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異世界最弱だけど最強のヒーラー  作者: 波崎コウ
第六章 風の少女
51/319

(1)

この章から残酷な表現が増えます。苦手な方はご注意ください。

 圧倒的な黒い騎兵軍団(イーザ兵)を目の前にして言葉を失う僕とアリス。

 すると突然、前方から子供っぽい叫び声が聞こえてきた。


「やった、また当たったぁぁ――!!」 


 それは、殺伐(さつばつ)とした戦場に似つかわしくない、やけに元気で明るい少女の声だった。

 続いて誰かの悲鳴が上がり、ロードラント軍の兵士たちの間にどよめきが広がった。 


 ――どうしてこんな声が? 


 何が起こっているのか少しでも早く知りたい。

 が、大勢の兵士たちが邪魔になって、馬上から見ても様子がわからなかった。


 第一、アリスが来たのになぜ誰も道を開けないのか? 

 どうやらみんな目の前の出来事に気を取られ、アリスがそこにいること気づかないらしい。


 業を煮やしたのか、アリスは何も言わずいきなり馬を飛び降りた。

 そばにいた竜騎士が「お待ちください」と止めるが、アリスはかまわず黒山の兵士をかき分け先に進む。


 僕とリナは一瞬顔を見合わせ、それから急いで二人で馬を降り、アリスの後を追った。

 兵士たちの合間をぬって、何とかみんなの前面に出る。


 すると――そこには異様な光景が広がっていた。


 死体、死体、死体、死体。

 無残に切断されたバラバラの死体と、血の池地獄。


 アリス護衛軍とイーザの騎兵軍団がにらみ合うだいたい1キロの間に、体を切断された竜騎士と兵士たちの死体が散乱しているのだ。


 そのあまりの凄惨さに、人の血や肉に耐性が付いてきた僕でさえ吐き気を覚えた。

 リナはただ絶句し、悲鳴すら上げられないようだ。


 アリスは?

 こんな光景を目の当たりして、アリスの精神(こころ)は大丈夫なのか?


 しかし意外にも、アリスは表情一つ変えず前を見据えていた。

 女騎士ティルファの傷を見て、ひどく感情的になった時の彼女とはまるで別人のようだ。


「あの少女の仕業か」

 と、アリスがつぶやく。 



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