表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お人よし悪魔と駄女神さま  作者: 瑞沢ゆう
二章 エノク奪還編
14/68

友との再会

ブクマ、評価、大変ありがとうございます!

──立派な木が生えたもんだ。酒場の良い目玉になんじゃねえか? ハハッ」

「そりゃ良いや! 酒を呑みながらケツに木が突き刺さるドキドキを味わえる酒場なんて、この世にここしかねえわな! ガハハッ」


 レメクや酔っ払いの客が冗談めかしてそんな事を言うと、酒場の店主は頭を抱えながら「笑い事じゃない! なんだって急に生えて来たんだか……こんなんじゃ商売できないよ」と、心底、困ったというような表情をする。


 そんなやり取りを眺めて苦笑いしか出てこないヨシュアは、この現象を引き起こした張本人の『女神』をどうしたものかと、悩んでいたが──


「うへ~よしゅえしゃま~どうしたんですか~」


 女神の様子を確認したヨシュアは悩むのが馬鹿らしくなり、成り行きに任せようと気持ちを切り替えた。


「よっちゃん! とりあえず向こうの奥で話そうぜ」

「ああ、分かった」


 レメクの誘いにのり、一番奥の人気が少ないテーブルへと腰を下ろした。


「とりあえず、再会に乾杯といこうか──おーい! こっちにエール二つ頼むわ!」


 レメクが、世話しなく動く給仕の女の子に注文をすると「はーい!! 少々お待ち下さい!」と、少し焦ったような口調で返される。それもそうだ、酒場はアダムとイブの『快気祝い』という名目でお祭り騒ぎ、あちらこちらから注文が殺到している。そして、いつ自分のケツに木が刺さるか、というスリルも盛り上がる一因のようだ。


 そんな騒がしい中、レメクとヨシュアは届いたエールをカツンッと鳴らせ、静かに酒を呑み交わしていた。


「んで、よっちゃん。昔話に花を咲かせてえのは山々なんだが、先に事情を聞いて良いか?」と、酔っ払い達に絡まれているアダムとイブを心配そうに見ながら、レメクはヨシュアに問う。


「ああ、いいよ──昨日の夜、この町の西門を少し行った所であの子達が一人の男に襲われてたんだ。そこを偶然通りかかってね、助けて保護した」

「その男の特徴は?」


「特徴? うーん……髭面でむさ苦しい感じの男かな」

「髭面でむさ苦しい男……最近捕まった盗賊にそんな感じのが居たような……ああいや、わりい。それで?」


「それで、その後アダムに事情を聞いたんだ。前の領主、アダムとイブのお父さんが亡くなった後にスネーク子爵って人が領主代理と後見人としてやって来たんだよね?」

「ああ、いけすかねえ野郎だ。来て早々、『エーデン家』に長年仕えてきた俺達を追い出しやがった! しかもこの町出身の領兵を自分のとこの領兵とごっそり入れ替えやがったんだ!」


 ここで新しい情報がヨシュアの耳に入ってくる。アダムとイブの家名が『エーデン』である事、スネーク子爵が大掛かりな領兵の入れ替えを行っていた事が分かった。


(家名は兎も角、領兵の入れ替えは何か引っ掛かるな……)


「領兵の入れ替えって何か事情が有ったのかい?」

「いや、子爵からは特に発表されてねえ。それでも、最初は町の連中も俺も黙って受け入れてたんだ。エーデン家が他の貴族から嫌われてたのは皆知ってたし、それでも来てくれた子爵に多少なりとも恩義を感じてたんだ。アダムとイブの後見人も引き受けてくれたしな」


「じゃあ、特に抗議とかしなかったの?」

「最初はな……だが、皆おかしいと思ったのは、アダムとイブを屋敷に閉じ込め始めてからだ。だってよ、それまで元気な姿を見てたんだぜ……病気だなんて信じらんなかった。それからは毎日抗議に行ったさ! ただ、領兵に止められて子爵にすら会えなかったがな」


 そう言って、レメクは悔しそうにバンッと、テーブルを叩いた後、エールの入った木のジョッキをグビグビ飲み干し「エール、おかわりだ!」と、叫んだ。


 この後に話すのは気が引けたが、確信に迫る話しだったため話さない訳にもいかず、ヨシュアはゆっくり口を開いた。


「それで、なんだけどさ……アダムとイブを襲わせたのはスネーク子爵だと思うって、アダムが言ってたんだ」

「……んだと!! 本当ならアイツぶっ殺してやる!!」


 殺気を出しながら憤るレメク。


 そこに、丁度やって来た給仕の女の子がおかわりのエールを持ってくると、強奪するようにジョッキを奪い勢い良く飲み干してしまった。


 相当にご立腹の様子のレメクを見たヨシュアは、これはあの子達を呼んだ方が良いか、と思い「アダムとイブー! ちょっとこっちに来てくれ!!」と人混みで見えないアダムとイブを呼び寄せるため声を張り上げた。


