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異世界最弱だけど最強のヒーラー  作者: 波崎コウ
第六章 風の少女
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(4)

「どけ、レーモン」


 アリスは追いすがるレーモンを振り払う。

 が、レーモンはアリスの前に回り込み、通せんぼした。


「お待ちくださいアリス様。ここはこのレーモンが責任をもって奴らと交渉してまいります。ですからどうぞ、私に全権を委任たまわり下さい」


「お前が――? 戦争専門のお前に、交渉ごとなどできるのか?」


「お任せ下さい。どんなことがあっても穏便(おんびん)に対処し、我々に有利な和平条件を引き出してみせます」


「これ以上我が軍に犠牲を出すことはまかりならんぞ」


「無論です。アリス様はどうかここでご覧なさっていて下さい」

 レーモンはそう言うと、アリスを置いて前に出て行こうとした。


「叔父様、大丈夫ですか?」

 と、リナが心配そうにレーモンに声をかける。


「リナよ、案ずるな。私はこんなところではくたばらんわ」


 レーモンは珍しく笑顔を作り、姪であるリナに余裕を見せた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「ねえー今度は誰が戦うの? こっちはたった二人で相手してあげてんだよ?」

 と、セフィーゼが叫ぶ。

「ハイオーク倒して包囲網を突破しちゃうんだから、もう少し骨があると思ったんだけどなあ。なんか飽きてきたから、そろそろ終わりにしよっかなあ」


「待たれい!」

 レーモンがセフィーゼの方にズカズカと歩いていく。


「えー!? 待って待って! こんなお爺さんが次の相手なの?」

 セフィーゼが目を丸くして言った。

「さすがにちょっと殺しちゃうのは後ろめたいよお」


「セフィーゼ、慢心してはなりません。この(おきな)、相当な強者(つわもの)です」

 穏やかだったヘクターの顔が、急に厳しく変わった。


「そうなの? うーん、あんまり強そうには見えないけど……」


 レーモンは二人の十メートルほど手前で立ち止った。

 完全にセフィーゼの『エアブレード』の射程範囲内だが、レーモンはそれをまったく気にていない。


 さすがに度胸は据わっている。



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