(4)
ランジェリー姿に変化したリゼットは、ノリにのりまくってもう誰にも止められない感じだった。
が、そうはいっても、目の前でいきなりストリップを始められてこちらはどう反応していいか分からない。
緊張して、ただその場に棒立ちに固まってしまう。
リゼットはそんな僕の様子を見て蠱惑的な笑みを浮かべると、黒のキャミソールをスッと脱いだ。
そしてそれを、動けなくなった僕の顔にいたずらっぽくフワリとかけたのだった。
その瞬間、得も言われぬ良いにおいがした。
キャミソールに異世界のフローラルの香水でもかかっていたのか、男を誘惑する甘い香りだ。
が、客観的に見れば非常に間抜けこの上ないし、それ以上リゼットのモノを見たくても前が見えない。
なので僕は迷うことなく、顔を覆っているキャミソールを掴んで投げ捨てた。
するとリゼットは今まさに、黒のブラジャーに手をかけてそれを取っ払ったところだった。
そして――
おっぱい。
おっぱい。
「す、すごい……」
そうついつぶやいてしまうほど、理想的で完ぺきなリゼットのおっぱいがそこにあった。
形といい大きさといい色といい、想像通りというか想像以上というか、もう文句のつけようはない。
アリスのそれとは違う、完全に大人の完成形。
これなら誰かに見せたくなるのも頷けると言うものだ。
でもなんで僕の目の前で突然?
やっぱり誘惑してるのか?
と、勘違いしてしまうのも無理からぬことだと思うのだが、実際はまったく違った。
リゼットは僕のことなど眼中にないように、トップレス姿のままベッドに座るセフィーゼに近づくと、そこでとんでもない行動に出た。
「さぁセフィーちゃん。お乳の時間ですよぉ」
リゼットはそう言うと、セフィーゼをやさしく抱きかかえた。
そしてなんと、その豊満なおっぱいをセフィーゼの口に含ませたのだ。
セフィーゼも嫌がる様子もなく、「ママぁ、ママぁ」と言って、まるでゼロ歳児の赤ん坊のように、リゼットの乳首を吸い始める。
え、なに……?
まさか、赤ちゃんプレイ……?
二人の異様な行為に、僕は仰天した。
それから何かの間違いじゃないだろうかと何度もまばたきをしたあと、その光景に目が釘付けになってしまった。
ただし、本当にお母さんが赤ちゃんに母乳をあげている感じなんので、いやらしさはまったくない。
「さあセフィーちゃん、そろそろお腹ポンポンになったかなぁ?」
しばらくして、リゼットはセフィーゼに声をかける。
それに応えるように、セフィーゼは満足そうな顔をすると、リゼットの乳首から口を離し眠たそうにまどろんでベッドに横になった。
「あらぁ、お腹が一杯になったらお眠になっちゃったのねぇ。いいわ、しばらくお昼寝しましょうねぇ」
部屋の中に流れていた音楽が、いつのまにか子守唄っぽいものに変わった。
その効果もあったのか、リゼットはすぐにすやすや眠ってしまった。
「あ、あのう……リゼットさん」
「しっ! 静かに。いまセフィーちゃんがねんねしたところなんですからねぇ」
こんな公開赤ちゃんプレイを鑑賞している時間はないのだが、しかし、そう注意されてしまうと、僕は黙っているしかなかった……。