお礼申し上げますm(_ _)m

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