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テンキュウノアメ  作者: ルシア=A.E.
31/96

1.4.10 地吹雪舞って、終わりを迎えて

「ぐっ?!(な、なんじゃ?!この異様な冷気は……!)」


 アオから吹き出してくる、風雪。それは、まさに、真冬に吹き荒れる地吹雪に等しいものだった。それをどうやってアオが繰り出しているのかは、この時点のアメ狐には分からず……。しかし、アオが何かしらの方法で、風雪を操っていることだけは、彼女にも分かったようだ。


「や、止めい!アオよ!」


「ユルサナイ、ユルサナイ、ユルサナイ!!」


「(ダメじゃ、こやつ。完全に我を忘れておる……。どうする?)」


 目を開けるのもやっとな冷気の中で、一瞬だけ行動を迷い、そして後ろを振り向くアメ狐。そこには、あまりの寒さを前に、羽の下へと首を仕舞っていたシロの姿があって……。このままだと、彼女やナツの身にも危険が及ぶ恐れがあるのは明白だった。


 それを見たアメは、彼女たちの身を案じていたものの……。ただ、追い詰められていた、というわけではなかったようだ。


「(火は……消えておるか……。月も……山に隠れておるようじゃのう……うむ!)」


 辺りは漆黒の闇に囚われていて、風雪の向こうにいるのは、怒りの気配を漂わせたアオだけ……。

 その結果、アメは、一つの行動に出ることにしたようだ。


「……アオよ。お主、止める気は無いのじゃな?」


「皆、凍ッテシマエ!!」

 

「ふむ。さよか」


「……えっ?きゃっ……」


バクンッ!


 小さな悲鳴と共に、急に止む風雪。

 真っ暗な闇の中では何が起こったのか定かではなかったが、アメのこんな一言から、事態を推測できるのではないだろうか。


「こ、こやつ、味がせん!まるで、氷を食ろうておるようじゃ!……不味っ!」ぺっ


ベチャッ!


 アメのそんな言葉と共にその場に響き渡る、何か粘性をもった液体の音。どうやら彼女は、アオを食べて――そして、あまりの不味さに吐き出してしまったらしい。


 その結果、アオは――


「…………」ぐったり


――として、地面に転がったまま、動かなくなってしまった。そんな彼女が生きているのかどうかは、辺りを夜闇が包みこんでいる上、彼女の気配が元々希薄だったこともあり、食べた本人にも分からなかったようだ。



「……ほれ、シロよ。とりあえず、アオを黙らせたぞ?」


「ふえっ?!ほ、本当でしゅね……。もう、この姿に戻っても、寒くて死んでしまうかと思ったでしゅ……」


「もしもお主が凍って死んでしもうたら、余計に固くなって食えなくなるゆえ、この場に放置して先に進もうと思うておったのじゃが……」


「せ、せめて、別の場所に運んで解かしてから、食べてくだしゃい……」


「まぁ、そんなことはどうでも良いがの。ほれ、さっさとワシの非常食を返すが良い。このままじゃと、主の臭いが染み付いて、食えんくなるからのう」


「アメしゃん……本当、素直じゃないでしゅね……」


「む?何を訳のわからぬことを言うておる。はよ、ナツを返すが良い。そろとも……まさか、お主……ワシが見ておらんところで、ナツのつまみ食いをしたわけではあるまいな?!」


 と、アメが真っ暗闇の中で、うっすらと見えていたシロに向かって、ジト目を向けた――そんな時だった。

 

「いや、無理でしゅ。わっちの口には、ナツちゃんは大きしゅg……うひゃんっ?!」


 シロが突然、奇声を上げたのである。どうやら、彼女の身に、何かが起こったらしい。


「や、やめっ……あ゛ぁっ?!」


「……何をしておる?」


「わ、わっちの太もも(?)にナツちゃんが……」


「はぁ……。ほれ、シロよ。立つのじゃ……」


 そう言ってシロ鶴を立ち上がらせるアメ狐。するとそこには――


「んまんま」ガシガシ


――と、シロ鶴の細長い足に、齧りつくナツの姿が……。

 どうやら、シロの羽の下で温められていたナツは、この騒ぎで目を覚まし、目の前にあった木の枝のようなシロの足に、反射的にかじりついてしまったようだ。


 それを見たアメは――


ボフンッ!


――と人の姿に変身して……。そして、ナツのことを抱きかかえると、シロ鶴の足から引き剥がした。

 それからアメは、胸の中でナツをあやしながら、呆れたような様子で彼女へと話しかける。


「これ、ナツよ。そんな貧相な足に齧りついておったら、お主、腹を壊してしまうぞ?」


「んまぁ」


「ほう?ダシは出ておったか……」


「んまんま」


「じゃが、やはり固かったとな?そりゃまぁ、骨しか無さそうじゃからのう」


「……アメしゃん、ナツちゃんが何て言ってるか分かるでしゅか?」


「ん?むしろ、お主には分からぬのか?」


「……これはますます、素直じゃないでしゅね……」


 明確な言葉を使わずとも、意思疏通が成立している様子のアメとナツ。それでもアメがナツのことを非常食扱いし続けていたことに、シロは思わず大きなため息を吐いてしまったようだ。


 それからシロも人の姿に変身すると……。彼女は、風雪のために消えてしまっていた焚き火を、再び起こし始めたようである。

 

 ……そこにいるだろう、哀れな犠牲者(?)の様子を確認するために。


最近、こっちの話は、携帯端末で書くように、執筆スタイルを変えたのじゃ。

少し前までは、時間がなかったりして、結局、らっぷとっぷで書いておったのじゃが……それじゃと、どうも納得できる文が書けなくてのう……。


しばらくは試しだめし、携帯端末で書き続けられるように、時間を工夫していこうと思うのじゃ。


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