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テンキュウノアメ  作者: ルシア=A.E.
40/96

くりしゅましゅ

「夕方まで一緒にここでお留守番でしゅねー?ナツちゃん」


「んまー」だらぁ


「……もしかしてお腹が減ったでしゅか?」


「んまんま」


「仕方ないでしゅねー。何が食べたいでしゅか?」


「…………」にたぁ


「わ、わっち……じゃなくて、鶏肉でしゅか?」


「んまんま」


「そうでしゅか……でも、あいにく、小鳥しゃんのお肉を切らしているんでしゅよー。ドジョウしゃんもねー」


「…………」にたぁ


「うっ……。で、でも、切らしているものは仕方がないので、別のもので我慢してくだしゃい」


「んま?」


「えーとでしゅねー……わっちが持ってる食材はー……麦の粉と、卵と、鹿の乳と、そこで採れたコクワの実と……鹿のお肉くらいでしゅかねー。材料があるようでないような……微妙な感じでしゅねー」がさごそ


「んまぁ……」


「じゃぁ、これで、何か作ってみるでしゅ」


「んまっ?」


「そう言えば、この時期、遠い異国の地では、真っ赤なお洋服を着たお爺ちゃんが、"悪い子はいねーがー、悪い子はいねーがー"と言って、見つけた悪い子に向かって、"しょこらーて"なるものをぶつけ、家から追い出すという奇祭があるそうでしゅ」


「んまっ……」


「い、いえ、ナツちゃんが悪い子というわけではありましぇんよ?ちなみに良い子の所には、しゃんしゃんしゃんしゃん、という音と共に、美味しい"けーき"なる食べ物が届けられるとか……」


「んまっ!」


「わっちは食べたことがないので、想像でしか作れましぇんが……試しに少し作ってみましゅか?」


「んまんま」


「では、少し待っててくだしゃい。今から、美味しい"けーき"を作ってみるでしゅ!ふふ……ふふふふふ……」カタカタカタ


「…………」にたぁ



「……できました」


「んまぁ」だらぁ


「でも、想像していたものと、何となく違うような……」


「んま?」


「やっぱり、鰹節は余計だったでしゅかね?あ、ちなみに、この鰹節、動いてましゅけど、実は生きてるんでしゅよ?」ゆらゆら


「…………」にたぁ


「では早速食べ――」


バチバチッ……ズドォォォォォン!!


「「?!」」


「……ふぅ~。"どこ()でもドア"の出力を上げたら、すごいところに飛んできたみたいですね~。やはり、ドアがないところに飛ぶと、ろくなことにはならないみたいです。で~……ここは、どこでしょうか~?」


「あのー……誰でしゅか?」


「おやおや~?さっそく第1森人発見ですね~。……おっほん。我が名はコルテックス~。世界を表と裏から牛耳る存在ですよ~?」


「なんかよく分からないでしゅけど、人間しゃん……とは少し違うみたいでしゅね?尻尾と耳が生えてましゅし……。もしかして……狐しゃんでしゅか?」


「ほ~?あなたには、私が人間ではないと分かるのですね~?ただ者ではありませんね~?」


「はいでしゅ。何しろ、わっちも、人間ではなくて、鶴でしゅから」ボフンッ!


「そうですか、そうですか~。鶴さん……は?」


「だから鶴でしゅ。でも、名前はシロでしゅよ?」ばっさばっさ


「……そうですか~。最近どうも、仕事のしすぎで、頭がおかしくなってきているみたいです……。これは帰ったら、オーバーホールした方が良いかもしれませんね~」


「やっぱり、コルしゃんの言っていることは難しすぎて、わっちにはよく分かりましぇん……」ボフンッ!


「まぁ、まぁ、気にしないでください。ところで~……何やら美味しそうなものを、食べようとしているようですね~?」


「はいでしゅ。何を隠そう……遠い異国の地で食べられているという"けーき"という食べ物を作ってみたでしゅ!コルしゃんも食べてみましゅか?」


「……お好み焼きの間違いでは~?」


「おこのみやき?」


「ケーキにお肉なんて入ってないですからね~。どれどれお味は~」パクッ


「んまっ?!」

  

「うまっ?!」


「まぁ、とーぜんでしゅね。わっちが作っているんでしゅから、美味しくないわけがないでしゅ。あ!そうでした。はい、ナツしゃん?あーんしてくだしゃい?」


「んまんま」がぶぅ


「その子、ナツっていう名前なのですか~?」


「はいでしゅ。ちょっと訳あって、一時的に預かっているのでしゅが……何かありましたか?」


「いえいえ~。遠い知り合いに、同じ名前の方がいたな~、と思い出しただけですよ?……ナツちゃん?ナツちゃんは大きくなったら、どんな大人になるんでしょうね~?楽しみですね~?」


「んまんま」もぐもぐ


「何を言っているのでしゅ?コルしsy」


「おっと~?時間切れのようです。お姉さまと違って、転移した先から戻れなくならないように、"糸"を付けておいたのですが~……もう限界のようですね~。これはもう少し改良が必要かもしれません」


「えっ……?」


「シロさん?お好み焼き、美味しかったですよ~?そのお礼に、これを差し上げましょう。まぁ、サンタからの贈り物だと思ってもらえれば良いかと思います」ひょい


「何でしゅか?これ……」


「最強の魔法使いと、天才鍛冶職人が作った、とっておきの腕輪です。まぁ、お守りみたいなものですね~。では、さらばなのじゃ~」


バチバチッ……ブゥンッ!


「何でしゅか?あの人……」


「んまんま」もぐもぐ


「ナツちゃんには、どうでもよかったみたいでしゅね……。さて、わっちも冷めない内に、"けーき"を食べるでしゅ!」


 アメとアオの知らないところで、そんなやり取りが交わされていたとかいなかったとか……。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 40/91 ・わぁい、チートバングルだぁw [一言] いい感じに黒くなりました。目の錯覚ってすごい! 0x191919なんですね、小説を書く未来があれば参考にします。
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