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異世界最弱だけど最強のヒーラー  作者: 波崎コウ
第六章 風の少女
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(11)

「セフィーゼ、待て!!」

 アリスの(りん)とした声が戦場に響く。

「今から私がそちらに行く」


 ピリピリと張りつめた空気の中、アリスは仲間の血で赤く染まった大地を踏みしめながら、ゆっくりと前へ進んでいった。

 そんなアリスを見て、セフィーゼが目を丸くする。


「え!? あなた――本当に本物のアリス王女?」


「王女様みずから捕虜になってくれるってこと?」


「そうだ。私は何も抵抗しない。だからいったんその魔法を止めろ」


「わかった、いいよ。でも変なことしたらタダじゃおかないから」


 そう言ってセフィーゼは両手を下した。

 同時に、上空で渦巻いていた虹の竜巻がパッと消える。

 


◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 これで『ミストラル』の脅威はひとまずなくなった。

 さらにアリスに呼ばれるまでの間、多少時間ができた。


 僕はすぐさま大勢の兵士たちの間に紛れ込み、身を低くして腰の皮袋からスマホを取り出した。

 これまでの激しい戦いで壊れてはいやしないかと、恐る恐る電源を入れる。


 しばらくすると、パッと画面が光った。

 よかった。ちゃんと起動した。 


 僕は続いて兵士と兵士の間からこっそり顔を出し、セフィーゼに照準を合わせ『スキャン』を唱えた。

 わざわざこんなことをするのは、魔法を使っていることを敵に感づかれたくないからだ。


 が、しかし――スマホの画面には何も表示されない。

 どうやら一回目は失敗したらしい。


 セフィーゼとの距離がかなり離れているせいか、それとも疲れて魔力が落ちているせいか――?

 そのどちらかだろう。


 それでも諦めず、より神経を集中させもう一度『スキャン』を唱えた。


 一瞬、セフィーゼの体がオレンジ色に光る。

 今度は成功だ。

 スマホに目を落とすと、画面一杯にセフィーゼのステータスが表示されていた。


 ネーム:セフィーゼ=ダナン=ル=イーザ

 クラス:ソーサラー


 H P:253/260

 M P:6565/7300

  力 :100 

 知 力:1205

 速 さ:1350

 守 備:230

  運 :251

 白魔法:0

 黒魔法:4315

 スキル:風魔法+++

 状 態:正常

 弱 点:なし  



 高い魔力に加え風魔法のスキル――

 やっぱり相当な強敵だ。


 続けてヘクターに対し『スキャン』を唱える。



 ネーム:ヘクター=モンテバル=ル=イーザ

 クラス:ジェネラル

 H P:3125/3200

 M P:0/0

  力 :2150  

 知 力:320

 速 さ:1550 

 守 備:1320

  運 :55

 白魔法:0 

 黒魔法:0

 スキル:クイック+

 状 態:正常

 弱 点:なし



 こちらも全体的に数値は高い。それに力だけでなくスピードも速い。

 そこが要注意だ。


 そして最後に、アリスにも『スキャン』をかけてみた。



 ネーム:アリス=マリー=ヴァランティーヌ=ド=クルーエル=ロードラント

 クラス:プリンセス

 H P:751/770

 M P:0/0

  力 :966 

 知 力:3620

 速 さ:954

 守 備:385

  運 :1860

 白魔法:0

 黒魔法:0

 スキル:カリスマ++

 状 態:正常

 弱 点:ゴースト アンデッド  



 アリスのフルネームがこんなに長いとは知らなかった。

 ……いや、そんなことはどうでもいい。


 生まれつきの才能なのか、それとも帝王教育のたまものか、アリスのステータス値もかなりのものだ。

 が、残念ながらセフィーゼ、ヘクター両名には遠く及ばない。

 魔法が使えないのも痛い。


 つまり、もしこのまま一騎打ちにでもなれば、僕がアリスをサポートして戦うしかないということだ。

 この数値なら攻撃補助魔法によってバフ、つまりドーピングをすれば、あるいは何とかなる――かもしれない。



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