(5)
「ユウトよどうだ、さぞや羨ましかろう? それとも嫉妬で気が狂いそうか? どうせお前みたいな低カーストクソオスガキはキスはおろか、王女と同じ空気を吸うことすら許されないのだからな」
ヒルダは椅子にがんじがらめに縛られた僕をひとしきりあざ笑ったあと、指をパチンと指を鳴らし、ご丁寧に魔法の光でベッドを明るくライトアップした。
それからわざと周囲に見せつけるように、花嫁リナアリスの上半身をベッドの上に起こすと、背後からおっぱいをナデナデモミモミして、さらにべロチューまでしてしまう。
「まったく最高の気分だ! 見てみろ王女のこの極上の肉体を! なんと白くなんと柔らかくそれでいてなんといやらしい――ああ! 私にはわかる、わかるぞ! 汚れをしらない少女の心の奥底に隠された熱くとろけるような禁断の蕾を。――さあ、これから私が秘技を尽くしてそれを見事開花させてみせよう」
リナの体を堪能しすっかり興奮したヒルダのか、上ずった声で昔のエロ小説のようなセリフを吐き、ウエディングドレスを脱がせにかかった。
とはいっても、いきなり素っ裸にするような野暮なことはしない。
いったいどこでそんな技を習得したのかは知らないが、まるでプロダンサーが観客の前でストリップを披露するが如く、徐々に、絶妙に、そして淫らにリナを愛撫しながらドレスをはぎ取り始めたのだ。
リナも特に抵抗する様子もなくされるがまま。
それどころか顔には恍惚とした表情を浮かべ、時折甘い吐息をもらす。
「よいよい、思った通りだ。王女の感度は素晴らしい!」
ヒルダは嬉し楽しげつぶやくと、自分もするりとドレスを素早く脱ぎ捨て、黒いボンテージ風のエロエロな下着姿になった。
それを見たサバトの参加者たちがワッと沸き立ち、続いて歓声とはやし声が止まらなくなる。
僕にとっては目も当てられない光景ではあったが――
しかし、ヒルダプロデュースの淫魔のサバトは、いよいよクライマックスを迎え、会場の盛り上がりは最高潮に達していた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「さあて、そろそろ頃合いか」
機は熟したとみたのだろう、ヒルダはベッドにもう一度アリスを寝かしつけ姿勢を整えてから、改めてこちらを向いて言い放った。
「ユウトよ、その他の醜く哀れな男たちよ、貴様らにはこれから私とアリス王女との神聖なる初めての行為を見せてやる。だから心よりありがたく思って我に延々ひれ伏せ。――ただし一つ言っておくぞ。どんなに興奮しても自分で慰めるのは許さぬ。もしもそのような不浄で不潔なことをしたら即刻首を刎ねてやるから覚えて置け。――おっとユウト、お前は縛られてシコることすら無理だったな。哀れよのう」
オホホと高笑いするお下劣なヒルダ。
というか初夜公開ショーなんて破廉恥なことしておいて、自分の方がよっぽど不浄で不潔だろ――!
と、突っ込みたくもなったが、口は塞がれてて何も言えないし、いずれにせよこの状況では負け犬の遠吠えでしかない。
とにかくヒルダの凌辱行為をこれ以上止められなければ、すべてが無意味なのだ。
だがしかし、ここまできてしまうと、もはや手遅れの感が強く、何の手立ても思い浮かばない。
後はただ、奇跡が起きてくれることを天に願うしかないのか――
「アリス王女! 待たせたな、ついについにこの日がきたぞ!! 私が長い間禁欲し王女に指一本すら触れなかったのはすべてこの日この時のため。さあ王女よ、いまこその純潔を私に捧げよ」
ほとんど変態エロオッサンと化しヒルダは「ブヒヒ、ブヒヒヒ」と気持ちの悪い鼻息を漏らしながら、すでに露わになっていたリナの純白の下着を巧みに引きずり下ろした。
当然、リナの下半身は丸出しになる。
「さてさて花婿の特権として、まずは花嫁の秘密の花園を真っ先に拝ませてもらおうか。誰にも穢されていない神聖な蜜つぼをな」
いちいち古臭いエロセリフをつぶやきながら、ヒルダは両手でリナの足をM字に開いた。
そしてその開いた足の間に自分の顔を近づけて、震える指を伸ばした
ここから角度的に良く見えないが、ヒルダがやることはただ一つ――
ご開帳――!!! だ。
現実世界、僕の幼馴染で初恋の相手だった理奈=リナを、ヒルダは目の前で正々堂々とくぱぁしたのだ。
ダメだ、もうこれ以上見ていられない。
僕はたまらずから顔を背けた。
ところがそれから一分ほど経って、周囲の様子がおかしいことに気が付いた。
ついさっきまで騒々しかったサバトの参加者たちが、一瞬シンと静まり返り、それから戸惑うようなざわめきが起ったのだ。
明らかにこれまでとは空気が変わっている。
僕は不可思議に思い、再び顔を正面に向け、ベッドの方を見た。
すると本当に奇跡――が起こったのだろうか?
ヒルダがリナのアソコを覗き込んだまま、石像のように固まってしまっているのだ。
「――???」
いったいヒルダは何やってんだ?
と、首をかしげていると、より驚くべきことが起った。
薬を飲んで以来、ずっと隆起しっぱなしだったヒルダの股間のアレが、まるで風船から空気が抜けるように、しゅるしゅるしぼんでしまったのだ。
そしてようやく――
「……バカな……こんなことが……こんなことがあっていいはずがない」
消え入りそうな声でヒルダはつぶやき、両手をベッドの上につき一昔前にネットで流行ったAA O| ̄|_ まんまの格好をして言った。
「ま、まくが……ない……」
え……!?
なんだって?
「アリス王女には膜が――処女膜がない! なぜだっ!」
ヒルダが突然立ち上がり、空に向かって狂ったように叫んだ。
「バカなバカなバカなっ!! こんなことがあってよいはずがない! ないのだ――!! ロードラント王国の第一王位継承者たるアリス=マリー=ヴァランティーヌ=ド=クルーエル=ロードラント王女がまさかのか・ん・つ・う・ず・み貫通済みだとおおおおお――!!」
1人で来るってしまったヒルダの魂の叫びに、そこにいた全員が一瞬ポカンとして、静まり返った。
そして、僕はヒルダの本性を理解した。
――この女、処女厨か!!
いや、本当は僕もなんだけどね……。
でもさすがにヒルダほど重度ではない――かな?
更新が遅れて申し訳ありませんでした。