「はーい!」と、声が聞こえ、少し経つとアダムがイブの手を引きながらヨシュア達の元へやって来る。


「どうしました?」

「ああ、今レメクに事情を説明してたんだが、スネーク子爵が話してた事を直接アダムの口から伝えてくれないか?」


「分かりました。レメクさん、これから僕が話すのは憶測も混じっているので、あくまで僕の見解だと思ってくださいね」

「ああ、分かった」


「レーおじちゃん抱っこ!」

「おうっ、おいでイブちゃん」


 アダムとイブが来た事で険しかったレメクの表情もだいぶ緩んできた。イブを抱っこしている事だし、さっきの様に興奮する事も無いだろうと判断したヨシュアは、自分のジョッキに口をつけチビチビと呑み始めた。


 

──成る程な……だがよ、こんな町の領主になった所で、普通の貴族にはつれえだけじゃねえか? 悪政なんか始めたら町の住民だって反乱し始めるぜ。まあ、俺が率いて起こすんだけどよ」

「でしょうね、はは……」


 子爵から盗み聞きした話しから、自分の憶測を交えてレメクに説明したアダム。


 だが、レメクから返ってきた言葉は『それは暫定出来る話しじゃない』と、いうような意味あいの言葉だった。


 確かに、聞いた話しだけで判断出来る事ではなかった。それはアダムも分かっている、が、スネーク子爵が何かを企んでいる事だけは確かだとも思っていた。


「まあ、子爵が怪しいのは認める。次の段階って事は、何か計画してんのも確かだろうしな。だが証拠がないんじゃまともに動けやしねえ──でだ、今まで荒っぽい事は避けてたが、懸念材料だったアダムとイブはこっちの手にある今、動いてみようと思う」

「本当ですか!?」


「ああ、お前らを支えるのが俺の仕事だ。任せとけ!」

「ありがとうございます!」

「ありがとう、レーおじちゃん!」


 アダムとイブに頼られて嬉しそうに顔を綻ばせるレメク。それは、レメクがとっているサムズアップのポーズにも現れていた。


 それを微笑ましく見つめるヨシュアは、これで肩の荷が降りたかなと、安心するのだが、


「ああそうだ、よっちゃんって今どこ住んでんだ?」

「えっ? ああ、西の荒れ果てた地だよ。こっからだと結構離れてるかな?」


「あっ!? なんだってそんな所に……まあいい、深い話しは後で聞くわ。そんでよ、お願いが有るんだが……」

「ん、なんだい?」


「アダムとイブを、暫く預かってくれねえか? この町に置いておくのも不安だし、他の貴族に預かってもらうのも、子爵の息がかかってたらまずいだろ? だからよ、落ち着くまでお願い出来ねえか?」


 まだ、肩の荷は降りていなかったようだ。しかし、友の頼みならと、ヨシュアは「良いよ」と、二つ返事で頷いた。


「そうか! 助かるぜ、よっちゃん! ならよ、今日は俺もよっちゃんの家に行って良いか? 積もる話しも有しよ」

「ああ、勿論良いよ」


「おお! なら早速行こうぜ!」



──レメクは西門、ヨシュア達は人気がない所から町を出ると、西門から少し離れた地点で落ち合う。


「で、こっから何で行くんだ?」

「ああ、これだよ」


 と、レメク問いにヨシュアはポシェットをまさぐりながら答える。そして、ポシェットから小さくなった馬車を取り出すと、地面へそっと置いた。


「おお!! こりゃ天空馬車じゃねえか!」と、大きくなっていく馬車を見ながらレメクは驚きの声を上げる。


「空から見える町はとっても綺麗なんですよ!」

「お星さまも近くに見えてすごーくキレイなの!」

「おお、そうか! そりゃ楽しみだな!」


 祖父の残した道具が最近役に立ってるなと、思いながらヨシュアは三人を乗せた馬車を引っ張り、空へ飛び立った。


(そう言えば、誰か忘れているような……)

章を追加して章の最後にキャラ紹介などを入れようと思います! アドバイスして下さった読者様ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