企てる者達
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──魔界、王都──
丸いテーブルの中央に、ユラユラと揺らめく蝋燭だけが灯りとなる、ほの暗い闇にて四人の怪しげな者達がテーブルを囲む。
その姿は蝋燭だけが頼りの暗闇では見る事が叶わない。そんな中、一人の者が口を開く。
「首尾はどうなのだ? ブルズよ」
低く太い声、この声で恫喝でもされたら直ぐ様ひれ伏してしまう。
「は、イフリート様の計画通り順調に進んでおります」
「ではオグリ、お前は?」
「は、こちらも順調でございます。イフリート様」
「そうか。お前達良くやった」
「「お褒めにあずかり光栄にございます」」
「うむ。では、シヴァよあやつの動きは?」
「やっぱり魔界には居ないわね。もう三年も出てこないんだから魔界に未練は無いんじゃないかしら」
「ふむ、ならばここが好機か。今さらやつに出てきてもらっては困る。しっかり見張っておいてくれ」
「ええ、任せてイフリート」
艶かしい女性の声が暗闇に掻き消えると、イフリートと呼ばれた者を残し三人は闇に溶けた。
そして、イフリートはこの三年、いや、何十年の苦渋に満ちた己の心に思いを馳せる。
(やっと、我は解き放たれる。この何十年何度苦渋を飲んできたか! あの女だけは許さん!! 必ずこの手で業火の消し炭としてやろう)
この集会から一月後、魔界では戦禍の嵐が巻きおこる。
──同時刻。魔界、魔王城──
王座に胡座をかくリリンの前に、頭を下げるブランドンは魔界での不穏な動きを伝えるため王の間に来ていた。
「魔王様、お伝えしたき事が」
「なんじゃ、手短に話せ」
「は、実は魔界にて怪しい動きが各地にて確認されています」
「ん、反乱か?」
「まだ、確証は得ていませんがその線が濃厚かと」
「ほう、ならば企てた者が分かり次第即刻首を跳ねよ」
「は、ただ情報を撹乱する者がおり、もう少々お時間を頂きたく」
「くっ、小賢しいまねを! 一族郎党皆殺しじゃ!!」
「は、御意に」
「それで、ヨシュアは見つかったのか?」
その質問にブランドンはまたか、と嫌気がさす。しかし答えない訳にもいかず、今掴んでいる情報の一部をリリンに伝える。
「その件ですが、現在人間界にも捜索の手を伸ばしています。そこで掴んだ情報なのですが、何でも人間界に魔族にも匹敵する力を持った者が居るという情報を得ました。現在、その者に接触を図るべく動いています」
「おおっ、そうか! そちらも最優先で事に当たれ、決して接触していると気付かれるなよ? また逃げられたら堪ったものでない」
「御意に……では私はこれで──魔王様に栄光あれ!」
──一通りの報告を終えたブランドンは執務室にて一枚の紙を眺めていた。
そこには、
『兄者、人間界の街で西の方角に飛び立つ悪魔族を見た。暗くて顔まで見えなかったが、ヨシュアかもしれないので一応情報提供する』と、書かれていた。
(馬鹿者が、怪しいと思ったら追えばよかろう。どうせ女漁りにうつつを抜かしておったのだ。まったく、ボイド家の恥じさらしめ! 女など拐って閉じ込めておけば何時でもヤれるというのに──しかし、この情報は有力だ。もしヨシュアが居るなら是非接触したい……私、自らが出向いてもいい。それにもう一つの情報も確認しておきたい所だ……ならば出立の準備をしなければな)
「おいっ!」
ブランドンが一声上げると、いつの間にか黒装束の者が現れる。
「は、お呼びで」
「ああ、私は暫く人間界に出向く。その間影武者として動け」
「御意に。不穏な動きをする者の件はどういたしますか?」
「放っておけ、もしリリンが急かしてきたら適当な者を見繕って首を持って行けばいい」
「しかし、それではいずれ戦が起こりますぞ」
「勝手に戦でも何でもすればいい、今の魔王に恩義などないしな。それに戦が起こるならそれはそれで我らにとって好都合だ」
「どういう事ですか?」
「今、ヨシュアに関しての有力な情報を手にした。もし、戦がおこり魔王が交代したとする、そこに座る者──そいつはどう見ても裏切り者の烙印を捺され、それらを弾圧するため恐怖政治となろう。そこに生まれるのはなんだ?」
「怒り、憎しみ、悲しみ。深い闇の思いですか?」
「そうだ、そしてそれらが元に戦が起こる」
「しかし、それでは負の連鎖では?」
「そこでだ、私がヨシュアを連れ平和を取り戻すための聖戦とでも言って参戦するとどうなる?」
「あっ……民衆だけではなく保守派を一気に取り込めますね」
「そうだ、そしてヨシュアを利用し戦を治めたのち私が新たな魔王として永劫に君臨するのだ」
「なんと……しかし、ヨシュアはそれで納得するのですか? それになんと言ってヨシュアを動かすので?」
「ああ、あやつはなクソがつく程のお人好し、そして平和主義という馬鹿みたいな思想の持ち主だ魔界の平和のため力を貸して欲しいとでも言えば簡単に動くさ。それに、あやつは権力や野望に無頓着、私が魔王になった所で何とも思わん」
「なるほど。さすがブランドン様、深いお考え感服いたしました。さすればインキュバス族は安泰ですな。魔王ブランドン様に栄光あれ!!」
「何を言うておる、気が早いぞ……だが、その呼び名もいいものだな。大臣よ?」
「「フッハッハッハッハッハッハッ」」
二人の不気味な笑い声が魔界に轟く雷鳴と同化する様に響いていた。
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